【秘訣】壁内にカビ発生。「中古住宅購入時の注意点」

【失敗しない家づくり】の秘訣

ゆうです。

先日、知人から「室内にカビが生えてきた。」という相談があり、伺ったところ大問題が発覚しました。

「施工の不良」「中古住宅を購入する際の注意点」

勉強させられました。

※今回の記事にはカビの写真があります。苦手な方はご遠慮ください。


半年前に築20年の中古住宅を買った知人から

「室内にカビが生えてきた。」と聞いたときは、

「サッシの結露水が溜まってカビが生えたのかな?」と思いました。

石油ストーブ+加湿器+アルミサッシ+換気無し

の状況ではよく起きることです。

しかし、家に伺うと全く事態は違っていました。

丸の部分にうっすらカビが浮き出ていた。
室内に生えたのではなく、壁の内部から出てきている様子。

「え?こんなの見たことない。(これは大ごとだな。)」

と考えを改め、事態の重要性を知人に伝える。

柱の隙間から室内側へ生え出すカビ。
多量の水分が保持されないと通常ここまでカビは生えない。

押してみると「グニっ」とへこむ。

木材にも濡れたような形跡があった。

知人に状況を伝えて不動産業者に調査してもらうよう伝える。

後日、不動産業者が外壁を剥いで壁を確認することになったということで再度訪れた。

【ポイント!】
中古住宅の売主は一般の人か不動産業者か。

○売主が一般の人の場合

契約時に「売主の瑕疵担保責任を免除(または○ヶ月間と)する」という特約が付くことが一般的です。

簡単に言えば

「現状で売るから今後問題があっても文句言わないでね。(そのリスクも含めた価格設定だよ)」

ということです。

(買う立場からしたら辛いですが、自分が売る立場ならこう言いたいですよね。)
(数年経ってから「雨漏りしたので損害賠償を」を言われても辛い。)

そのような場合、今回のように「なんらかの問題(隠れた瑕疵)」があったとしても売主に費用を請求することは出来ません。

※改正民法(H32.4.1施行)では「隠れた瑕疵」は「契約の内容に適合しないもの」に言い換えられる。

○売主が不動産(宅建)業者の場合

瑕疵担保責任の期間は最短でも2年は必ず設けられます。(宅建業法)
(2年以下にするような特約は無効扱い)

そのため、今回のようなことが起きた場合、不動産業者は対応する責任があります。

中古住宅購入時には売主が誰であるかが大きなポイントになります。

今回、知人が幸運だったのは、

・売主が不動産業者だったこと

・購入して2年以内に問題が発覚したこと

でした。

さてさて、現場の状況はというと、、、

外壁を剥ぐ。とりあえず防水紙と通気工法は施工されていた。
が、和室の出窓の入隅部分の下地材はボロボロになっていた。
(防水紙が出窓とその他で違うので過去に補修があったのかもしれない)

下地材はボロボロでスカスカ。
シロアリに食べきられている様子。

基礎との取り合い部分。蟻道はすでになかった。
シロアリはどこから?基礎の内部からだろうか。

そして、防水紙が水切りの裏に施工されていた。
これでは雨水は室内に入り込んでしまう。→×

同様のことは出窓の屋根部分でも。(水切りが防水紙の外)
これでは防水紙を伝った雨水は室内に侵入してしまう。→×

防水紙が膨れて外壁の「通気層」をふさいでいた。
通気層がふさがれると室内の湿気が上手く排出されず壁内に湿気がこもるリスクが高まる。→×

和室は真壁納まり(柱が露出する納め方)のため壁の厚みが他より狭い。
そこに他と同じ厚みの断熱材を入れたことで防水紙が突き出てしまったと思われる。

そして徐々に問題の部分が、、、

通気層に大量のカビが、、
和室(1階)の屋根がこの状態なので2階からの雨水の流れに問題がある。

和室の出窓の上部(2階)にも出窓があった。
当該部は北西面。冬場一番雨風が当たる場所。

さらに外壁を剥いで見るとこの状態。
出窓の上部には外壁を留める為の下地材が横に入っていて、通気や雨の排出を阻害していた。→横下地材が濡れてカビ発生。

通気層の施工の重要性を改めて感じる。

後日、出窓の屋根を剥いでみると下地が湿っていて劣化していた。
(勾配が少ない→△)

断熱材を剥ぎ取り、問題のカビが生えた壁の内部を調査する。

断熱材を撤去した壁内。カビで真っ黒・真っ白だった。
室内にカビが染み出す理由が分かった。

赤丸あたりから室内へカビが入り込んでいる様子。
恐ろしい。

明確な原因はさらに分析が必要だが、おそらく

・雨水の壁内への浸入。


・室内からの湿気の侵入。


・水分の壁外への排出の阻害(通気不備)

→カビの発生。

だろうと推測される。

断熱材は、内側にシートがあるタイプだったが、ところどころに穴があいており「防湿」機能はなさそう。

真壁納まりで防湿層(この場合は恐らくビニールクロス)が不連続だったことも、室内から壁内へ湿気が侵入したであろう理由の一つと思われる。

(他の大壁納まりの出窓がある部屋では起きていなかったため※あくまで室内から見て)

構造材である柱もボソボソになっていた。→×
(シロアリではなく、水分の影響かと思われる。)

これらを調査結果として知人に報告し、

不動産業者に送るメール文の作成なども行った。

・現状の確認(土台や他の出窓など)と説明

・対応策

・回答を書面(メール)で頂きたいこと

・今後同じようなことが起きた場合の対応について

補修案としては

・適切な防水、防湿施工

・適切な通気施工

・劣化した構造材の交換または補強

などを依頼した。
(具体的な説明がないなか、補修工事が始まろうとしていた。)

知人には追加で

・出窓をなくすこと、和室を洋室にリフォームすること

を有償で依頼することもありだよとアドバイスした。

後日、不動産業者から回答があり補修してもらえることになったそう。

「これから先、同様のことが起きた場合も対応します。

ただし、2年間の保証となっています。

ということだった。

今回は和室以外の他の出窓では室内から見たカビの発生はなかった。

しかし、出窓の屋根の納まりなどは同様だと思われるため、もしかしたら時間の問題かもしれない。

内部結露に関しては、ビニールクロスが簡易防湿層となりある程度は防いでくれるかもしれない。

また、石油ストーブや加湿器・換気など住み手側の使い勝手によるということも要点となる。

そして「中古住宅」であるということでどこまで許容するかという点もある。
(価格もあるので)

アドバイスとして

「様子を見て、保証が切れる前の来年の春にもう一度状況をみて判断する」

というのでも良いかもしれないよと伝えた。

(僕が正確に調査したわけではないのであくまで助言。)

中古住宅の購入はこういったことが往々にしてある。

インスペクションをしても全てがわかるわけではなく、住んでみて初めて発覚することもある。

中古住宅を検討する際には、こういったことを理解した上で購入することが重要になる。

おまけ................

その他の調査報告

出窓の側面には断熱材は入っていなかった。
(20年前の断熱施工では往々にしてある)

興味深いのは「断熱材が入っていないほうが壁内結露しづらい」ということ。
(昔の家なども同様)
中途半端な「中気密中断熱」が一番危険。

外壁(窯業系サイディング)のシーリングはまだ粘性を保っていた。
(防水性を保っているとは限らない。)

防水テープ(ブチル系)も粘性を保っていた。

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