【サーモ】真冬の超高断熱『冬場の日射熱の活用。地域毎に適した設計を。』case.吉岡のエスネル
こんにちは^ ^
吉岡のエスネルで真冬のサーモグラフィ計測を行いました。
・厳寒期、日射熱取得あり。
・超高断熱、高気密、全館空調。
・2階リビング、床下ファン冷暖。
・枠の消える窓(断熱補強)。
『日射熱の室温への影響』が大きなポイント。
真冬のエスネルの室温を紹介します。
吉岡のエスネルは群馬県吉岡町に建つ2階リビングの家。
カフェベランダ、大型ロフト、ウッドデッキポーチ、コーナーサッシ、、
多彩な居場所、居心地を最大限に叶えるプラン。
・延床面積=28.3坪(ベランダ、下屋、ロフト除く)
・UA=0.23(G3)、q=65.9
・耐震等級3(Z=1.0)
・太陽光パネル設置
・杉板外壁×植栽
エスネル最上級グレード『eLX』。
(断熱性G3、耐震等級3(積雪考慮、Z=1.0)、太陽光、国産杉活用、植栽)
これからの時代を見据えた『超高断熱の小さな木の家』です^ ^
【吉岡のエスネル‐6】完成写真たち。『多彩な居場所、居心地。』-豊かな暮らしを愉しめる家- - 住宅設計エスネルデザイン
暖かさなど住んでみてのT様の感想はこちら↓
サーモの値だけでなく『体感の感想』もポイントです。
【暮らし】『住んでみての感想。』暖かさ、大きさ、収納、家を建てて良かったこと。-吉岡、T様のご感想- - 住宅設計エスネルデザイン
【サーモ計測の概要】................................
目的:真冬の超高断熱の室温の調査
調査日:2023.1.19(12:30~14:00)
場所:群馬県吉岡町
外気温:6~7℃程
建物性能:断熱性UA=0.23、q=65.9、気密性C=0.2
暖房:家庭用ルームエアコン
測定時の気温はおよそ6℃。
朝方は0℃近くまで気温は下がっていた。
昼と夜の寒暖差が大きいグラフは冬場に日照が得られるエリアの特徴。
計測時の気温、天気(晴れ、日射あり)。
................
サーモ画像を見て頂く前に「サーモ画像を見るときの注意点」をご確認ください。
S邸リノベーション。17「サーモグラフィ調査①『注意点』。」 - 住宅設計エスネルデザイン
注意点をまとめると
①表示温度に誤差があること。
②温度差の印象操作が容易にできてしまうこと。
※サーモ計測器は「FLIR ONE(Gen3)」。
精度の誤差は数℃(おそらく±1~3℃程)ある。
→複数のサーモ画像の温度を見比べるより「1枚の画像の中の温度差のありなし」に注目して見ると有意義。
................
説明をもうひとつ。
温度バー(サーモ画像の右端にある温度と表示色の関係を示したバー)の最高温・最低温の設定は変えることが出来る。
これを固定(すべて同じ最高温度~最低温度)すると中間の温度の色が画像毎に変わってしまう(→分かりにくい)。
温度と色をある程度固定できるよう
青(冷たい):15℃以下
黄(普通):20℃程
橙(暖かい):22℃程
赤(とても暖かい):26℃以上
と表示されるよう温度バーの最高温度と最低温度を画像毎に調整した。
(→詳細な温度数値を見なくても感覚的に読めるように)
冬の快適な表面温度は概ね21~23℃程。
なので「黄~橙であればOK」と読んでもらえればと思います。
※アプリの仕様変更により温度色の調整がしにくくなってしまった。
(全自動で温度色が反映されるため)
それにより「黄色で表したいのに青になってしまう」「赤で表したいのに白になってしまう」などが起こっている。
=サーモ画像の色の印象よりも実際の温度差は大きくない点にご留意頂きたい。
ではサーモ計測結果を紹介します^ ^
【室温】................
厳寒期であっても
・1階も2階も十分な暖かさとなっている。
・1階と2階の温度差が少ない。
点がポイント。
※床下の温湿度計は冷えやすい外周部の際に置かれていた。
→実際の床下は温度は上記より高め、湿度は上記より低めと思われる。
【暖房状況】................
暖房:1階エアコン(10帖用)のみオン。
(2階エアコンは不使用)
設定温度:21.5℃
運転時間:夜間のみ(午前~夕方はオフ)
設定風速:パワフル
※新潟の場合「設定温度22~24℃」「24h連続暖房」が基本。
冬場の日射熱が活用できるエリアとの暖房運用の違いが面白い。
※測定時はエアコン暖房は全てオフされていた。
洗面脱衣室に設置された暖房用エアコン。
『洗濯物に風が当たる位置』に計画し速乾性を高めている。
冬場、洗濯物の湿気を室内に広げる加湿効果も見込んでいる。
(上記写真はサーモ計測日とは別日のもの)
【秘訣】マルチWIC『洗面-洗濯-脱衣-収納室。』洗う-干す-たたむ-仕舞うを最短距離で。-小さな家の心臓部- - 住宅設計エスネルデザイン
それではサーモ画像を紹介します。
【2階リビング】................
天井(スポット1):30.7℃
壁(窓際)(スポット2):29.2℃
床(畳)(スポット3):27.8℃
・日射熱だけで2階の天井も壁も床も十分暖まっていることが分かる。
(エアコンは全てオフ)
※「暑そう、」と感じやすい画像になっているが実際は快適(薄着)。
「橙=22℃程」となるよう画像調整を行うと概ね「26℃以上=白」と自動で表示されてしまう。
(本当はもう少し穏やかな色にしたかったが出来ず)
=サーモ画像の色の印象よりも実際の温度は大きくない点にご留意頂きたい。
窓の温度が分かりやすいよう温度色を調整したもの↑
窓ガラス(スポット5):38.3℃
(南面、ガラスへの直射あり)
(ガラス温は参考値。正確に測定できていない可能性あり)
・「窓=天然のパネルヒーター」になっている。
超高断熱の家は日射熱で家中の暖房がまかなえる(日中。日射が得られる立地の場合)。
(暖気を運ぶためのしかるべき空調計画は必要)
2階の他の場所も同様。
(申し分ない温度。解説の必要がない)
南面は冬場の日射熱が得られるよう窓を多めに設計した。
(周囲が開けていて眺望が得らえることも考慮)
想定通りの温熱状況を確認。
青い部分は給気扇。
エスネル標準の『熱交換換気扇を用いない換気空調設計。』
冷気(換気で入って来る新鮮空気)が不快でなければ隣接するエアコンはオフで良い。
〈T様より〉................
寒波+日射が無いとき時に2階が21℃台まで下がったため2階のエアコンをつけました。
2階エアコンをつけると寒さはなくなりました。
そのとき以外は2階エアコンはつけていません。夜も問題ありません。
【秘訣】エスネル式換気空調設計。『換気と空調の経路を揃える。』-シンプルな設計で快適性を得る- - 住宅設計エスネルデザイン
【ワークスペース(2階)】
【ロフト】
【サッシ枠の消える窓】................
サッシ枠付近(スポット2):19.0℃
サッシ枠付近の温度差や青くなっている範囲から断熱効果が見てとれる。
快適性、経済性、美観性を叶えるエスネルオリジナルの窓設計。
詳細は下の記事をご覧ください。
【秘訣】『サッシ枠の消える窓。』心地良い窓辺の追求。-特別な居場所、特別な景色- - 住宅設計エスネルデザイン
1階へ................
【子供室(南向き、直射あり)】................
天井(スポット1):27.9℃
壁(スポット2):23.4℃
床付近(スポット3):23.7℃
・壁、天井、床ともに問題なし。
(天井温が高いのは2階床(日射あり)からの伝熱の影響あり)
・『個室排気』の換気設計のため冷たい外気が個室に入ってこない。
【マルチWIC(洗面-脱衣-洗濯室。北向き、直射なし)】................
直射なしの室であっても概ね24℃程。→問題なし
【マルチWIC(洗面-脱衣-洗濯室)】................
上記同様。概ね25℃程。
※青い部分は給排水部(洗濯機運転中)。
・脱衣室が暖かいと嬉しい^ ^
・物干し場にエアコンの温風が当たる設計になっており洗濯物がすぐに乾く。
【マルチWIC、階循環ファン(2→1階)】................
天井(スポット2):24.5℃
階循環ファン(スポット1):25.4℃
『階循環ファン』とは上階の空調空気を下階へ循環させるためのファン。
このファンにより1-2階の温度ムラを低減させる。
(特に2階リビングプランの場合に有効。1階リビングの場合は吹抜けにより空調空気を拡散させる)
サーモ画像から「2階の暖気が1階へ降りてきている」ことが分かる。
【浴室】................
・天井-壁-床に温度差がなく特に床が暖かいのが嬉しい。
・水分も乾きやすいためカビの発生も抑えられる。
【玄関】................
天井(スポット1):24.6℃
壁(スポット2):23.7℃
床付近(スポット3):23.1℃
玄関戸下(スポット5):20.1℃
・一番冷えやすい「玄関戸下」でも20℃以上→問題なし。
(本当は20℃=黄色で表現したかったが出来ず)
床下へ................
【床下】................
・床下も十分に暖かい。
・一番冷える断熱際(スポット5)でも19℃以上。
〈建て主様皆さまへ〉
赤四角(スポット6)=断熱材の上付近は
・外周部のため冷えやすい
・隅になっているため暖気が巡りにくい
ため「正確な温湿度が計測されにくい」です。
「床下の温湿度計は床下中央部」に置かれるとより正確に計測できます。
【床下】................
天井(スポット1):22.2℃
壁(スポット2):21.8℃
床(スポット3):21.0℃
・無暖房室であっても21℃以上。(すごい)
無暖房の床下が暖まるのには理由があります。
【床下、階循環ファン(1階→床下)】................
天井(スポット2):23.6℃
階循環ファン(スポット1):24.6℃
『階循環ファン(1階→床下)』により1階の空調空気を床下へ循環させている。
2階→階循環ファン(2→1階)→1階→階循環ファン(1階→床下)→床下
と空調空気が家中を循環する空調設計。
(必要に応じてオンオフ可)
このファンにより床下を暖める。
・床下を暖めることで1階床を暖める→足元の快適温を確保
(≒熱ロスを抑えたほど良い床下エアコン)
・床下の換気にも有効(床下の湿度を抑える)
〈床下おまけ〉................
【太陽光のパワコン(床下設置)】................
パワコン上部(スポット1):39.2℃
(伝わりやすいよう温度色を調整)
太陽光発電中のパワコンは想像以上に熱を発する。
→高基礎のエスネルは『床下にパワコンを設置』できるのがとても良い^ ^
・冬は熱源として活用(床下を暖房)。
・夏は直接的な熱気を感じにくい。
・居室にパワコンが露出しないため美観が良い。
・床下に入れるため点検も問題なし。
外部へ................
【外壁(南面、直射あり)】................
直射部(スポット1):27.9℃
日陰部(スポット2):8.45℃
・日射ありとなしで大きな温度差があることが分かる。
・冬の日射が窓に有効に当たっている(=室内に入っている)ことが分かる。
(太陽高度が高い夏の日差しはカット。屋根の出の設計)
【外壁(北面、直射なし)】................
日陰部(スポット2):3.9℃
内部が暖かくともこの時はまだ厳寒期(1/19)。
高断熱の壁により20℃以上の温度差が作り出されているのが分かる。
以上、吉岡のエスネルのサーモ計測の紹介でした^ ^
最後にT様の感想を紹介します。
〈T様の感想〉................
■暖かさの感想。上下階・各室の温度差の感想。
温度差は全く感じません。寒いと感じる場所がないのでとても快適です。
室内では薄着+裸足でかなり贅沢に暖かく過ごしています。
■窓辺の寒さはあるか(気流感、冷輻射)。
全く気になりません。ベランダの掃き出し窓付近でも寒いと感じたことはありません。
■日射熱取得の感想、窓の大きさはちょうど良いか。
この量で良かったです。秋は日射取得が多くなりすぎることもあるのでこの量+日射遮蔽型トリプルガラスで十分でした。
(日射取得型ペアガラス等にせず良かった)
(トリプルガラス:夜の冷輻射低減、熱損失低減に貢献)
視線の抜ける窓と壁のバランスもちょうど良いです。
■乾燥感の感想、加湿器のありなし
湿度は概ね40-50%程です。加湿器の必要性は感じていません。
(浴槽の残り湯や洗濯物による加湿を活用)
【まとめ、要点】................
〇冬場の日照が得られる地域は窓からの日射熱取得を活用することは有効。
〇しかし必要以上に窓を大きくしすぎたり断熱よりも日射熱取得を優先し過ぎることには注意が必要。
・夜の冷輻射、冷気流の増加
・昼のオーバーヒート
・トータル熱損失の増加
・居心地や外観デザインの偏り(外部からの視線、バランス)
〇冬場の日照が活用できる地域(主に太平洋側)とそうでない地域(主に日本海側)では気候条件が異なるので異なる設計が必要になる。
(適切な窓量、適切なUA値が異なる)
〇実践と調査を重ね地域ごとの気候条件を理解した設計を行って行きたい。
................
T様、快適にお過ごし頂いているようでなによりです。
ご協力頂き大変ありがとうございました^ ^
今後とも何卒宜しくお願い致します。
-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-
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