【秘訣】杉板外壁の経年変化『方位、屋根、基礎による変化の違い。』-築42年の祖父の家-

【経年変化・植栽・メンテナンス】の秘訣

こんにちは^ ^

先日、祖父の家に伺ってきました。

42年が経った杉板外壁の経年変化を紹介します。

『方位』『屋根のありなし』『基礎の高さ』による変化の違いが興味深いです。

 

 

 

祖父の家は我が家と同じ柏崎市内にあります^ ^

僕の実家、我が家(相方の実家)、祖父の家(母方)とも柏崎市内。
(祖母の家(父方)は隣の上越市)

僕の実家には月に数回、祖父母の家にはお盆や年始に家族で伺っています。

特に子供ができてから『家族と距離が近い暮らし』に幸せやありがたみを感じています。

 

 

 

 

42年が経った杉板外壁の経年変化を紹介します。

 


【南-東面】

新築時に杉板+塗装仕上げ。

塗り直しや張り替えは一切していないとのこと。
(42年間ノーメンテ)

新潟は北西の風+雨が多いため「南-東面」は「北-西面」に比べシルバーグレー化は抑えられ塗装も残っている。

 

 


杉板の家は植栽が良く合う。

シルバーグレー化した外壁に緑や花が映える。

 

 


杉板の経年変化は『人間の経年変化に似ている』。

そのため親近感を持ちやすい。

年齢を重ねる程こういう風合いを好むようになると予感している。

 

 

 

 


【北面】

塗装は概ね落ち杉板は一様にシルバーグレー化している。

シルバーグレーの壁に黒い瓦が光る。

「杉板+黒瓦」は日本海側の原風景。

杉板外壁の家の屋根やサッシは黒や白(無彩色)が特に良く合う。

 

 


【北面サッシ周り】

水の溜まりやすいサッシ周りも腐朽は起こっていない。

 

 


【東-北面】

北西の風により雨が当たりやすい北面と当たりにくい東面の差が面白い。

シルバーグレー化は『雨により板表面の色素が流れる』ことにより促進される。

(次点は紫外線による影響)

 

 


塗装の落ちた部分や板の隙間は『木の色』のまま。

シルバーグレー化は板表面のほんのコンマ数ミリのみ。

その下は健全な木のままであることが分かる。

 

 

【秘訣】杉外壁経年変化実験まとめ①「見た目の変化」。 - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

【秘訣】杉外壁経年変化実験まとめ②「中身の変化」。 - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

 

 


【北-西面】

北西の風雨が当たる西面は北面同様に変化。

 

 


【西面】

夏場の夕方には樹木の陰が室内へ入る日射熱を低減してくれる。

 

 


【西面】

2階の増築部の凹凸が個性的。

塗装が残る部分と落ちる部分がある。

「板表面の塗装の吸いやすさ(吸いにくさ)」は一枚一枚異なる。

杉板に塗装をする場合はこの点に注意。

『経年変化で塗装が(まばらに)落ちることを想定しておく。』
(再塗装を行うか、塗装が落ちた表情を許容できるか)

エスネルデザインでは塗装の落ちを避ける方法として無塗装という提案を行っている。

〇塗装してもしなくてもいずれシルバーグレーになること。

〇無塗装のほうが一様にシルバーグレーになりやすいこと。
(木の色素が一様に退色するため)

〇再塗装の手間が不要なこと。

等を考慮すると杉板無塗装外壁は有効な選択肢だと感じている。

新築時の木色の外観もとても良く、シルバーグレー化する経年変化を楽しめる点もポイント。

 

 

 

 

 

 

【お客様の家】築2年半の杉板外壁の経年変化〈T様邸〉 - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

 


【屋根がない部分(南面)】

屋根がない部分も杉板の腐朽は起こっていない。

 

 


【屋根がない部分(北面)】

窓周りも含め腐朽は起こっていなかったが苔っぽさがある部分があった。

苔は腐朽菌とは異なるため板外壁の耐久性に問題はない。

屋根なしで40年以上板外壁が持っていることは評価。

ただし条件によっては外壁が腐朽することもあるかもしれない。

「板外壁の腐朽リスク低減」を考慮すると屋根はかかっていたほうが無難。

(上記写真は「当初の塗装の様子」「雨がかりによる塗装の落ち具合」もよく分かる)

 

 


【南面】

祖父の家は高基礎仕様。

板外壁は地面から「雨のハネ高さ」以上離れているため最下部の板も腐朽していない。

板は湿潤状態が続くと腐りやすい。

高基礎による雨の当たりにくさは杉板外壁を健全に保ってくれる。

(防腐処理よりも長期に渡り効果的)

 

 

【秘訣】板外壁の経年変化。「雨の跳ねを考慮する」 - 住宅設計エスネルデザイン

 

 


【板の合わせ目(出隅)】

板は時間と共に反ってくるものもある。
(乾燥具合や板の性格により異なる)

上記のように「出隅の板同士を突きつける納まり」は隙間が空きやすい点に注意。
(42年で上記程度であれば許容範囲内)
(変化は条件によりケースバイケース)

エスネルデザインでは出隅に隙間が出来にくいよう『出隅を保護する枠板』を設置する納まりを採用している。

自然素材の経年変化を理解した設計を心掛けたい。

 

 

 

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そのほかの杉板外壁の利点や特性については下の記事をご覧ください^ ^

 

 

【esTV】『杉板外壁を勧める理由。』メンテコスト低減・経年変化・風景をつなげる。 - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

 

 

 

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周囲の家々から多くの学びを得ています。

はるか昔から現代まで続く杉板外壁。

杉板外壁の家々は僕にとっての原風景。

風合いが良く、環境負荷を抑えられ、歴史のあるこの風景を次世代につなげていきたいと考えています。

 

 

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