【秘訣】エアコンの選定方法『冷暖房負荷計算、能力、グレード、買い方。』コストパフォーマンスとリスク対策。

【冷暖房・空調・換気】の秘訣

ゆうです^ ^

エアコンの選定方法についてまとめました。

冷暖房負荷計算、エアコン能力、グレード、買い方、、、

エアコン選定は千差万別。

「ちょうど良い能力のエアコンを選び冷暖房費を抑えたい。」

「万が一の故障にも備えたい。」

冷暖房費を抑えつつ、リスクをケアするエアコン選定方法を紹介します。

 

 

 

長くなるので結論から^ ^
(建て主様へ)

一般的なエスネル(延床26-28坪、UA=0.23程)に適するエアコンは

冷房用
・6帖用エアコン(定格能力2.2kW程)
(グレードはNo1かNo2のもの)

暖房用
・10帖用エアコン(定格能力:3.6kW程)
(グレードはNo1かNo2のもの)

になります。

(冷房用は2階に設置。暖房用は1階に設置)
(1階リビングプランも2階リビングプランも)

 

【秘訣】エスネル式換気空調設計。『換気と空調の経路を揃える。』-シンプルな設計で快適性を得る- - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

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選定方法の詳細を紹介します。

 

【エアコンの必要能力について】................

〈冷房〉


〈選定計算書〉

エアコンの選定は

1.『冷房負荷』を計算する。
(外皮熱負荷、換気負荷、日射熱負荷、内部発熱負荷)
(UA値、エンタルピー、日射熱などを理解していることが必要)

2.最も効率の良い運転が行われるよう効率化補正を行う。
(エアコンの効率特性の理解が必要)

→その家に適当な冷房定格能力が導き出される。

という流れになる。

 

上記の「2.」について。

エアコンは「定格能力のおよそ半分程の能力を出している際に最も効率の良い運転がなされる」と言われている。
(ケースバイケース。幅あり)

 


エコハウスのウソ2」より。
著者は温熱系の権威である前先生。内容が分かりやすく建て主様にもプロにもお勧めの一冊。

グラフから分かるように

「エアコンON直後は一気にフルパワーが必要→効率ダウン。」
(ex.車の発進時)

「室温安定時は熱負荷が少ないためON-OFFが繰り返される→効率ダウン」
(ex.車の低速走行時)

なので

『ほど良い熱負荷がかかり続けるエアコンサイズを選定すると効率の良い運転がなされる』
(ex.燃費の良い速度で連続走行)
→冷暖房費が抑えられる。

高断熱+日射遮蔽の家は冷房負荷が非常に小さくなる。

そのため小さな冷房能力のエアコンを選ぶことが重要。

エアコンの大きさ(能力)は大きすぎても小さすぎても効率が落ちてしまう。

計算により適当なエアコンを選定することが冷暖房コスト削減のポイント。
(→経済性〇、環境負荷低減〇)

 

エスネルは『6畳用エアコン1台で家中冷房が可能』な性能を持っている。

※「6畳用」などの広さの目安は「無断熱住宅の想定」なので現代の家には当てはまらない。
詳細は以下の記事をご参照。

 

家のエアコン買い替え。「エアコンの選び方①『能力と効率』」 - 住宅設計エスネルデザイン

 

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〈選定計算書(再掲載)〉

上記の計算書は「日中」のもの。

夜間を計算してみると

「日射熱→なし」「外気温・湿度→低下」等から合計冷房負荷は大きく減る。
(1.8kW→1.0kW)

日中と夜間を考慮し「2.」の効率化補正係数は0.8としている。
(1日を通して冷房負荷が定格の約50-60%となる時間が多くなるように)
(推定。ケースバイケース)
(小さい能力(6畳用)であることも考慮)
(「冷房負荷/定格能力が大きいほうが除湿が促されやすい」ことも考慮)

 

 

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〈暖房〉


〈選定計算書〉

暖房用のエアコンの選定も冷房用と同様。

暖房負荷を算出し効率化補正をし、推奨暖房定格能力を導く。

暖房は
「日射熱や内部発熱は暖房に有利に働く」
「外気の潜熱負荷(除湿負荷)がない」
ので冷房よりも単純化して計算できる。
(上記を考慮してシビアに暖房負荷を算出しても良いが暖房は能力にゆとりを持たせておいた方が好ましい)
(夜間は日射熱はなくなることも考慮)

また暖房は
「低温時に能力が低下する」
(定格能力は外気温7℃時の能力)
「室外機に付着する霜の影響」
「床下からの熱ロス(床下エアコン時)」
等があるため、それらを考慮して能力は大き目のものを選定しておく。
(→安全率1.3(ケースバイケース))

 

暖房の効率化補正は0.7としている。
(概ね0.6~0.8程で効率が最大になる)
(小さい能力(10畳用)であることも考慮)
(日射熱や内部発熱が利用できることも考慮)
(冷房と異なり夜間も暖房負荷は減らないことも考慮)

 

 


〈選定計算書(日射熱、内部発熱考慮)〉

日射熱、内部発熱を考慮するとその分暖房負荷は減る。
(2.38kW→1.73kW)

※日射熱利用は
「日射熱取得率の高い窓を選定する」
ことにより暖房負荷をより小さくすることも可能。
(パッシブデザイン)

しかし、そのリターンの裏に
「夜間、窓からの熱損失、冷輻射、冷気流が増える」
「断熱スクリーンをする場合、結露(→カビ)対策が必要」
(隙間を開けておくと隙間から冷気流が流れてくる)
「日中と夜間の温度差が出来やすい」
「1階と2階の温度差が出来やすい(吹抜け無し、2階リビング等)」
「日中のオーバーヒート対策の検討(蓄熱)」
「夏場の日射熱負荷の増加」
等の課題がある。

窓を大きくするならば外観や外からの視線の調整も必要。

自然の熱を利用したパッシブデザインの設計は経験とスキルが重要になる。

特に新潟のような「寒冷地」「冬場の日照が少ないエリア」は安易に日射熱取得率の良いサッシを採用すると快適性や経済性に難が出てくる場合がある。
(ペアガラス、日射熱取得型ガラス等)
(日照量、太陽角による反射、家の向き、庇、レースカーテン使用、窓からの熱損失等を考慮)

エスネルデザインでは新潟を始め太平洋側であっても「トリプルガラス、日射遮蔽ガラス」を推奨している。
(断熱性・遮熱性が高いため、冷輻射・冷気流が起こりにくく昼夜の温度差も低減される)
(夏の日射熱遮蔽にも効果的)

プラスアルファの工夫として

・コストを抑えられるFIXサッシの多用。
(美観性や気密性も〇)

・日射熱が活用できるエリアに建つ場合は南面の窓面積を増やす。
(太平洋側など。ケースバイケース)

等を行っている。

「暖房エネルギー低減」と「快適性」のバランス。

日射熱活用は奥が深い。

今後も実測やシミュレーションによって検討を深めていきたい。

 

 

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〈暖房「低温暖房能力」について〉

〈低温暖房能力が足りているかの検討〉

暖房負荷(2.38kW)< 低温暖房能力・・・OK

低温暖房能力とは「外気温が2℃の時に発揮できる能力」。
(同じ10帖用でもグレードと共に低温暖房能力は下がっていく)

しかし、実際は外気温が2℃以下になる時もある。

「-4℃では低温暖房能力の約60%程しか能力を発揮できない」という話も聞く。
(集熱が減る。霜取り運転が増える等)

その場合、下位グレードだと暖房能力がギリギリになってしまう場合もある。

No1.-4℃暖房能力:5.5×60%=3.3kW
 > 暖房負荷・・・OK
No2.-4℃暖房能力:5.4×60%=3.2kW
 > 暖房負荷・・・OK
No3.-4℃暖房能力:3.8×60%=2.3kW
 < 暖房負荷・・・NG
No3.-4℃暖房能力:3.4×60%=2.0kW
 < 暖房負荷・・・NG

新潟でも氷点下が数日続くこともある。

停電が起こることもある。

吹雪により室外機が雪まみれになることもある。

降雪地に建つエスネルであれば低温暖房能力は5kW以上のものを選定したい。
(→上位グレード)

※-4℃まで行かない(または行っても短時間の)エリアであれば低温暖房能力のみの判断で良い。
(主に非降雪地。太平洋側)
(躯体の蓄熱があるので氷点下が短時間であれば問題小)

※-10℃になるようなエリアであれは寒冷地用エアコンも要検討。

 

【災害対策】なんのための超高断熱?「停電時の室温の保持。」真冬の災害停電時の保険。 - 住宅設計エスネルデザイン

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【エアコンのグレードについて】................

グレードによって「COP(冷暖房効率)」が異なります。

上位グレードほど効率が高いため、冷暖房費が抑えられます。

しかし、上位グレードほど価格は高い。
(付加価値機能も多い。良し悪しあり)

冷房、暖房それぞれどのグレードがコストパフォーマンスが良いのでしょうか。

 


〈グレード別性能比較(2021.11カタログ)〉

日立の場合「No1グレード(X)」と「No2グレード(S)」に能力の差はほぼ無かった。

(Xには最新の付加機能が色々ついている)

 

 

 

〈冷房〉


〈グレード毎のトータルコスト比較〉

トータルコストで比較すると

『イニシャルコストは差があっても、上位グレードは効率が良いためランニングコストが安くトータルコストは近しくなってくる』ことが分かる。
(電気料金が値上げ傾向にあることも要考慮)

・トータルコスト
・10年での買い替え想定
・15年での買い替え想定
・再熱除湿(自動)あり
・今後の電気料金の値上げ
等をすると「No2グレード(S)」が良いか。
(またはNo1グレード(X))

付加機能の要不要や入手可能価格を踏まえて最終的には建て主様の判断となる。
(自動洗浄機能など)

冷房は特に「冷媒漏れ」「機器内のカビ」「連続運転」等を考慮し、10年程での買い替えを想定すると良いと思われる。

 

家のエアコン買い替え。「エアコンの取り付けとカビ」 - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

〈暖房〉


〈グレード毎のトータルコスト比較〉

冷房と同様にトータルコストは近しくなっている。

冷房と異なり暖房負荷は大きいため『効率の良い上位グレードのほうがコストパフォーマンスが良い。』

・トータルコスト
・10年での買い替え想定
・15年での買い替え想定
・今後の電気料金の値上げ
・低温暖房能力
等をすると「No2グレード(S)」が良いか。
(またはNo1グレード(X))

付加機能の要不要や入手可能価格を踏まえて最終的には建て主様の判断となる。

暖房も連続運転を行うため、10年程での買い替えを想定しておくと安全かと思われる。

 

【エネルギー】『燃料費調整単価が高騰。』電気料金増、低自給率リスク、自衛できること。「小さな視点と大きな視点。」 - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

【メーカーについて】................

以前は僕のほうでエアコンを選定して建て主様にお伝えしていました。

しかし、近年は建て主様に選定して頂いています。
(推奨品はお伝え)

それは『エアコンの全てを把握できなくなってきたため。』

1.エアコンの付加機能の複雑化。
(グレード毎に様々な機能が付く。年々変わる)

2.買い方によるコスト差、保証差。
(工務店に依頼するか、家電量販店か、ネットか)

3.エアコンの寿命の不透明さ。
(昔のものは20年持った。今は10年?数年で不具合も?)

特に2と3による影響が強い。

そのため推奨メーカーをお伝えするのは難しいのですが、現在の経験や聞く話をまとめると

「H立」さんか「M菱」さんが良いかと。
(再熱除湿機能あり)

(P社、T社の不具合を聞くことがある)

 

【秘訣】エアコンの選び方「エアコンは選べない!」 - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

【買い方について】................

現在、エアコンは『家電量販店での購入』を推奨しています。

それは『長期保証が付けられるから(本体・取付工事5~10年等)』。

近年エアコンの不具合が増えてきています。
(エアコン本体からの冷媒漏れ)

なので長期保証を付けておくことが安心につながります。

『エアコン(本体・取付・保証)は家電量販店の担当。』

とし連絡先や対応主体を明確にしておく。

(量販店での購入はイニシャルコストが抑えられる場合もある)
(床下エアコンの場合、量販店の保証がつけられるかの相談が必要)
(気密・防水は工務店が管理)

また、エアコンはいずれ買い替えるときが来きます。

『将来、建て主様自身でエアコンが買い替えられる』ように選定方法、推奨能力、買い方をアナウンスしておきたいと考えています。

 

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エアコン選定は奥が深い。

能力、効率、コストパフォーマンス、買い替え、、、

断熱性、快適性、エアコン特性、経年変化、不具合想定など設計士に求められる知識は多岐に渡る。

勘に頼った根拠のない選定ではなく適切な提案を行いたい。

今後も出来ることを模索し情報公開に努めたいと思っています。

 

 

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

 

 

 

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