【秘訣】冬の湿度管理『適切な湿度とは。加湿器なしで十分な湿度を叶える。』-建主様の状況、感想-
こんにちは^ ^
冬の『湿度管理』について
適切な湿度とは
加湿器なしで十分な湿度を叶える工夫
建主様の状況や感想と共に紹介します。
皆さま、冬の湿度は何%で過ごされていますでしょうか。
「そもそも何%が良いの?」
「相対湿度と絶対湿度ってなに?」
「高気密高断熱住宅は乾燥する?」
適切な湿度については空調学会でも議論が完結していないところ。
加湿の工夫を用いながら住まい手が各自調整する必要があります。
建主様の冬の湿度や感想を紹介します^ ^
(全熱交換換気なし)
【吉岡T様より】................
(群馬県。太平洋側=新潟より乾燥しやすい)
■状況
〈日時〉2024年1月、朝。
〈加湿器〉なし
〈室内干し〉1日2回全て部屋干し
〈換気〉子供室×2は常時ON、寝室は寝る時のみON(絞りめ)
〈風呂残り湯〉あり
〈サッシ結露〉なし
■温湿度
室温22.2℃、湿度46%(絶対湿度9.0g/㎥)
(外気1.3℃、50%(絶対湿度2.6g/㎥)←新潟に比べて湿度低い。晴れるため)
村松:加湿器なしで上記の温湿度であれば十分〇
(室内干しあり、換気絞りめ、風呂残り湯ありが効いている)
■現在の湿度に満足か不満か
〈ご主人〉昼夜ともに満足
〈奥様〉昼夜ともに満足
【サーモ】真冬の超高断熱『冬場の日射熱の活用。地域毎に適した設計を。』case.吉岡のエスネル - 住宅設計エスネルデザイン
【燕仲町I様より】................
■状況
〈日時〉2023年12月、午後。
〈加湿器〉なし
〈室内干し〉夜間のみあり
〈換気〉寝室のみON(絞りめ)
〈風呂残り湯〉なし
〈サッシ結露〉なし
■温湿度
室温25.4℃、湿度38%(絶対湿度8.9g/㎥)
(外気1.4℃、84%(絶対湿度4.5g/㎥))
村松:加湿器なしで上記の温湿度であれば十分〇
(「室温25.4℃、湿度38%」は「室温20℃、湿度52%」と同等の湿気量)
(湿度(相対湿度)は室温が上がると下がるため)
■現在の湿度に満足か不満か
〈ご主人〉外気が氷点下まで下がる時のみ就寝時の乾燥が気になる
〈奥様〉乾燥が気になる。対策を検討中。
村松:夫婦間の快適湿度感の違いも要考慮。
【暮らし】『真冬の室温とエアコンの使い方。』-燕仲町I様ご感想、ブログ紹介- - 住宅設計エスネルデザイン
【天野A様より】................
■状況
〈日時〉2024年1月、朝、夜。
〈加湿器〉なし
〈室内干し〉あり(朝に干す)
〈換気〉個室×3常時ON、給気量調整(絞りめ)
〈風呂残り湯〉あり(朝洗濯で使用。その後なし)
〈サッシ結露〉なし
■温湿度
室温23.5℃、湿度47%(絶対湿度9.9g/㎥)
(外気不明)
村松:加湿器なしで上記の温湿度であれば十分〇
(「室温23.5℃、湿度47%」は「室温20℃、湿度57%」と同等の湿気量)
■現在の湿度に満足か不満か
〈ご主人〉基本的には満足。湿度30%台だと乾燥が気になりますが私的には快適です。
〈奥様〉乾燥が気になる時がある。
【暮らし】『住んでみての感想。』暖かさ、大きさ、収納、家を建てて良かったこと。-天野、A様のブログ、サーモ紹介- - 住宅設計エスネルデザイン
エスネルデザインでは全熱交換型換気扇を標準採用していません。
(全熱交換…排気する湿気の一部を給気に移動させ湿気を回収する装置)
それでも加湿器なしで概ね十分な湿度が得られていることが分かりました^ ^
(乾燥感を感じる場合は加湿器を使えばOK)
【秘訣】熱交換換気扇を採用していない理由。『換気の質の担保。リターンとリスク。』-換気の目的- - 住宅設計エスネルデザイン
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■適切な湿度とは。
適切な湿度は空調学会でも議論が完結していないところ。
また乾燥感は個人差や着衣量により変化する。
なので「湿度は何%が良い」と言うことは難しい。
その上で僕が感じていることをまとめます。
〇概ね『絶対湿度7.8g/㎥』あれば十分。
絶対湿度7.8g/㎥
≒室温18.5℃、湿度50%
≒室温20℃、湿度45%
≒室温22℃、湿度40%
〇サッシが結露しない範囲で湿度をコントロールする。
「結露→カビ→健康被害」を抑制する。
〈網川原のエスネル。サーモ測定より〉
サッシ下(スポット2):13.3℃(外気0℃)
(トリプルガラス樹脂サッシ、北側、カーテンなし。2020.2.9朝)
上図より概ね「室温24℃、湿度50%」を超えると結露が起こる。
一時の結露は問題ないが「常にサッシが結露している」ということのない温湿度であることが重要。
(トリプルガラス樹脂サッシは結露しにくさに寄与)
また『隙間があり断熱性のないカーテン』もサッシの結露しにくさに寄与する。
(=普通のカーテン、ロールスクリーン、ブラインド等)
(熱が適度にサッシに伝わりサッシが冷えにくい)
反対に「断熱性のあるカーテン」「隙間の少ないカーテン」はサッシが冷えやすく結露につながりやすい。
(ハニカムスクリーン等)
(断熱性は高まるが「サッシが冷える+湿気はサッシに移動する」ため結露する)
(そのためエスネルデザインでは非推奨)
【サーモ】真冬の超高断熱『樹脂トリプル窓・スラブ断熱補強・個室排気設計』case.網川原のエスネル - 住宅設計エスネルデザイン
【健康】冬場、サッシのカビに注意。ポイントは高断熱と暖房。 - 住宅設計エスネルデザイン
〈余談〉................
冬になると「健康のために湿度50%以上にしましょう」という情報をよく見かけるが、室温何℃の時の50%なのだろうか。
50%以上にするとどれほどウイルスの飛散を抑えられるのだろうか。
50%以上にした場合の「結露→カビ→健康被害」の度合いは考慮しているのだろうか。
と思ってしまう。
「なんのためにそれが必要なのか」「それを叶えた場合どれほどメリットとどれほどリスクがあるのか」を慎重に考える必要がある。
(健全な空気質を守ることは特に重要)
【お客様の声】『子供のアトピーを治したい。安全安心な暮らしがしたい。』家を建てる前に考えること。 - 住宅設計エスネルデザイン
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■必要加湿量の計算
(室内干し、残り湯の加湿効果)
「叶えたい湿度」を得るための必要加湿量は「生活排湿量」「室内干しありなし」「風呂残り湯ありなし」等で変化する。
室内干しや風呂の残り湯活用により加湿効果が得られる。
(自分たちの生活スタイルに合わない場合は無理せず加湿器を使えば良い)
〈天野、燕仲町、吉岡の実況反映〉
必要加湿量が±1L/日以内に納まっていることから概ね計算の正確性が見て取れる。
ポイントは『換気量を絞っていること』。
(0.3回/hで計算。通常は0.5回/h)
日中不在時など換気扇を一部OFFまたは絞ることにより必要加湿量を抑える。
今後はエコロジーとエコノミーの観点から『適切な換気量の調整、適切な換気運用』について議論を深める必要性を感じている。
(不在時も常に24h換気しっぱなしではなく)
(換気の絞り過ぎはNG。CO2やVOCの把握も重要)
(換気量を絞ることを前提とすると全熱交換型換気扇の熱交換メリットはさらに小さくなる)
(換気量が減る=熱交換量が減る=トータルパフォーマンスが減る)
■冬の湿度についてまとめ
〇エスネル式換気空調(全熱交換型換気扇なし)で加湿器なしでも概ね十分な湿度が得られる。
〇湿度を得るのに「室内干し」「風呂残り湯活用」「換気量を抑える」ことは有効。
〇乾燥感を感じる場合は加湿器を使えば良い。
(ランニングコスト、給水手間、衛生管理も要考慮)
〈その他工夫〉................
〇「室温を下げる+着衣量を増やす」と相対湿度が上がる+着衣により皮膚の乾燥を抑られる。
〇「エアコンの温風が直接肌に当たりにくい空調設計」も乾燥感を抑えることに寄与する。
(床下エアコン、ロフト上エアコン、非各室設置エアコン)
〇就寝時のみ乾燥が気になるという場合、保湿系マスクでの対応も可。
■補足とまとめ
・湿度計の表示値は誤差が大きいのであてにし過ぎない。
(計器や経年により5〜10%ズレることは多々ある)
・湿度計を意識せずおおらかに暮らすのが良い。
(「湿度30%」等を見ると体感以上に乾燥を感じてしまう)
・湿度管理は数値より体感を当てにして運用するのが良い。
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冬の湿度についてまとめました。
推奨としては「室内干し」「風呂残り湯活用」「換気量を抑える」「ある程度着る」「適宜保湿剤」を行った上で湿度計をあまり見ずにおおらかに暮らすというもの。
(+個人差により調整)
T様、I様、A様、ご協力ありがとうございました。
皆さまのご参考になれば幸いです。
-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-
〈余談〉................
僕は乾燥肌体質。
(年中リップクリーム使用、子供の頃から乳液やハンドクリーム使用)
それでも低湿度な事務所で乾燥感を感じず(気にせず)仕事をしている。
加湿したいという気持ちは無い。
(1日2L水を飲むと体に良いらしいので水分摂取を意識している)
(就寝時は乾燥防止のためマスクをしている)
2024.3.7.事務所温湿度(絶対湿度5.8g/㎥)
【関連記事】................
瀬谷のF様が加湿器検討の様子を綴られています^ ^
冬場に晴れる=乾燥しやすい太平洋側は加湿器の活用はありですね。
F様、お教え頂きありがとうございます。