「風が吹く理由。」自然科学から設計を考える。

いなか日記

ゆうです^^

最近、杉板外壁の経年変化の違いを説明する際に「北西の風」という言葉をよく使いました。

「冬は北風が厳しい。」



ということは体感でわかっていますが、

そもそも風とはどうして吹くのでしょうか?


答えから言うと、図のとおりで、

風は寒暖差により発生します^^

(他にも理由はあります。)

・地面が暖まると空気が暖まり(軽くなり)上がっていきます。(上昇気流)

・上昇した空気は上空で冷やされて重くなり落ちてきます。(下降気流)

その時に地表では、寒い場所から暖かい場所へと空気が移動します。(風)

では、季節によって、または場所によって「風」はどう変わるのでしょうか。

新潟市の風の「向き」と「強さ」
ホームズ君エコナビより。色線が風の強さ。10~30は出現確率%)

・冬は北西から強い風が吹いてくる。
・年間を通して、北~西~南からの風があり、東からの風はあまりない。

なぜ冬は北西から風が吹いてくるのでしょうか?

答えは下の図の通りです^^

冬はユーラシア大陸が海より冷えるため、寒(大陸)→暖(太平洋)に風が吹く。

続いて長岡市

・冬は西から強い風が吹いてくる。
・年間を通して、南西からの風が多い。
(信濃川の影響だろう。計測値は川沿いの幸町)
・東からの風はあまりない。

最後に柏崎市

・冬は北西から強い風が吹いてくる。
・年間を通して「北西の風」「南東の風」が吹いている。

柏崎市のみ「南東の風」が目立っていますね。

なぜでしょうか?

答えは下の図のとおり^^

「北西」の風と「南東」の風を繰り返すのは新潟県の海沿いの地域の特徴。

風向きが逆転するのは、昼と夜で地面と海の温度差が変わるから。

2017.8.1の柏崎の風向き。
昼は北西の風(陸が暖かい)。夜は南東の風(海が暖かい)。
(陸が暖まるまでに時間差があることがわかる)

ちなみに朝と夕方に海と陸が同じ温度になるタイミングが来ます。
このとき風がやむ状態である「凪」が訪れます。

柏崎では春先から秋口まで朝方にサーフィンをしている人をよく見かけます^^

サーファーが朝を狙って海に行くのは、

「南東の風(陸から海への風)=オフショア」

という風が海面をなだらかにしてくれて、波の力も抑えてくれるためです^^

サーフィン@マガジンHPより)

そして、新潟は冬場の降水量が多いです。

新潟地方気象台HPより)

この「北西の風+雨」によって、杉板外壁は北西面から順にきれいなシルバーグレーになっていきます。

祖父の家(杉板37年)。東面(左)と北面(右)。
方角によりこれだけ経年変化の表情が違う。

設計者は、自然素材を使う場合は

・雨や日射などによる経年変化の程度
・その地域の風の強さや向き、温度・湿度など

など、自然を熟知していることが求められます。

ちなみに設計的な話をすると、

新潟は北西の風が強いので

「北西向きに玄関を設けることは基本的にNG」です。

しかし、「絶対にNG!」というわけではありません。

それは、場所により条件が違うから。

分譲地など隣家が近い場合は、もはや風向きを読むことはほぼ出来ません。

東向きの玄関でも巻き込んで吹き込むこともあります。

注意する場合は、袖壁を付けたり、風除室を設けたりします。

このあたりも杓子定規ではなく、設計者の経験と観察眼がものをいうところになります。

(余談)

僕は自然科学が好きです^^

息子に「なぜなぜ期」が来たら一緒に考えて一緒に発見していきたいと思っています。

(僕はいまだに「なぜなぜ期」なのかもしれません。)

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村松 悠一(ゆう)
エスネルデザイン代表(設計士)

前職での設計格言シリーズ。
:「自分で判断する為に経験を養う。」

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