【秘訣】2018年の積雪から構造を考える。「設計積雪量」①

【構造・耐震性】の秘訣

ゆうです。

ここ数日、日本海側は数年に一度の寒気に見舞われ、柏崎市では24時間降雪量が全国1位の69cmを観測しました。

柏崎市の積雪は90cm以上と平年の3倍を超えました。
そして、明日も朝までに多いところで60cmの降雪が予想されています。

2/6 19:00時点での積雪の深さ。
多くの地域で平年の2~3倍の積雪となっている。

家を建てる際に行う構造計算には「設計積雪量」を入力する欄がある。

例えば設計積雪量1.5mなら、屋根の上に1.5mの雪が積もっても構造的に問題がないよう計算されるということ。

(構造計算をしていない家はそもそも積雪量の検討はされていない。→△)

市町村ごとに過去の測定から導き出された「垂直積雪量」というものを出しており、それを目安に設計者が「設計積雪量」を決める。

柏崎市であれば、垂直積雪量は1.3m(平野部)。
長岡市であれば、垂直積雪量は2.5m(中心部)。

ただし、雪下ろしを行う慣習のある地方は、
雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を1mまで減らして計算することができる。
(建築基準法施行令86条第6項)

このため、豪雪地を除く新潟県内の住宅はそのほとんどが設計積雪量1mで構造計算されていると思われる。

しかし、現実は雪下ろしを想定していない家がほとんど。(屋根に上がるすべ無し)

新潟県垂直積雪量運用基準には、
雪下ろしによる低減は「速やかに雪下ろしが可能な形状の建築物に限り適用するものとする。」と書かれている。(※基準であり、義務ではない。)

近年は積雪が少ない年が続いたこともあり、雪への関心は薄くなっていたように思う。

そもそも設計士から「設計積雪量は○mでよいでしょうか。」という話をされていない方がほとんどだと思われる。

安易に積雪量の低減をすると数年~数十年に一度の異常時に大変なことになる可能性がある。

今一度、設計積雪量の設定の重要性を啓蒙していきたい。

「あなたの家の設計積雪量は何メートルですか?」






「あなたの家はどれほど雪が積もっても大丈夫ですか?」


「必ず垂直積雪量で設計すべき」というわけではない。
垂直積雪量は過去の積雪量から算出されたもののため、現実に即していない場合もある。(→オーバースペックになってしまう。)

設計積雪量を上げるということは、それに耐えるための柱・梁や壁の量を増やす必要があるということ。
 →間取りの制約が増えるということ。

雪への耐性と間取りの優先順位のバランスを考え、建て主の要望を踏まえて設計積雪量を決めることが重要になる。

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