【秘訣】2018年の「強風」から太陽光パネルを考える。
ゆうです。
今年の3月1日に新潟市で強風が吹きました。
新潟市西蒲区では最大瞬間風速35.9mを観測し、
その影響で電柱が真ん中から折れたり、トラック8台が横転する被害も出ました。
瞬間的に吹く強風のリスクを考えてみたいと思います。
難しい話はあとにして、強風のリスクの結論を先に言うと、
太陽光パネルが飛ばないか心配
ということです。
以前もブログに書きましたが、近年太陽光パネルが強風で飛ぶという事故が増えてきています。
画像は日経ホームビルダー2018.1月号より。
詳しくは上記サイトより購入して頂きたい。
・屋根の谷の部分で部分的に風圧が強まりパネルが飛んだ。
谷には雨や雪だけでなく、風も集まる。(画像はこちらのHPから。)
・想定風速以上の風が短期的に吹いたためパネルが飛んだ。
・2017にJIS基準の風圧荷重の見直しがあり風圧加重は従来想定していた約2倍に引き上げられた。
ZEHの影響もあり、屋根ギリギリまで太陽光パネルを設置している家を見かけることも増えました。
また先日、強風の影響で屋根の雪止めアングルが外れ、車に落下したという話を聞きました。
屋根の上に設置される雪止めアングル(落下した現場とは無関係)
落下した原因は
・強風が吹いたこと。
・アングルの留め付けがワンタッチ方式であったこと。
(ボルト留め方式でなかったこと)
・屋根幅が短く、留め付け箇所が少なかったこと(2箇所)。
のようでした。
もし雪止めアングルが人間に落ちてきたことを想像すると、、
とても怖くなります。
対策としては、
・リスクが発生することを知っていること。
・リスクが発生しないように対策を講じること。
・ギリギリの設計は避け、なるべく安全率の高い(余裕のある)設計を心がけること。
(構造計算することは言うまでもなく)
これらを真面目に、真剣に、慎重になって家をつくることが重要だと思います。
とはいえ、それを建て主様(建築の素人)が考えることは困難。
建て主に出来ることはやはり、
『信頼できる設計者を探してみつけること。』
なのでしょう。
(余談)................
強風が吹いた場合、家本体は大丈夫なのでしょうか。
家を設計する際に使う基準風速(新潟市)は30m/秒です。
この風速をもとに家の壁や屋根にかかる風圧力を計算し、家が風に耐えられるかを確かめます。
基準風速は、その地方における過去の台風の記録(最大風速)に基づき、50年に一度の大型台風を想定し国や市町村によって定められています。
(30m/秒~46m/秒)
基準風速は、最大風速から求められています。
では、最大風速と最大瞬間風速の違いはなんでしょうか?
最大風速とは10分間の平均風速の最大値です。
最大瞬間風速は瞬間風速の最大値です。
(天気予報や気象情報などで「風速○メートル」という場合、10分間の平均風速を指しています。)
では、基準風速と最大瞬間風速の関係は?
こちらのHPより引用................
実際の台風では、各地の基準風速よりも大きな最大瞬間風速が観測されます。
例えば2004年の台風18号では、広島で最大瞬間風速60.2m/秒を記録し各地に甚大な被害をもたらしました(広島の基準風速は32m/秒)。
では、基準風速38m/秒の建物に最大瞬間風速60.2m/秒がかかると壊れるのかと言えばそうではありません。
基準風速は建物の設置されている状況や建物の高さ、その他係数を用いて風圧力を算出する為の数値です。
状況により誤差は生じますが、各地域の基準風速は実際の目安として概ねその数値の1.5~1.8倍程度の最大瞬間風速に耐えうることを想定して定められています。
※気象庁 災害時自然現象報告書 2004年第3号より
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つまりザックリ言えば、新潟市の基準風速は30m/秒なので、
およそ、30×1.5~1.8=45~54m/sの瞬間最大風速に耐えられるように考えられているということですね。
(もちろん「構造計算」をしていない家は除きます。)
強風により
「建物が飛んだ!」
とか
「屋根が全部飛んでいった!」
という話をあまり聞かない理由はそういうわけです。
(屋根の板金などの表面材が飛んだという例は多数あった。)
今後、今年の大雪のように異常気象は増えていくのでしょう。
すべてを想定しきることは不可能(+不経済)ですが、
そういったリスクがあることを頭に置きながら安全性の高い設計をしていきたいと考える今日この頃でした。
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村松 悠一(ゆう)
エスネルデザイン代表(設計士)
たまに読むマンガ
:インベスターZ、ドラゴン桜(三田紀房)