『設計』とは。ー重心をとらえるー
『設計』とは。
『設計する』とはどういうことか。
僕は、設計するとは、
『条件や要望の重心をとらえ、示すこと。』
だと考えている。
設計士にプランを依頼すれば、
十人十色のプランが出来上がる。
それは、それぞれの設計士の
「重心のとらえ方」が異なっているから。
デザイン性を大切にする設計士
使い勝手を大切にする設計士
素材感を大切にする設計士
居心地を大切にする設計士
売れやすく作りやすくクレームの出にくいことを優先する設計士もいるでしょう。
いろいろな設計士がいるなかで、
僕が大切にすることは、
『イニシャル・ランニングコスト・メンテナンスコストを抑えること。』
と
『冬暖かく快適に過ごせること。』
設計するとは、
条件や要望の重心をとらえ、示すこと。
バランスをとる。と言ってもいい。
建て主にとってどの要望が大きく、どの要望が小さいのか。
重心をとらえるためには、建て主の条件や要望を整理することが必要になる。
要望の中には、建て主が今は自分では気がついていない潜在的なものも含まれる。
(例えば、新築して30年後にかかってくる費用など。)
それらを分かりやすく整理して、具体的な形にして提示する。
理由を説明し、納得して家づくりを進めて頂くことも重要になる。
『条件や要望の重心をとらえる。』
そこには工学的な判断や、美的な判断が複合的に絡み合ってくる。
そして、経済的な判断も。
時には、子供のためを思う道徳的、教育的な判断もあってもいい。
(素材からの刺激、庭や植物、経年変化するもの、、)
その判断がとても難しく、そしてまた面白い。
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建築の魅力は、
『美術』と『工学』の要素を併せ持っているところだと思う。
耐震性や断熱性を確保するために、
必要な量を割り出すために、
理論や計算は必要。
しかし建築には、理論や計算だけでは割り切れない部分がある。
それが美的(感覚的)な部分。
空間の心地良さ。
雰囲気。
印象。
人と人の距離感。
町の風景。
情緒。
、、、
それらのバランス(重心)をとり、具体的な形に示す。
重心の位置は、建てる人によって異なる。
それを感じ取り、そのほかの条件とのバランスをとって
設計に落とし込む。
それが、『重心をとらえ、示す。』
という作業=「設計」なんだと思う。