【お客様の声】網川原のエスネルK様「真冬日の超高断熱の家の室温報告。」
ゆうです^^
網川原のエスネルのK様が素晴らしいブログを書かれています!
テーマは
「真冬日の超高断熱住宅の室温はどうだったのか!?」
1階と2階の温度差は?
体感的な快適度は?
実際の満足度は?
これはもうエスネルデザインの財産です。
K様ブログの「最後の言葉」がとても印象的でした。
いやー、
なんて頼もしい建て主様なんだ。
(K様ありがとうございます(T_T))
僕も書くので分かりますが、分析系の記事を書くのはとても時間がかかります。
データ測定、考察、グラフ化、そしてそれらを分かりやすくまとめる。
完成まで何時間もかかります。
ただその分、分析系記事をまとめたときの達成感は大きいですね^^
「やったぞ!」という気持ちになります。
K様のブログ
設計契約の前から書かれていて、いろいろ悩まれた経緯などとても参考になります。
K様が書かれた今回の記事はこちら^^↓
K様の真冬日の室温測定の記事に補足をつけさせて頂きます^^
家の性能は上記の通り。
UA=0.24の「超高断熱仕様」。
2020.2.6.真冬日の網川原のエスネル。
2/6~2/7の外気温(新潟市)。
2/6は最高気温が0度以下(=真冬日)となった。
(日照時間も少ない)
【空調条件】................
床下AC(10畳用)
:17時〜翌7時までON(22.5℃設定)
※ランニングコスト最適化のため日中はOFFにされている。
〈夜間電力プラン+蓄熱方式運用!〉
2階AC(6畳用)
:2/6は完全OFF、2/7は17時頃からON(22.5℃設定)
換気
:熱交換なし換気扇(24時間換気0.5回/h)
※エスネルデザインの推奨は熱交換なし
(詳しくはいずれまた)
日射熱取得
:ほぼ無し(日射ほぼなし+ロールスクリーン全閉)
................
【室温】
室温グラフから状況を読み解くのは少し経験が必要です(難しい)。
コツは詳細よりも「全体」の変動を見ること^^
全体グラフ(K様作成)
グラフから「室温の変動が少ない(最高~最低=3℃程)」ことが読み取れます。
さらっと書きましたが、
外気温0℃以下で
エアコンOFFにして10時間経過後の室温が3℃しか下がっていない。
(約23.5℃→約20.5℃)
控えめに言って、すごくないですか?
(低断熱低気密の我が家だったら、エアコンを消して数分で3℃下がるかも)
なぜなのか?
もちろん、超高断熱が効いています。
「超高断熱=外に逃げる熱が少ない」から。
ただし、それだけではありません。
それは、蓄熱性。
(蓄熱量)
熱の逃げが少ないだけでなく、
熱を溜め込んでいる量が多いので室温が下がりづらいんですね^^
【床下の室温】
床下ACは17時〜翌7時までON(22.5℃設定)。
その間に床下に熱を溜め込みます。
このとき、熱容量の大きい基礎(コンクリート)と水が熱を溜め込みます。
水?
水ってなに?
こちらです!!
床下AC前に並ばれたペットボトルたち(2L)。
飲み終わったものに水道水を入れるだけなので超お手軽&ローコスト^^
高基礎だと床下に入れるのでこんなことも容易に出来る♪
高基礎&床下収納バンザイ!
ちなみに水は熱を貯める素材としてはスーパー優等生♪
「熱を貯められる=その物の温度を上げるのに必要なエネルギーが大きい(=比熱が大きい)」
ということなのですが、
素材ごとの比熱を並べると
(容積比熱。単位:kJ/m3・℃。十の位を四捨五入)
鉄 :3500
アルミ :2500
木(杉) :500
空気 :1
コンクリート:2000
水 :4200
水が一番優等生!
コンクリートの約2倍、木の約8倍、なんと空気の約4200倍の熱を貯められます。
そして、空気を除き、水が一番安い^^
水、ありがとう!!
水に比べ、空気の容積比熱は小さいですね!
少し話がそれますが、今の家には「24時間換気」が義務付けられています。
換気扇により、2時間で家の空気がまるごと交換されます。
皆さんは
「そんなに換気してるのになんで家は暖かいままなの?」
「2時間で空気がまるごと入れ替わるなら、2時間後には室温は外気温になってしまいそうな、」
と思われたことはありませんでしょうか。
(僕はあります)
その答えが「空気の容積比熱」の少なさから読み取れますね^^
空気を暖めるのは実は簡単。
温度を上げるために必要なエネルギーが少ないから。
エネルギーがより必要なのは、床や壁や家具などモノの温度を上げるほう。
なので上記の疑問の答えとしては、
「空気は入れ替わるが、建物が暖まっているので極端に室温は下がらないから」
ということになります^^
※人間の体感温度はおよそ=(室温+壁天井床等の温度)÷2
室温も重要ですが、同等に周囲の温度からも大きく影響を受けます。
ここに、室温測定グラフの落とし穴があります。
室温測定グラフを見るだけでは、その家が快適かどうかは分からないんです。
極端に言えば、低断熱の家でも暖房機を連続運転し続ければ温度が一定な測定結果を得ることが出来ます。
室温が一定で快適そうに見えても、壁床天井などの暖まりが悪ければ体感温度は低くなり、不快に感じるかもしれません。
(特に足が触れる床温)
快適な家かどうかの見極めは
暖房機を切ったあとの温度の下がり具合
が大きいか、小さいか、によって判断することが出来ます。
(断熱性、蓄熱性が読み取れる)
そういう意味では、K様の温度測定結果は「超高断熱の家の快適性」を示すのに最高のもの。
K様、本当にありがとうございますm(_ _)m
全体グラフ(既出)
外気温0℃以下、エアコンOFFして10時間経過後の室温の下がりは約3℃。
うん、すごい。
本当は、こういったロジカルな説明よりも、体感してもらったほうが比べようもないくらい参考になります。
家に入れば、説明は不要です。
室温、気流感のなさ、放射熱の心地良さ、すべて体が理解します。
まさに一見は百聞にしかず♪
(ただ、今のところ、冬場の見学会の予定なし(^^;))
................
長くなってきました(^^;)
話を戻します。
【床下の室温】最高約33℃→最低約24℃。
この下がり分の要因は、
①基礎からの熱の逃げ
②1階2階への熱の移動
床下は、1階床の表面温度を高めるため、1階よりも高温になるよう設計しています。
(吹き出しスリット幅の調整)
その結果、1階床は約24℃以上に。
2020.2.9 9:00頃の網川原のエスネル。
1階床温なんと25.5℃。
人間は身体の末端に神経が集まっているため、末端が暖かいと快適に感じる。
→足が触れる床温が快適性に与える影響はとても大きい。
しかも、この温度が1階床すべて。(浴室も玄関も)
ここが範囲が限定的な床暖房と異なる点。
(イニシャルコスト・メンテコスト・交換しやすさでも優位)
(床温が高くなり過ぎない点でも優位)
また、床下エアコンであっても、高基礎でない場合、床全体に暖気を巡らせるのは非常に難しい。
(床下空間の小ささ・基礎立ち上がりなどによる抵抗が大きく、エアコンからの距離に応じたスリット幅の調整、風量・風圧の調整など非常にシビア)
また、高基礎の場合は、空調経路となる床下の清掃も容易。
やっぱり高基礎バンザイ!
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脱線しまくりですね(^^;)
話を戻します。
【床下の室温】最高約33℃→最低約24℃。
室温が下がった要因である「基礎からの熱の逃げ」の解説。
床下エアコン運転時の床下内は高温のため、外気との温度差が大きくなります。
そのため、熱の逃げも大きくなります。
これはある程度仕方のないところ。
基礎の断熱性を高めれば熱損失は減らせますが、イニシャルコストは増えるので、コストパフォーマンスの高いポイントの見極めが設計者の腕の見せ所。
また、結露リスク抑制なども考慮する必要があるので、安易に床下全てに断熱材を敷き詰めるのは慎重に考える必要がある。
(夏場の地中冷熱が利用できなくなるというデメリットもある)
(電気代の上昇等によりチューニングもあり得る)
※現在、格安・メンテ良・熱損失低減の「ある改善案」を建て主様に提案中。
床下エアコンの「蓄熱方式」での運用は実績が少ないため、K様と一緒に試行錯誤していこうと考えています^^
(吹き出しスリットの大きさ、ペットボトルの量。床下の断熱性向上など)
【ダイニングの室温】最高約23.5℃→最低約20.5℃。
※目盛り間隔が全体グラフのものと異なるので温度の変動が大きく見えるが、実際は最高温と最低温の差は3℃程であることに注意。
2/6の室温はエアコンON時にも設定温度22.5℃まで届いていない。
(17:00~翌7:00)
これは外気温が下がり、家が冷えたためと思われる。
家(壁天井床等)が暖まるまでは室温も上がりづらい。
(壁天井床に熱がどんどん吸われる(蓄熱される)ため)
これは、帰宅後にエアコンを付けてもすぐに暖まらない経験がある人であればイメージしやすいかと思います。
最終的には、K様も冷えを感じ、2階の補助エアコンをつけられている。
(室温の冷えよりも、床壁天井等の冷えを感じられたと思われる)
ただし、全体グラフを俯瞰して見てみると、この現象は外気温0℃以下になった2/6だけのことのようなので大きな問題はないと思われる。
全体グラフ(既出)。
温度の変動に大きな問題はない(3℃以内)。
【2階(寝室)の室温】最高約22.5℃→最低約19.5℃。
こちらも1階同様に温度差は3℃程。
1階温度:最高約23.5℃→最低約20.5℃。
2階温度:最高約22.5℃→最低約19.5℃。
と1階と2階で温度差があるが、これはなぜなのか。
(吹き抜け約8帖あり)
状況は
・就寝時以外は引き戸は開放(就寝時は閉)
・2階ホール→寝室への循環ファンはOFF
1階よりも2階の温度が低い理由は、2階個室への空調(送風)を調整しているため。
循環ファンをONにすると、1階と2階(寝室)の温度差を小さくすることが出来る。
現在は
・就寝時以外は寝室にいないこと。
・就寝時は少し温度が低いくらいが快適なこと。
から循環ファンはOFFにされているということ。
循環ファンは
・就寝時以外の個室利用時
(お子様が帰宅後に個室で勉強するなど)
・就寝時も1階と同様の温度が良いという方への対応
そしてなにより
・夏場、エアコンの冷気を運ぶ
ためにとても有効。
(冷気は暖気よりも拡散が鈍いため、ファンで運ぶのが有効)
1階と2階(寝室)の温度差を見る。(既出全体グラフより)
およそ連動している。
→床下エアコンの暖気が2階個室まで行き渡っていることが分かる。
むしろ、普通に考えると
1階よりも2階の室温が低いってすごいこと。
暖かい空気は上昇するので、少し前までは「吹き抜けがある家は1階が暖まらない」が常識でした。
断熱性・気密性が高く、1階2階の温度差が小さい家が建てられるようになったため、その常識は過去のものになりました♪
(→低断熱低気密で大きな吹き抜けは要注意)
床下エアコン:日立 RAS-XJ28J(10帖用)
実質、10帖用のエアコン一台で、快適な室温・床温を作り出している。
(そのためには、断熱設計、そして空調設計が重要)
(床下エアコンはシンプルな仕組みだが、適当な快適性を得るのは簡単ではない)
2階ホールのエアコン:日立 RAS-XJ22J(6帖用)
主に夏場の冷房用(+冬場の補助暖房用)。
吹き抜け上部に設置し、重い冷気を下に広げる。
万が一、厳寒期にエアコンが故障したときのためにも、基本的にはエアコンは2台以上の設置がベター。
(計算上、1台で済むとしても)
長くなってしまいました(^^;)
最後に、K様のブログからK様のお言葉を引用させて頂きます。
................
高断熱の住宅に住んでいると、小さな温度差に気が付くようになるという話を聞いたことがあります。
データ上、この日の室温は普段に比べて0.5~1℃程度低い数値を示しているように思われ、その差を感じ取ったのかなと思っています。
室温の違いだけではなく、壁や床等の表面温度が下がったことによる輻射の影響もあるかも知れません。
とは言え、真冬日でも家の中で過ごしていて「不快」な感じはありませんでした。
これまでの冬の生活(家に帰ったら急いでファンヒーターをつけ、部屋が暖まるのに時間がかかり、暖まっても上下の温度差が激しいため頭がボーッとしてくるが足元は寒い)とは比較にならない程快適で、まさに別世界でした。
................
「別世界」
良い響きですねー^^
伝えるは難しいのですが、超高断熱の冬の室内は本当に別世界。
大げさな表現ではないと思います。
一生に一度の家づくり。
快適な家に住みたいものですね。
K様、ブログをまとめてくださり大変ありがとうございました!
今後の参考にさせて頂きます。