【秘訣】断熱材の種類。フェノールフォームを選ぶ理由。

【断熱・気密・健康】の秘訣

ゆうです^^

先回のダブル断熱の記事の際に「グラスウール」「フェノールフォーム」など様々な断熱材が出てきました。

それらの違いはなんなのでしょうか。

まとめていきます。

 

 

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現在、様々な種類の断熱材がありますが、エスネルデザインで採用している断熱材は主に、

・グラスウール


・フェノールフォーム


・セルロースファイバー

の3種類です。

それぞれ説明していきます^^

1.グラスウール

ガラスの繊維で空気層を作っている断熱材で最も一般的に使われています。

一番のメリットは安いこと。
(材料・輸送・施工とも安い)

無機質のため、燃えにくく発煙や有毒なガスも発生しないというメリットもあります。

注意点としては、湿気を通すため、室内側に「防湿層」の設置が必要になります。
(防湿層がないと、室内の湿気が壁内に入り、結露→カビ・腐朽を引き起こしてしまう)

2.フェノールフォーム

フェノール樹脂を発泡させ気泡(ガス層)を作っている断熱材。

一番のメリットは断熱性能が高いこと。
(=熱伝導率が低い)

ネオマフォームHPより。
フェノールフォームはトップクラスの熱伝導率の低さ。
同じ断熱性能を出す場合、他の断熱材に比べ必要な厚さが薄くて済む。

フェノールフォーム熱伝導率=0.02
グラスウール熱伝導率=0.035
→フェノールフォームはグラスウールより1.75倍断熱性能が高い。

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その他メリットは前回の記事をご参照。
(熱橋対策・防水性)

【秘訣】「ダブル断熱」のススメ。3つの大きなメリット。

3.セルロースファイバー

再利用した古紙で空気層を作っている断熱材。

一番のメリットは隙間に充填しやすいこと。

現場吹き付け施工のため、隙間に充填しやすい。
そのため、天井裏によく用います。
(天井裏は梁や下地材が多く施工スペースも厳しい)

難燃剤であるホウ酸が入っているため、防火性や防虫性も高い。

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さて、今回特に取り上げるのは「フェノールフォーム」です^^

理由は、発泡系板状断熱材はフェノールフォームの他にも様々あるのに、なぜ「フェノールフォーム」を選んでいるかを伝えるため。

発泡系板状断熱材は他にも、「ポリスチレンフォーム」や「ウレタンフォーム」があります。

なぜ「フェノールフォーム」なのでしょうか。

【フェノールフォームの理由その1】


断熱性能が高いため。
(=熱伝導率が低いため)

これは前出の通り。

フェノールフォームは他の断熱材と比べ気泡が非常に小さく断熱性が高い。

しかし、断熱性(熱伝導率)は低くても良いんです。

その分厚みを増して使えば、同じ断熱性能を確保することが出来るから。

ではなぜ「フェノールフォーム」なのでしょうか?

フェノールフォームの理由その2】


断熱性能の経年劣化が少ないため。

発泡系断熱材は、気泡のガスが断熱性能を左右するため、ガスが抜けるに連れて断熱性が落ちることが想定されます。

建築環境省エネルギー機構が定めた25年後の性能経年劣化率は、

・フェノールフォーム        →92%(8%減)
・吹付ウレタンフォーム       →75%(25%減)
・硬質ウレタンフォーム       →81%(19%減)
・押出法ポリスチレンフォーム    →88%(12%減)
・ビーズ法ポリスチレンフォーム   →98%(2%減)

フェノールフォームの性能経年劣化割合は比較的少ないことが分かります。

(吹付けウレタンフォームの25%減は強烈ですね、、)

ネオマフォームHPより。

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実際の製品を見てみます。

フェノールフォームには「ネオマフォーム(旭化成)」という商品があります。

・カタログ表示性能値(熱伝導率)=0.02。
・25年後熱伝導率(推定結果)=0.02047

1年から25年の変化率を計算すると約93%(=7%減)
(93%=0.01908/0.02047)

パーセントで見ると大きく感じるかもしれないが、熱伝導率の数値で見ると性能劣化は非常に小さいことが分かる。

これが仮に35年後に0.022まで落ちたとしても、グラスウールの0.035に比べればまだまだ高性能。

発泡系断熱材を選ぶ際は「断熱材の経年劣化」の程度を把握し納得する必要があります。

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そして、フェノールフォームを推奨する最大の理由がこちら。

フェノールフォームの理由その3】


燃えにくいため。

ネオマフォームHPより。

原料であるフェノール樹脂は難燃性に優れています。
また、熱硬化性があり炎が当たると表面が炭化し炎が燃え広がるのを防ぎます。
(不燃材料認定品もある)

これは他の発泡系断熱材にはない点です。
(その他の発泡系断熱材は燃えやすい)

特に木の外壁の場合、隙間から火の粉が入ることも想定し、付加断熱材の燃えにくさを慎重に検討する必要があります。

 

フェノールフォームをバーナーで炙り難燃性を確かめた。
初期は炎が出たが、やがて炭化し材に火が着火することはなかった。
(バーナーを止めるとすぐに止んだ)

炭化したフェノールフォーム。

【実験の動画】................

まず表面の不織布が燃えたがその後、本体のフェノールフォームは炭化するだけで着火することはなかった。
(音が大きいので注意)

対して「硬質ウレタンフォーム」は非常によく燃えました。

(ムービーも撮ったがWEBアップは自主規制)

ウレタンフォームは、外壁に「窯業系サイディング」や「モルタル」「金属系サイディング」等耐火性が高く隙間も少ない外壁を使うことが想定されている。
(それら外壁との組み合わせで防火認定取得あり)
(木の外壁にウレタン断熱材は適さないと考えられる)

隣家からのもらい火などを想定し、燃えやすいかどうかも断熱材を選定する際の大きなポイントになります。

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フェノールフォーム断熱材のデメリットは「コストが高い」ことです。

高性能の高級品ということ。

しかし「断熱性能」「難燃性」「性能経年劣化率」などを踏まえると、発泡系断熱材の中ではフェノールフォームが一番勧められると考えています。

断熱材ひとつとっても検討は非常に奥が深いです。

「断熱性が高いからこれがお勧め」

ではなく、その他の検討ポイントを正確に把握し、場合によっては自ら実験し確かめ、確信を持って建て主様にお勧めしたいと考えています^^

【余談】................

付加断熱にグラスウールを使用する方法もあります。

メリットは、

・材料コストが安いこと。


・無機物であること(経年劣化リスクが少ないこと)。


・耐火性が高いこと。


・壁内の湿気を排出しやすいこと。

デメリットは、

・施工コストがかかること。
(設置に下地材が必要)
(水を吸うため雨天施工が困難)

・設置のための下地材が熱橋になること。


・対流による断熱性低下対策が必要なこと。
(両側・中間を面材・シート等で抑え風を入れないようにする)


・3次防水層として機能することは期待できないこと。

など。目的によって選択肢は異なります。

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

 

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村松 悠一 一級建築士
エスネルデザイン代表

新潟の気候に合った「暖かい小さな家(エスネル)」を提案している。
趣味:旅行、カフェ、夕日、1歳の息子と遊ぶこと。
メッセージはメールインスタからどうぞ^^

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