【能登半島地震】状況の把握。金沢市の液状化被害。-さくら事務所様ブログ紹介-

【構造・耐震性】の秘訣

こんにちは。

能登半島地震について。

なにが起こっているのか。

震源に近い金沢市周辺の液状化被害の様子。

その状況をまとめられたさくら事務所様のブログを紹介いたします。

 

 

 

2024年元日に発生した能登半島地震。

あれから色々なことを考えています。

なにが起こったのか。

建築は今後どうあるべきか。

地震関連のニュースやWEBサイトばかり見ていることもあり精神衛生を整える難しさも感じています。

 

いずれにしてもまずやるべきことは現状の把握。

被害状況を見る。資料や専門家の報告を調べる。

個人の憶測による判断をせず出来るだけ正確に現状を把握する。

 

建築コミュニティ『住学』でも情報共有が進んでいます。

その中で株式会社さくら事務所の横山芳春様の書かれた記事を拝見しました。

状況を詳細にまた迅速にまとめられた記事に敬服しました。

 

能登半島地震でなにが起こったのか。

震源に近い金沢市周辺の液状化被害の様子。

その状況をまとめられたさくら事務所横山様の記事を紹介いたします。

横山様、記事紹介の御承諾大変ありがとうございました。

 

 

令和6年能登半島地震・金沢市周辺の市街地の緊急調査からの提言 | さくら事務所の専門家による不動産・建築ニュース解説

 

 

内容を抜粋して紹介いたします。

(全文や写真は横山様の記事をご覧ください)

以下
太字:横山様記事から引用
細字:エスネル村松の言葉
画像:横山様記事から引用

 


出典:さくら事務所様記事

 

能登地方での震度6強、7という激しい揺れや、津波による被害とは異なり、震源からある程度離れて、震度5強(新潟市西区、金沢市など)で、宅地に大きな被害が生じた。

 

 

〈金沢市田上新町の地盤崩落について〉................


出典:さくら事務所様記事

 

田上新町では、複数の住宅が斜面を崩落した。

住宅は形を残したまま崩落していた。

3棟の住宅と自動車、道路が崩落しており、それらは地盤ごと崩落しているような様子がみてとれる。

自然地盤または南西の斜面にあった「腹付盛土」の崩落と考えるのが自然だろうか。

 

土砂災害ハザードマップは、(特別)警戒区域の場所だけでなく、その周辺で指定されていない場所でも、土砂災害に見舞われることがある。

「ギリギリセーフ」がないことを認識してほしい。

 

村松:山を切った造成地の縁(斜面に盛土された土地)のリスク。

旧地形図や造成工事の詳細資料等の確認の重要性。

 

 

〈内灘町~かほく市における液状化被害〉................


出典:さくら事務所様記事

 

内灘砂丘の東側の低地沿い、確認できた範囲で約8.5㎞程度、帯状に液状化現象が発生していた地域が認められた。

西側に内灘砂丘(標高40~50m以上)があり、砂丘の高い面からみると30m~40m以上低い、標高1~5m前後の場所において液状化被害が認められた。

 

村松:砂丘のふもとが帯状に液状化する様子は新潟市西区の状況と非常に似ている。

同様のメカニズムで液状化が起こったと推測される。

 

横山様の記事では各地点の被害の様子を写真や文章で詳細にまとめられています。

内容の詳細は横山様の記事をご覧ください。

怖がらせてしまい大変恐縮ですが『数年後に新潟でも起こる可能性がある状況』です。

建築士だけでなく暮らす方も知っておくべき内容です。

 

噴砂や道路の沈下のほか、通りの西側の住宅付近、住宅前の側溝に沿って盛んな液状化噴砂丘がみられた。

住宅は沈下して、玄関と基礎部分が大きな隙間となり、壁やタイルの剥離がみられた。

住宅前のコンクリートブロック塀は傾きながら地盤に埋没し、5段あったものが2段分まで沈み込んでいる様子もみられた。

 

内灘町消防署に約20㎝ほどの地盤から抜けあがっている現象(建物は杭で支持される等で、周りの地盤が沈下して段差が生じる現象)、地下配管の途絶がみられた。

杭基礎のあるマンションや、鋼管杭系の地盤改良工事が行われている住宅では、住宅の不同沈下は免れても、このような「抜けあがり」現象があると、上下水道などが途絶することが想定される。

もっとも、1軒だけ途絶を免れても、周囲の地下配管が損壊し、また勾配が変わることで機能不全となることも考えられる。

 

村松:抜けあがり現象は新潟市でも発生している。
(建物下の地面が沈下し改良体が露出。建物は沈下せず水平を維持。排水管は下がり断裂)

 

築10数年という住宅でも不同沈下が発生し、どのように修復していくかお困りであった。

現行の耐震基準の住宅で、耐震性が高い住宅であっても、地盤の液状化に対しては対策がなければ無防備といえる。

 

各地域では自家用車の被害も多く、舗装の盛り上がりや陥没で自家用車が使えない状況を多数目にした。

自家用車が被災すると、余震に備えて自宅前や避難所の車の中で過ごす方もいたが、そのようなこともできなくなってしまう。

重要な移動手段としてのみならず、被災直後はプライベート空間として非常に重要である、自家用車の被害も深刻であった。

 

 


出典:さくら事務所様記事

 

住宅や路面が東側に引きずられるような被害がみられる。

土砂が著しく東側に流動しながら沈下しており、住宅の基礎下の地盤が失われて移動していることが改めて明らかである。

 

本来は基礎下にあって地盤改良体が露出してしまっている事例までみられた。

写真で見えているものは「柱状改良」による改良体であるとみられる。

柱状改良工法は、硬い支持層まで到達させる必要がある小口径鋼管杭工法とは異なり、地盤条件によっては硬い支持層まで改良体が到達していないことがある。

これは、柱状改良では、柱状改良体とその周辺の土の周辺摩擦で支持力を確保している場合があるためである。

この場合は建物の重さに対して支持することはできるが、液状化に対しては効果がないといえる。

また、側方流動の場合は杭や改良体も引きずられて損壊する可能性もある。

 

村松:本来地盤改良は『(地震時ではない)平常時に不同沈下が起こらないようにする』ための工事。

地震時や液状化時に地盤改良が沈下に抵抗できる場合もあればできない場合もある。

(地盤改良は液状化に抵抗するためのものではないが)今後液状化リスクの高いエリアに建築する場合、液状化に抵抗できる確率を上げられる地盤改良を選択する(設計士が建主様へ提示する)ことが望まれる。

(上記提案は「設計士に専門知識が必要」「建主様がコストアップをどう考えるか」等がポイントとなる)

 

 

〈内灘町~かほく市の液状化被害まとめ〉................


出典:さくら事務所様記事

 

液状化を確認できた地域の複数地点で、液状化とともに地盤が流動している現象がみられた。

このことは、下記の図のような液状化に伴う「側方流動」現象が起きていた可能性が考えられる。

(村松:図の詳細は横山様記事でご覧ください)

単にその場で地盤が沈下する水平な場所と異なり、傾斜がある地域では側方流動があると表層地盤は低い側へと動きやすく、川や海などの側に横方向にも移動し、段差や地割れを作りながら地盤が沈下し、地表に大きな変状を与えることに特徴づけられる。

 

液状化現象が起きるのには、次の3つの要素が必要となる
①ゆるい砂地盤(概ねN値15以下)があり
②地下水の水位が浅い場所に
③大きな地震動が来る
以上がそろうことで発生する。

一般に、液状化は震度5程度より大きな、規模の大きい(継続時間の長い)地震で起きやすい傾向がある。

 

今回液状化被害があった地域は、砂丘のすそにあたる場所の砂地盤で、内灘砂丘からもたらされた地下水の水位が浅いとみられる地域で、大きな地震を受けたことで、3要素がそろってしまったものと考えられる。

「低地」のなかでも、液状化が発生しやすい、砂丘の背後(陸側)の低い場所にあたっていた。

 

現状では、住宅建築時、まして居住者に対して、残念ながら積極的に液状化に関する情報や、対策について積極的に通知される法的仕組みはない。

購入者、居住者自ら調べ、関心を持つことが必要である。

 

液状化現象は人が死亡するような事態につながりづらいことからあまり重視されない傾向があるが、リスクの高い地域については、本来は回避(住まない)ことが最善である。

住む場合には、リスク低減(対策工事等)は完全に被害を防ぐことは難しいことや金額が高額になることに注意が必要だ。

移転(地震保険に加入)と低減(対策工事等)を併用することも効果的だろう。

 

 

〈令和6年能登半島地震まとめと提言〉................


出典:さくら事務所様記事

 

現状、能登半島の甚大な被害とは別に、石川県の一部(新潟県も同様か)では、日常に変わらぬ暮らしをしている街の一角で、家は住めない状況で上下水道も途絶、今後の生活再建すら先が見えないという人がいることを目の当たりにしてきた。

土地の災害リスクは深刻に考えて老いない人もいるが、ひとたび大地震等が発生すると、生活が一変し、場合によっては命を失い、我が家を失い、または住めない状態になってしまうこともある。

 

被害の発生した各地点は、ハザードマップ等では一定のリスク表示がなされているエリア、またはその近郊であることも多かった。

 

地震(に限らず水害、土砂災害なども)対策を考える時、まずは立地のリスクを考えることが極めて重要である。

 

「立地のリスクはどこにでもある、ゼロにはならない」という論調を目にすることもある。

しかし、限りなく床上を超す浸水がなく、土砂災害は起きず、地震で避難の必要がない立地もあれば、それらのリスクが高く、何かあれば自宅の生活基盤そのものが失われかねない立地というものが存在することが事実である。

 

まずは立地のリスクを正しく知って、どのようなときに避難する必要があるのか、ないのか。

住宅の耐震性は十分か、関心を持って自ら調べて、知って欲しい。

液状化地域であれば建築前に調査や対策を行う、新築する際には耐震等級3の家を建てる

 

決して日本全国、どこでも能登半島は対岸の火事ではない。

場合によっては人口密集地においては、より大きな被害となるだろう。

どうか、立地のリスクを知って、必要な備えを進めて頂きたい。

 

 

横山様記事リンク再掲載↓

令和6年能登半島地震・金沢市周辺の市街地の緊急調査からの提言 | さくら事務所の専門家による不動産・建築ニュース解説

 

 

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横山様、参考になる情報を大変ありがとうございました。

詳細なご報告から多くを学ばせて頂きました。

明日を含めたこれから先の未来に活かしたいと思います。

 

家の耐震設計の重要性はその啓蒙が進んできた。

地盤について、液状化についてもう一度向き合い直さねばならない。

事前の対策、地震時の避難方法、その後の復旧方法、、

また正確で詳細な情報収集、情報の保管、情報の紹介、、

建築士も暮らす方もやれることは多々ある。

そして大地震はいつかまた必ず起こる。

能登半島地震で起きたことと向き合い未来の被災を減らすことに尽力したい。

 

 

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