家のエアコン買い替え。「エアコンの選び方①『能力と効率』」

【冷暖房・空調・換気】の秘訣

ゆうです。

ベビーが生まれて初めての冬がやってきます。

僕は今日、ベビーの部屋のエアコンを買ってきました^^

皆さんは適切なエアコンの選び方って知っていますか?

エアコンを買ったことがある人であれば経験があると思いますが、

エアコンを選ぶのってとっても難しい!

なにを基準に選んでいいのかよくわからないし、ハッキリ言って面倒くさいですよね。

僕が勤めている設計事務所は、空調や断熱性に特化した提案をしています。

そのため、専門知識+実践経験が蓄積されています。

今回は住宅のプロはどういった基準でエアコンを選ぶのかを書こうと思います。

東芝のエアコンのカタログ2017。一社だけでもこれだけある。

エアコンを選ぶのって大変ですよね。

・各メーカー4~6種類のグレードを用意している

・6~26畳用ほどの大きさに分かれている(9段階ほど)

・メーカー数が大手だけ9社ほどある。

単純に掛け算したとすると、6×9×9=486種類!

のうちの1つを選ばなければならない!

しかも、買い方も様々。

・家電量販店で交渉して比較して、、、

・ネットで最安を狙って、、、

・昔からの付き合いの電気屋さん、工務店に頼んで、、、

イヤになりますね!

適当に決めたいところですが、かといってもエアコンは

・快適性(冷房、暖房の効き)

・光熱費

に大きく影響するため慎重に選びたいものです。

ネットで情報を探すとしても、出てくるのはたいてい

「メーカーそれぞれの特徴、機能の比較」

ばかり。(または価格比較サイト)

はっきり言いますが、(僕の主観です)

各メーカーそれぞれの機能はおまけ!

であって、エアコンを選択するための要点とは別。

と考えています。

特徴、機能とは例えば、

・D社は自動加湿機能がついているとか、

・M社、H社はセンサーカメラがついているとか、

・P社は自動お掃除+排出機能がついているとか、

・S社、T社は空気清浄機能がついているとか、、、

(それぞれの機能が悪いとは言いませんが、それらの機能ってエアコンに含む必要あるの?)

(その機能専用の機器をエアコンとは別に買ったほうがコスパも不具合の出づらさも良いのでは。)

(センサーカメラが人を検知して風を当てに来るって、エアコンの直風に当たりたい人っているのかな。)

(自動お掃除+排出機能は不具合がでやすいという話はよく聞くな、、)

ちょっときつい言葉を並べてしまいました。
(カッコ内はさらっと読み飛ばしてください)

なにが良いたいかというと、エアコンを選ぶ際の基準は、おまけ的な機能ではなく、

単純に、

『必要能力』

『効率』

だということ。

・「必要能力」とは、空調したい部屋の大きさに対して能力が足りているか。
 (快適性に関する)

・「効率」とは、能力を発揮した際にいかに消費電力が少ないか。
 (光熱費に関する)

「効率」の求め方は覚えてしまえば簡単です。

エアコンの効率の指標にはCOP(成績係数)という基準があり、

COP=能力/消費電力

です。

能力が大きく、消費電力が少なければCOPは高い(良い)ということになります。

その計算方法はというと、

カタログに書いてある「能力」を「消費電力」で割ると出ます。

上のエアコンの場合、

暖房COP=2500W/430W=5.8

となります。

この数値が大きいほうが効率がよく、光熱費が安くなると言うことです。

―――――

それに対して、「必要能力」の検討は少し難しく専門知識もいります。

新築の場合は、ここが設計者の技量になります。

ここで質問です。

「12畳の部屋には、どのくらいの能力のあるエアコンを選べば良いでしょうか。」

単純に、

「12畳用のエアコンを選べば良いんじゃないの?」

と思われた方が多いかと思います。

しかし、これはほとんど間違いなんです!

家電量販店に行って

「12畳の広さの部屋につけるエアコンが欲しい。」

と言えば間違いなく、

12畳用のエアコンか、または安全を見て12畳よりも大きな容量のエアコンを勧めてくると思います。

それは、

・万が一、冷えない(温まらない)とクレームになるから。

・より大きな商品を売ったほうが売り上げになるから。

ですよね。

しかし、これではエアコンの能力を決める際に大事なポイントを踏まえていません。

それは、

その部屋の断熱性です。

断熱性が高い部屋と低い部屋では、必要な能力も当然かわってきます。

そして、エアコンに書いてある「○畳用」の基準は、

なんと断熱材が入っていない家を想定しているんです!

(なんと1965年に定められた基準!!)

(改定するとエアコンの売り上げが落ちるから変えないんでしょうね、、)

なので、「○畳用」は信用できません。

「じゃあどうすればいいの??」

計算して、必要能力を算出する必要があります。

そのためには、その住宅の断熱性(UA値)が必要になります。

ちょっと計算が難しくなりますが、

UA値=0.9(旧Q値≒2.7)の12畳の部屋の冷房用エアコンの必要能力は、

(天井高=2.4mとすると、部屋の表面積≒84㎥)
(内外温度差=35℃ー26℃=9℃として)

0.9×84㎥×9℃≒680W ←家からの熱損失

これに+日射熱+家電発熱+換気損失を足して、ざっくり1500W

ということで、1500Wあれば足りることがわかりました。

6畳用のエアコンの冷房能力は2200Wなので6畳用で十分です。

(12畳用の冷房能力は3600W ←必要に対して多すぎ△)

ここで、

「大は小を兼ねるというし、12畳用のエアコンにしておいてもいいのでは?」

と言う声もあるかと思います。

良いですが、効率は落ちます。→△

少しマニアックな話ですが、

エアコンの効率は、

・能力の大きいエアコンの場合・・・定格能力の約半分ほどの負荷

・6畳用など能力の小さいエアコンの場合・・・定格能力の80~100%ほどの負荷

であるときに、

一番高い効率で運転できることが、検証実験から導き出されています。

極端に例えるならば、

上の計算の12畳の部屋に12畳用のエアコンをつけることは、

「200km/h出せるスポーツカーが60km/hで走行しているようなもの。」

燃費が悪そうなイメージがつかめましたでしょうか。

60km/hで走るなら、軽自動車のほうが燃費が良いですよね。

※「冷房が全然効かない」という人は太陽の直射日光が窓から入りすぎている恐れがあります。
すだれやブラインドなどで適切に日射を遮蔽すると効果的です。

―――――

ということで、

エアコンの必要能力の選定は、断熱性に大きな影響を受けるということ。

→その家の断熱性能を数値で計算する必要があるということ。

という話でした。

しかし案外、断熱性の計算を一棟一棟個別で行っているメーカーは少ないんです。

ましてや、エアコンの必要能力の計算を考えている設計士や営業マンはほとんど一握りです。

(機会があれば聞いてみるといいかもしれませんよ。
 「エアコンの必要能力の計算はしていますか?」と。)

だいぶ長くなってしまいました。

僕がどんなエアコンを買ったかはまた次回に続きます。

(良い買い物ができました♪ 秘訣は次回に^^)

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