S邸リノベーション。25「床断熱・新規金物・防水シートと防蟻剤」

S邸リノベーション

ゆうです^^

S邸の工事報告です。(8月末~9月頭)

金物を追加し、床断熱のための床下地工事が進んでいます。

外壁を全て剥がしたことで、既存の防水シートの(ずさんな)施工の様子が浮き彫りになりました。

全ての外壁が解体され、外周りは既存の防水紙のままとなりました。

よくよく見てみると、、、

角の柱が露出している→×
防水紙が張りきれていない。

柱が腐らなかったのは、外壁で防水が取れていたから。
もし外壁から雨漏りがあれば、その裏の防水紙の隙間から雨水が浸入し、柱は腐っていたかもしれない。

そしてこれ。

角の防水紙に隙間があるだけでなく、防水紙に茶色い染みが、、、

これ、柱に塗った「防蟻剤」が染み出たもの。
防蟻剤が溶け出すことで防水紙の防水性を低下させるリスクは数年前から問題になっている。

日本透湿防水シート協会HPより。

この件から、化学薬品はそれ自体では問題がなくとも、なにか他の条件と合わさることで想定外の事態を引き起こす可能性があることを学ばされました。

エスネルデザインでは、なるべく化学薬品は使わない家づくりを勧めています。
(新築住宅では高基礎とすることで防蟻剤は使用しない設計をしている)

シート自体の劣化はないようだった。
(また、水をかけてみたがある程度撥水性は保たれていた。)

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そして現場の自慢がここ、仮設トイレ。

「仮設トイレのきれいさ」と「仕事の丁寧さ」は高確率で比例します。

素晴らしい!
匂いもないし、ペーパーも洗浄液もバッチリです^^

経験上、
「仮設トイレのきれいさ」は「棟梁のリーダーシップ、仕事へのプライド」とも比例していると感じています。

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さてさて、内部も作業が進んでいます。

玄関土間。
これからタイルの上に断熱材を敷き、断熱気密を強化する。

やり直された床下地

給排水管も新規に入れ替え。
+既存大引きの上に新規の大引きを載せる。なぜか?

それは、、

【床付近詳細図(断面)】
既存大引きの上に新規大引きを載せるのは「床断熱材の厚みを確保するため」。
(ベージュ塗りつぶし部)

床断熱材の厚みは180mm(通常の約2倍)。
下地間に密実に入れるため現場吹きつけ断熱材とした。
(その上に気密シートを張る。これぞ『断熱リノベーション』!

※S邸のUA値は一般的な新築住宅よりも数段高いUA=0.35

オレンジ部の深さ分、断熱材が入る。

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浴槽も解体された。
以前紹介した腐朽した土台は交換し、柱も取り除かれた。

S邸リノベーション。23「解体②浴室の柱の腐り・筋交いの欠損!」

新規柱の取り付けを待つ柱設置金物。

設置後は右側の柱のようになる。
引抜にも耐えられる金物で柱の設置も簡単。
(ホゾなどの加工が不要)

既存柱にも計算により必要な耐力の引き抜き金物を設置する。
(右は金物設置後)

金物設置は何十ヵ所にもなるため「計算」にも「監理」にも設計事務所の必要性を強く感じた。
(特にリノベーションには)

必要な部分に金物がなかった部分にも新規金物を取り付ける。

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齋藤建築さん、細かい仕事をいつもありがとうございます。

リノベーションには

「設計」「断熱計算」「構造計算」など建築士の設計力。

「細かい調整作業」や「リノベーション経験」などの工務店の施工力。

「金物など詳細な仕様を漏れがないか点検」する監理力。

など、それぞれ専門性と手間が必要な工事であると毎回痛感させられます。

-「超高断熱の小さな家」escnel design-

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