【秘訣】板外壁の経年変化。「雨の跳ねを考慮する」

【経年変化・植栽・メンテナンス】の秘訣

ゆうです。
最近、板を外壁に張る住宅が増えてきています。
『経年変化を愉しむ。』『日本の風景を伝える。』
僕はこの感覚がとても好きで、板壁の家をお勧めしています。
しかし、板壁を採用する際にはある注意点があるんです。

我が家の車庫兼作業小屋。築35年。
時間が経った建物は、新築住宅に使用する材料を考える上で最高の先生となる。
この日は青空も少し見え、気持ち良い日和だった。
茂っていた緑の道もすっかり冬の姿に変わりました。
干していた大根はすっかり脱水され小さくなった。
こういう風景を子供に見せてあげたい。 
そろそろこいつの出番が近い。毎年お世話になってます。

さてさて、板外壁の件ですが、、、
この写真を見て、板外壁を使う際の注意点がわかるでしょうか。
こうすればどうでしょう。(赤線を引きました。)
そうです。
『雨水がはねる。』ことを考慮しておくということです。
上の写真の左側の板は雨水がはねる範囲内にあり、他の部分よりも劣化が進んでいます。
ドアの横あたりの板をさわってみるとうっすら湿っている。
水分があるということは、腐朽しやすいということ。
実際に、ドアの横の木枠の下の部分は腐朽してなくなっている。
それでもドア横の板が腐朽しきっていないのには理由があります。
それは、水切れが良いよう考えられているということ。
具体的には、
板が薄く、濡れても乾きやすい(厚9mm程)
・板の張り方を段々に張ることで水が切れやすい(南京下見張り)

新潟の田舎では(全国的にも)この外壁の張り方が一般的で、それが田舎の風景をつくっています。
この張り方は、雨の多い日本で何百年以上もの経験から導かれたものなんですよね。

ただのデザインじゃないんです。機能がちゃんとあるんです。

(僕は、日本のこの板外壁と黒瓦の風景はフィレンツェにだって負けないと思っています。)
さてさて、ではどれくらいの高さまで雨水ははねるのでしょうか。

よく見ると、雨の当たっている部分に、濃い部分と薄い部分の二段階があるのがわかる。

およそ、濃い部分の高さは50cm程、薄い部分の高さは60cm程でした。
(この車庫に雨どいはついていないため、雨どいがついている一般住宅よりも雨はねの影響は大きい。)
板の外壁を使用する場合は、板の経年劣化を抑えるためにもできれば地面から60cm前後は離しておきたいですね。
(他の対策としては、雨が跳ねる地面部分を砂利や植栽にして雨はねを軽減させるという方法もある。または軒を深く出す。)

雨の日の様子。

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最近、板外壁の住宅が増えてきましたが、こういったところまで考えられていますでしょうか。
「新築時が一番きれいでどんどん汚れや劣化が進んでいく、、、」
といったことがないよう、20~30年以上の時間の経過・材の変化を考慮して複合的な設計提案がしたいものです。

板の外壁は雨はねによる劣化を防ぐことができれば、耐久性もとても優秀で写真の小屋のように30年以上そのままで持つことができます。

無塗装であっても同様です。ポイントは水気をすぐに切ること

上手に設計してあげれば、サイディングなどのほかの外壁よりも、

・メンテナンス費がかからず、
 (塗りなおしせずとも持つ)

・イニシャルコストもそこまで高くなく、
 (材によりピンきりあるが国産の杉なら高くはない)

・雰囲気は良い
 (経年変化、エイジング)

という最高に魅力的な外壁材になります。

もちろん好みによりますが、板外壁、僕はとてもお勧めです。

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