【注意点】冬場の基礎コンクリート打設って大丈夫??
ゆうです。
先日、これから家の工事が始まる友人から
「冬場の基礎コンクリート打ち込みって大丈夫なの?」
「凍ったりしない?なにか注意点ある?」
という質問を受けたのでこのブログで詳しく回答しようと思います^^
冬場の基礎コンクリート打ち込みの注意点は大きく3つあります。
それは、
1.コンクリートがちゃんと固まるか。
2.上棟時までに上棟の重さに耐えられるコンクリート強度に達しているか。
3.施工は問題ないか。余計な費用はかからないか。
ひとつひとつ詳しく話すと、
1.コンクリートがちゃんと固まるか。
冬場は氷点下になることがあります。
氷点下になったときにコンクリートが凍ってしまわないか。
建築基準法には、
「コンクリート打込み中及び打込み後5日間は、コンクリートの温度が2度を下らないようにし、養生しなければならない。」
と書いてあります。
コンクリートの温度が2度以下になると、コンクリートの固まるスピードが極端に遅くなります。
また最悪の場合、コンクリートが凍り、凍害を起こし、必要な強度が出なくなってしまうこともありえます。
そうならないように、
きちんと基礎コンクリート打ち込み後は養生をして、コンクリートの温度が下がらないよう措置する必要があります。
具体的には、ブルーシートや毛布などで基礎をすっぽり覆います。
それでも温度が足りないような厳寒期の場合は、ヒーターなどを使用して必要な温度を保ちます。
(コンクリート打ち込み中は養生できないため、打ち込み日が氷点下にならない日を選ぶなど注意が必要です。)
新潟・長岡・柏崎の冬場の平均気温。(2013-2017過去4年間平均)
積雪がある時期(12月中旬~3月中旬)は4℃を下回る。
1月~2月末までは2℃を下回っている。
この時期は特に注意しなければならない。
2.上棟時までに上棟の重さに耐えられるコンクリート強度に達しているか。
コンクリートは時間と共に強度が出てきます。
ちなみに、コンクリートは「乾いて」強度が出るのではなく「水と化学反応して」強度が出ます。
暖かければ早く強度が出ますが、気温が低いと強度が出るまでに時間がかかります。
養生期間を長めに取れれば良いのですが基本的に現場は工程をつめて動きます。
基礎コンクリートを打ってから5日間養生し、型枠をばらして最短で上棟する場合、基礎の養生期間は合計7日ほどです。
その7日間で、上棟時にかかる重さに耐えられるだけの十分な強度が出るようにコンクリートの配合量を調整する必要があります。
これを強度補正と言います。
コンクリートは配合によって強度を変えることができ、その強度を指定することができます。
冬期以外の通常の季節には「呼び強度24~27N/mm2」という強度でコンクリートを発注することが一般的ですが、冬期は強度が出るまでに時間がかかってしまうため、その強度に+3ほどして「呼び強度27~30N/mm2以上」で発注します。
(強度27N/m㎡・・・10c㎡角のコンクリートで27トンに耐えられる強度。)
(冬期・・・平均気温8℃未満、夏期・・・平均気温25℃以上)
全国生コンクリート工業組合連合会HPより。
7日後の圧縮強度(設計強度に対する発現割合)は、
外気温21℃のときは約60%発現するのに対して、
外気温4.5℃のときは約40%しか発現しない。
3.施工は問題ないか。余計な費用はかからないか。
極寒の中での鉄筋組みや型枠施工は大変な作業です。
僕ら設計者が現場を監理するのも一苦労です。
施工スピードや精度はどうしても他の季節よりも悪くなります。
そうなると、余計に手間賃がかかります。
また、積雪が多いようであれば除雪の手間賃を見る必要もあります。
コンクリート打ち込み前に型枠内に積もった雪をバーナーで溶かす手間もあります。
「雪の降る日に外で鉄筋を組む作業」想像をして頂ければ、どれだけ大変かがわかると思います。
【まとめ】
一番の対策は、
厳寒期のコンクリート打ち込みを避けること。
建てる会社にとっては、年間何十棟するうちの一棟かもしれませんが、
貴方にとっては一生に一度のマイホームのはずです。
なにも厳しい時期に基礎コンクリートを打ち込む必要はないと思います。
しかし、建てる会社はこういったことは言いません。
なぜなら、お客さんが「ある時期」を避ければ、その時期の現場の仕事がなくなり、逆に違う時期に現場の仕事が集中してしまうからです。
年間何十棟も建てている会社であればなおさらですよね。
僕(エスネルデザイン)はどうするか。
まずは、厳寒期の基礎コンクリート打ちを避けられないか建て主さんと相談します。
よほど完成時期にしばられてるような状況でなければ、避けたほうが建て主さんのメリットになると考えるからです。
年間着工棟数を追わない家づくりだからこそ出来る提案です。
また、状況を見てですが、
厳寒期の基礎コンクリート打ち込みも行います。
(氷点下になるような時期は避けます。)
それは、適切な設計者判断と工事監理を適切にする自信があるからです。
追って、打ち込んだコンクリートの配合量の資料や、現場の状況を報告書にまとめて報告します。
これも年棟数を追わない家づくりだからこそ出来る提案です。
(年間何十棟も建てていたら細かな検討や現場の監理は疎かになりがちです。)
補正指示や監理や報告などを建て主に約束できない会社であれば、厳寒期の基礎コンクリート打ち込みはおすすめしません。
全てはケースバイケースですが、厳寒期の基礎コンクリート打ち込みに関しては大まかにこんなところです。
ちなみに、、
今年の新潟は異常気象。
寒気の影響で例年になく平均気温が2℃を下回る日が多い。
それだけ注意してコンクリート打ちをする必要がある。
マニュアルに沿うのではなく、その年ごとの気象条件を見極め、適切な設計者判断をしていきたい。