【秘訣】杉外壁の経年変化「祖父の家の杉板と実験の経過」。

【経年変化・植栽・メンテナンス】の秘訣

こんにちは^ ^

僕がお勧めする『杉板外壁』の経年変化シリーズです。

今回は、祖父の家(築37年)の杉板の様子をご報告。

今回もいろいろと面白い発見がありました^^

 

 

 

祖父の家は我が家と同じ柏崎市にあります。

僕の実家、我が家(相方の実家)、祖父(母方)の家とも柏崎市内にあり、祖母(父方)の家も上越市のため、帰省は何かと楽^^

コンパクトシティならぬコンパクトファミリー?

中越沖地震時などの有事の際は助け合ったものです。

こういった暮らしの選択も今後増えて来るのでしょう。

 

偏芯する大屋根がモダンな祖父の家。
手前の大谷石の塀は中越沖地震時に崩れ、昔よりも高さを減らして修復された。

 


玄関わき(東面)。縦張り、板幅は14cm。

赤丸の部分は玄関階段の水はねの影響で色落ちが他の部分よりも進んでいる。

 


外壁を塗装すると、数年置きに塗りなおさない限り色むらが出来てしまう。

それであれば、いっそ無塗装でどうかというのがエスネルデザインの提案。
(前職の所長の思想を参考にしている。)

 


南面。 横張り。

南面は日射は多いが雨のあたりが少ないため外壁の色落ちは少ない。

 


横張りだと出隅の納まりがシビアになる。

見切り材なしで板同士の突き付けだとスッキリして良いが、反りにより多少板が離れてくる。(許容範囲)

 


北面は日射が少なく雨が満遍なく当たるためきれいにシルバーグレーになる。

37年経過の雨どいは叩けば割れそうだがなんとか持っている。

雨どいの交換時期は持っても30~35年ほどと思っていたほうが良い。

 


縦張りは水切れも良くきれいにシルバーグレーになりやすい。

 


東面(左)と北面(右)。

方角によりこれだけ経年変化の表情が違う。

新潟は北西の風が多く北西面に雨が当たりやすい。

設計者は、自然素材を使う場合は雨や日射など自然の影響を熟知しておくことが求められる。

 

 

................

最後に、板の放置実験の中間結果報告を。

 


12月に開始した板の経年変化の実験。

左の二枚が国産の杉板、右が北米産のウエスタンレッドシダー。

天に向けて置くことで、雨や日射をより当てて劣化を促進させた。

 

板外壁の経年変化。「方位による風合いの違い」

 

実験開始から約3ヶ月が経ちました。

板たちはどう変化したのでしょうか?

 

 

全体的に色が脱色された板たち。

冬の3ヶ月だけなので時間も日射も雨も少なくまだ変化は少ない。

 

裏面。湿気がこもっていたのか「杉・白」のほうに多少カビが生えていた。

板には赤身(心材)と白身(辺材)があり赤身のほうが耐久性がある。
(白身は水分や栄養分や吸放湿性が高め)

 

赤身と白身の違い。白身を通って水分や養分が運ばれていく。
(画像は梅江製材所さんHPより)

 

レッドシダー。乾燥材(上)未乾燥材(下)

 

未乾燥材には「流れ節」があり、乾燥によりはく離しかけていた。

 

裏面はまだ新品時の色が残る。

カビも見当たらない。(レッドシダーは耐久性が高い。)

 

意外だったのが乾燥材の板のほうが反りが出ていたこと。
木表側に凹に沿っている。

 

未乾燥材は反りが少なかった。

反りは「乾燥具合」にもよるが「それぞれの板の性格」によっても異なる。

 

杉板も木表側に凹に沿っている。(どちらも乾燥材)

 

こうすると反りが分かりやすい。

反りは樹種や幅、留め付け方によっても変わってくるため経験のある設計者と施工者の判断により適切に留め付ける必要がある。

 

板などの自然素材は経験がないと扱いは難しいですが、上手に付き合えればこれほど魅力的な材料はありません^^

長期的なメンテナンス費も抑えることが出来ます。

 

【秘訣】「おすすめ外壁は板張り。」35年間のメンテ・費用を考える。

 

ただし、設計者が材がどのように経年変化をするのかを知っていることが必要です。

新築の現場だけでなく、築年数の経った家を観察することは、設計者に大きな知識と経験を与えてくれます^ ^

 

 

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

 

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