魚沼杉の伐倒・製材・塗装を見学!「木が切られる瞬間」

【素材・職人技】の物語

ゆうです^^

先日、十日町の山へ木が切られる瞬間を見学しに伺って来ました!

倒れる瞬間は圧巻!

そして「この木が設計する住宅に使われるんだ。」と思うと

とても感慨深い想いが込み上げてきました。

今回の企画は、一世紀住宅の石田さん・谷内製材所さん・魚沼木協さんのお陰で実現しました^^
(皆さまありがとうございました!)

その他参加メンバーは、住学のメンバーに加えて、十日町のフラワーホームさん、サンウッド新潟さんなど合計16名程。

新たな出会いもあり、刺激と知識を吸収しまくりでした!

谷内製材の樋熊さんから製材にまつわるお話を聞く。
(住学メンバーは、Nスケッチさん、まんなみ設計室さん、ネイティブディメンションズさんなど)

・これから行く山は十日町市所有の土地に県が70年前に植林した山であること。

・県が売りに出した木を谷内製材さんが競り落としたこと。

・山の木は50~70年サイクルで「売る」→「植える」を繰り返していること。

・現在、日本の林業は安い輸入材に圧迫され縮小傾向にあること。

・そのため林業をやめる会社が増え、
「売れない→廃業→山が荒れる→木の質低下・伐採コスト増加→売れない」
の負の循環に陥っていること。

・国が対策として、間伐や次世代を担う人材育成に動き出していること。
 (「森林環境税」年間1000円/人ほどの予定らしい)

・切り出された木は、およそ25%が建築材、25%が製紙、その他はバイオマスなどへ送られていて、より有効利用が出来る(高値で売れる)建築・製紙に送れる木の割合を増やすことが重要だということ。

などを教わりました。

その後山へ!山道を15分ほど駆け上る。
(フラワーホーム藤田社長!乗せて頂きありがとうございました^^!)

到着し山を見学。いざ伐倒の現場へ。

数日前に伐倒された部分。(まるで自然災害後のよう)

伐倒された木の枝を掻き分けて奥へ。

伐倒が済んだ部分。これからまた植林がされ、自然の循環が行われる。

山の斜面の木は根元がうねって育つ。

魚沼は雪が深いため、さらにS字に木がうねって育つ。
基本的にはうねったところは建築用には使えず「売れない」部分になってしまう。

「新潟は杉と男は育たない」という格言があるくらい新潟での林業はハードルが高い。

しかし、地域の材をその地域で使用することで、輸送コスト・エネルギーを削減し、地域で経済をまわすことが出来るようになる。

それを端的に表したのが『地材地建』という言葉ですね。

(ちなみに「男が育たない」理由は「女房にするなら越後女」と言われるくらい新潟の女性が素晴らしいからなんだとか^^ 新潟が全国2番目に離婚率が低いのも新潟の素晴らしい女性のお陰ですね♪)

大きくうねりながら成長する魚沼杉。
(我慢気質の新潟県民のよう?)

この木を伐倒します!迫力満点!

伐倒開始!チェーンソーの音がけたたましく響く!


ムービーを作りました^^臨場感満点です!
(音が大きいので要注意!)

切れた!伐倒士さんカッコいい!(アイテムもオシャレ)
伐倒士さんは狙った場所に5度もずれずに倒すことが出来るらしい。

樹径は約80cm。年輪から見て樹齢80年ほどだった。

倒された杉の木。
赤身がまだ薄いのは切りたてで水分が残っているせいか。

倒す際に入れた「切り込み」

①まず、倒す方向側に上の「切り込み」を入れる。(右手前)
②その後倒さない側に切り込みを入れる。(左奥)
(裏と表で高さをずらして切り込むことで段差部分を作る)

段差部分(垂直に繊維がボソボソなっている部分)を残すことで、木がゆっくりと倒したい方向に倒れるようにコントロール出来る。
(すごい!)

倒した木は数日間そのまま放置し「葉枯らし乾燥」をさせる。
幹の水分が枝に吸われて、幹の含水率を落とすことが出来る。
幹の含水率が減ると虫などがつきづらくなる。

その後、枝を伐採し、適度な長さに切ってトラックで製材工場へ運ばれる。

木には一本一本タグがついていた。
(県が販売前に調査した印)

「枝打ち」がされていたりされていなかったりまちまちだったのが気になり樋熊さんに尋ねてみたところ、「15~30年間隔で枝打ちされるのが一般的。枝打ちされているのは30年前くらいのものだろう」ということ。

枝打ちをすれば「無節」という高級な建築材を作ることが出来る。
しかし手間はかかる。

バイオマスなど木材の利用の幅が増えた今、どれくらい手間をかけるかも考えどころなのかもしれない。

山を降り製材工場へ。

丸太を製材する様子を見学させて頂いた。
外壁板を挽いているところ)

製材された板は乾燥機にかけられ、含水率を落とす。
(板に含まれる水分を減らし、建築後の反りや狂い・割れが起きづらいようにする)

そして、、

こ、これは!?

これは実は、魚沼杉の特徴である「木の根元のうねった部分」を加工したもの!
建築用の柱などには使えないものを一世紀住宅さんでは「テーブル」や「ベンチ」として活用しよう!と考えられています^^

「材を余すところなく使う。」

魚や野菜を頂くときと同じような考え方ですね。素晴らしい!

言うなれば『材のリノベーション』?(新たな価値を見出す)

しかも、このテーブルの第一号は「あの彼」の家なんだとか^^

ワクワクですね♪

加工を待つ丸太たち。

谷内製材さん作業所。

「塗装がきれいに残ってるなー。塗って1、2年かな?」

と思って聞いてみたところ塗装は5年前のものなんだそう!
(塗って5年でここまできれいに残っていれば良いほうだろう)

外壁は28年前に張ったものだそう。

「材の乾燥具合の影響かな?それとも塗装屋さんの仕事が丁寧だった?」

など、いろいろな勉強をさせて頂きました^^
(樋熊さんいろいろありがとうございました!)

その後、外壁材を保管している倉庫へ。

ウッドロングエコ(環境に優しい防護塗料)を塗った外壁材の販売をこれから始められる。
ウッドロングエコは木が腐朽しづらくなり、モダンな表情から近年とても人気^^

通常は現場で塗布するので手間がかかりますが、塗布済みのものであれば助かりますね^^
品質管理もしやすいでしょう。

一世紀住宅さんの家でも多用されています。
ケンチク探訪♪ 14『一世紀住宅さんモデルハウス at 天野エルカール。』

少し節が多めなのが魚沼杉の特徴。

等間隔に立てかけられた外壁材は現代アートのよう^^

この日は、「伐倒→製材→加工品見学」とフルコースで堪能させて頂きました!

一世紀住宅さん・谷内製材所さん・魚沼木協さんありがとうございました^^

とても良い経験と知識を得させて頂きました。

今後とも宜しくお願いいたします!

おまけ................

十日町では木の外壁板を「木裏」を外側にして張っている家が多いそう。

通常は「木表」を外側にして張ることが一般的。

木表は見た目がよく、木のささくれ立ちが少ないから。
また、外側へはねるようにそるため、水切れも良くなる。

しかし、十日町では木裏の特徴である「赤身が多い(防腐力が高い)」ことを優先して、木裏を外側にして張っているそうでした。

僕にはそれが驚きで、帰り道に木の外壁の家をジロジロと笑

たまたま見かけたお宅。

「本当だ!木裏が外側だ!」

念のためもう一軒。

「木裏が外だ!」

木造建築はその地域の大工さんの知恵や経験によって様々な進化を辿ってきました。

その地域(風土)に合った技法や材が選ばれてきました。

(そういった技能は今や失われかけているのかもしれません。)

そういった地域の大工さんの技の片鱗を垣間見れてとても面白かったです^^

建築(特に木造)は、

自然科学の探求であったり、物理であったり、デザインであったり、歴史であったり、、

本当に面白いですね♪

-「超高断熱の小さな家」escnel design-
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