【秘訣】UA値は燃費の指標ではない!住宅の燃費とは?「q」とは?

【断熱・気密・健康】の秘訣

ゆうです^^

先日、「超高断熱」「UA値」についてまとめました。

超高断熱だと快適で光熱費を抑えられるということ。

ただし、補足があります。

UA値は燃費の指標ではないんです!

 

 

 

おさらいはこちらから^^

【「超高断熱」とは】網川原のエスネルの断熱性はUA=0.24

 

UA値は「断熱性能」を示す指標です。

UA値=家の外へ逃げる熱の量/家の表面積

UA値が小さいほど断熱性が高いわけで、

「UA値が低い」=「光熱費が抑えられる」

と考えてしまいそうですが、正確には少し異なります。

UA値は「家の表面積」で割っている点が要注意です。

(正確には「外皮面積」)

 

................

UA値は、家の「窓・天井・壁・床から逃げる熱の総量」を算出し、家の「総外皮面積」で割って出されます。

つまり
UA値は、家の大きさの要素が消されているということ。

そこが「UA値が実際の燃費(光熱費)と直結しない」ポイントです。

どういうことか「車」の燃費を例に説明します^^


「アルト」「ノア」の燃費比較を。

アルト(スズキ)の燃費は37.0km/L

 

 

ノア(トヨタ)の燃費は23.8km/L

車の場合「km/L」はまさに「燃費」ですね^^

「投入ガソリン量に対して、どれだけ進むか。」

とても分かりやすいです。

燃費だけで比較すれば、ノアよりアルトのほうが燃費が良いことは一目瞭然です。

さて、
UA値は、言うなれば「室温を1℃上げるのに何ワット必要か」ということ。

車の燃費(km/L)もUA値と同様に、

「1km進むのに何リッター必要か」に換算してみると(燃費の逆数)

アルトは0.027L/km。

ノアは0.042L/km。

でした。

これは、アルトのほうが「1km走るために必要な燃料が少ない」ことを示しているわけです。
(UA値と同様に数値が小さいほうが燃費が良い

さて、ここで「表面積」を盛り込みます^^

アルトの表面積は約20㎡でした。

ノアの表面積は約33㎡でした。

では、燃費(逆数)を表面積で割ってみましょう^^

【アルト】
0.027L/km÷20㎡=0.0014L/km・㎡

【ノア】
0.042L/km÷33㎡=0.0013L/km・㎡

ちょっと数値が小さくてイメージしづらいですが、
この数値がなにを言っているかというと

表面積1㎡当たりで比較すると
ノアのほうがアルトよりも燃費が良い。

ということ。

「km/L」で比較したときと逆の結果ですね。

(アルト:37.0km/L、ノア:23.8km/L)

................

、、、

前置きが長くなりました(^^;)

なにが言いたかったかというと、

UA値は表面積で割っているため、実際の燃費とかけ離れる場合がある。

ということ。

具体的に言えば、

「UA値が悪い小さな家」と「UA値が良い大きな家」を比較した場合、
「UA値が悪い小さな家」のほうが光熱費は安くなる場合があるということ。

「UA値が良い=燃費が良い」わけではない場合があるということ。

家の大きさを加味しないと実際の燃費のイメージはつかめないということ。

 

................

では、
「家の大きさを加味した、燃費をよりイメージできる指標」
はないのか?

あります!

「q」(外皮熱損失量)です^^
(スモールキュー)

これは「その家一棟からどれだけの熱が逃げるのか」を表したもの。
(単位温度当たり、単位時間当たり)

家の大きさが加味された指標になります。

UA値を計算している場合、「q」は計算者に聞けばすぐに分かります。

なぜなら、

UA値=「q」/外皮面積

だから。
(qをまず算出し、その後、UA値を割り出す)

「q」=UA値×外皮面積

ということ^^

家の燃費を比較する場合、「q」で比較するとより正確なイメージに近づけます。

断熱性が高く、小さな家ほど、燃費が良い(光熱費が安い)ということ。

 

網川原のエスネルはUA=0.24、

q=61.7です。

q=61.7は日本でもトップクラスの燃費の良さです。

(延床面積40坪、UA=0.45の家の場合、q=154程)
(数値が少ないほうが燃費が良い)

そして、光熱費(冷暖房費)は概ね「q」の値に比例します。

ラフな数値になりますが、

「q」に×1500すると、およその年間冷暖房費に近い数値になります。

・網川原のエスネルの場合、61.7×1500=約9.2万円/年

(長くなるので諸条件等の説明は詳細はまた別の機会に)

 

................

まとめます。

・UA値は断熱性の指標だが、家の大きさが加味されていないため、実際の燃費と連動しない場合がある。


・実際の燃費をイメージしたい場合は「q」で比較すること。

 

................

長くなってしまいました(^^;)

実際に気になるのは「1㎡あたりの断熱性能(UA)」よりも「実際にかかる光熱費」だったりしますよね。

家を建ててから

「高断熱にしたのに光熱費が高い!」

とならないよう違いを理解して家づくりを進めていきたいものです。

小難しくマニアックな話を最後まで読んで頂きありがとうございました!

 

 

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

 

【余談】................

 

「だったら、UAじゃなくて「q」を指標にすれば良かったのでは?」
(そのほうが車の燃費の概念と近い)
と思われるかもしれません。
(実は僕も少し思っています。)

より省エネルギーに配慮した家を勧めたいのであればそのほうが合っていると思います。

しかし「q」を指標にしては、

「大きな家のqは落ちてしまうため、大きな家が売りづらくなってしまう。」
 
それは、大きな家を売りたいメーカーの望むところではないのです。

 

「指標」は業界の意向を加味して決められます。
 
なので
 
「その指標はなにを表しているのか。」
 
「自分はなにがほしいのか。」
(「1㎡あたりの断熱性能」を上げたいのか、「実際にかかる光熱費」を下げたいのか)
 
を正しく理解して家づくりを進める必要があります。

 

 

(追記)................

当初はUA値計算書に「q」は記載されていましたが、最新書式では非記載になってしまいました。(自動計算の欄外に埋もれた)

切ないものです。
 
その分、設計者が正しいことをしっかりと発信していく必要があると感じています。

 

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