設計事務所の仕事『初回プラン提案』‐case.網川原のエスネル‐
ゆうです^^
先日、K様へ『初回プラン提案』をさせて頂きました。
いよいよK様邸が動き出します!
初回プランはなんと4案+α出させて頂きました^^
(気合入れたなー!)
6月前半は仕事のピークが来ていました。
S様邸の実施図面の完成にK様邸の基本プラン作成。
しかも「基本プラン(間取り)を複数案提示したい」と考えていたので、ギリギリまで根つめて作業していました(^^;)
(ギリギリまで考えてしまうのは設計士の習性かもしれませんね)
「基本プランを複数案提示したい」理由についてはこちら。
→楽しみながら共に作る家づくりを。『複数のプランを提示する』
図面だけで8枚ほどにも。
色塗りが終わったのは前日の深夜だった。
(間に合って良かった(^^;))
(N様!ファーバーカステル使わせて頂きました!)
K様邸の邸名は「網川原のエスネル」です。
エスネル(escnel)とは「豊かな暮らし」という意味の造語です。
「〇〇の家」ではなく、「〇〇のエスネル」とする理由は、
「家」ではなく「暮らし」を提供したいという想いからです。
この日はK様宅にお邪魔して打合せさせて頂きました。
「とても楽しみにしています。」とメールを頂いたのが嬉しかったです^^
プランをお見せする前に「敷地に対する設計のアプローチ」をご説明。
敷地は日照の良い南面接道。
前面道路に対して奥に行くに連れプライバシーが高まるよう、
道に近づくに連れ街とつながるようゾーンを配置していく。
家(プライベート)と街(パブリック)の境には「緑化ゾーン」を設け、
街と距離を取りつつも緩やかにつながれる基本計画とした。
(奥行きがある敷地を考慮した提案)
例として、私の(K様も!)好きな建物であるランプリールさんをご紹介。
緑に囲まれたランプリールさん。
設計は尊敬するDesign Room Amanoさん。
続いて、敷地に対する家の配置のパターンを紹介。
奥行きのある敷地のため、庭を「前」にするか「後ろ」にするか様々な検討を行った。
新潟市の公園はボール遊びが禁止されていることが多い。
自宅のバックヤード(後ろ庭)を「プライベートパーク」とするアイデアもお伝えした。
様々な配置案を見てもらうことで「その敷地が持つ可能性」を感じて頂く。
そして、具体的なプラン(間取り)の提案へ。
「プランA」
南側接道に対してオーソドックスなプランを元に設計した。
面積は吹き抜け含めて28坪。(除けば25坪)
全てのプランに共通しますが、
プランのポイント1は『大きな吹き抜け。』
エスネルデザインでは
『採光』と『良好な景観』を確保することが「豊かな暮らし」の重要ポイントだと考えています。
また、吹き抜けには『空間の広がり(天井高のメリハリ)』や『1階と2階の室温を均一にする』効果も見込んでいます。
吹き抜けと階段の融合はT様邸でも計画。
ポイント2は
『面積の最適化による家族密度の向上』
=個室の最小化によるLDK密度の向上
(+住にかけるコストの最適化)
です。
エスネルデザインでは『小さな家』を推奨しています。
「ちょうど良い広さの家にコンパクトに密度高く住む。」
ということ。
具体的に言えば、
核家族3~4人暮らしであれば25~28坪前後で十分かと考えています。
(ケースバイケース)
(通常は3~4人であれば35~40坪程が一般的。)
『ちょうど良い小さな家』に住むことで「家族の触れ合う時間を増やし、お互いを気遣う心を育てる」。
また、小さな家はイニシャルコストもランニングコストも低減できます。
その浮いた分のお金が「心のゆとり」となり、家族旅行など具体的な豊かな暮らしへとつながっていけばと思っています。
家が小さくて住むのも「大容量の床下収納」があるからこそ。
(Y様邸より)
そしてプランAの変則プランである「プランA2」を紹介。
「現在、アパートのひと部屋を着替えの部屋として使っている」というK様のお話から
『1階にWICを設け、帰宅後に2階に上がらなくても良いプラン』を考えた。
「2階に浴室を持ってくることは考えていませんでした。」
「でも、このプラン良いですね♪」
と言って頂けたのが嬉しかったです^^
(プランを複数提案するのはまさにこういうことの為)
2階脱衣室で出る洗濯物はシューターで1階の洗濯室へ落とすアイデアを。
(Ti様邸より)
続いて「プランB」へ。
プランBは「2階リビング案」
これは僕がもしこの敷地に家を建てるならと考えて設計した案です。
そういう案があっても良いですよね^^
優先したのは「採光」と「景観」。
2階リビングは1階よりも人目を気にせず外を眺められる。
それがとても気持ち良い。
(K様の敷地は2階北側の視界が開けている。)
また2階リビングは「勾配天井(吹き抜け)」と「ロフト」との相性がとても良い。
2階に吹き抜けを設けなくて良い分、床面積を確保することが出来る。
そして、2階は1階よりも壁が少なくて済むので「開放的な平面」を作ることが出来る。
目指したのは『家族が2階で常に過ごしていること。』
お母さんは「食事の準備(片付け)」
お父さんは「パソコン作業や読書(または仕事)」
子供たちは自分のスペースで「勉強や遊び」
お互いが別々のことをしながらも一緒の空間で過ごすことが出来る空間を考えました。
(逆に1階は「最低限の寝室・作業場」として割り切る)
「小さな家」で「大きく暮らす」工夫を凝らしています。
2階リビングはなんとなく老後の不安を抱く方が少なくないが、老後もし2階に上がるのが辛くなるようであれば1階の子供部屋をリビングにしてしまうという方法もある。
「LDK+寝室+トイレ」が1階に全てまとまるので老後暮らしやすい間取りとなる。
(新築時にリフォームを想定した構造計画が必要。)
続いて「プランC」へ。
プランCは「プランBで叶えたかったことを1階リビングで叶えた」プラン。
1階を家族みんなで広々と暮らす。
特に日当たりの良い南面を有効活用するため、玄関を北側に設けている点が特徴。
玄関までの長めのアプローチは「路地を愉しむ」ような工夫を盛り込もうと考えています。
広めのウッドデッキとも相性が良い。
(通りからの視線は植栽でカットする)
(ウッドデッキ下は外収納にもなる。)
アイアンウッドを使ったウッドデッキ。(T様邸)
1階に浴室を持ってきた「プランC2」も紹介。(右端)
「これがイメージしていたプランに一番近いです。」とK様。
「想像に近いプラン」と「想像していなかったプラン」
比較で生まれる刺激が面白い。
最後に「プランD」(2案)を。
プランDはプランAをひと回り大きくしたプラン。
(吹き抜け含めて32坪)
「32坪プランも見てみたいです。」
というK様の希望を基に設計しました。
プランABCが本命ならプランDは対抗といったところ。
(僕のお勧めはプランABCのサイズでした。(25~28坪))
32坪のプランDを見られてK様から
「ここまでの面積はいらなそうですね。」
「30坪以上は欲しいという先入観があったのかもしれません。」
「今はプランABCの大きさがちょうど良いなと感じています。」
と。(少しホッとしました^^)
「小さな家」を勧める設計士は多くはありません。
その理由はハッキリ言えば「1棟当たりの売上が下がるから。」
(良いと思っていても会社の都合で勧められない場合も。)
新築時は(言ってしまえば)建て主様も、設計士も工務店も、銀行も、
みんなが「より大きな家になること。」を望んでいます。
しかし、それは短期的な目線で考えたときの話。
長期的な目線で「家+暮らし」を考えれば、
自ずと適正な大きさが見えてきます。
(ましてやこれからは新築がスーパーハイリスクになる時代!)
→豊かな暮らしのつくり方。02ー『家は建てるな。』ー
ゆっくりじっくり自分たち家族にあった大きさの家を考えてみてください。
(まずは資金計画から。)
→豊かな暮らしのつくり方。07ー『家づくりは資金計画から。』ー
お土産に買った鎌田養鶏のたまごプリン。
養鶏所が作るプリンは新鮮でとても美味しい^^
次回のK様との打合せは2週間後。
どのプランがベースになるのか。
それが決まるまでにどんな紆余曲折があったのか。
今からとても楽しみです^^
K様、ぜひ楽しみながら悩んでみてください。
【追記】................
K様がご自身のブログで初回プランの感想を書かれています^^
直接もですが、間接的に文章で感想を聞くことはとても嬉しいですね。
(今後の提案の参考にもなります)
初回プラン提案(その1) : 設計事務所と長く愛せる家を建てる
初回プラン提案(その2) : 設計事務所と長く愛せる家を建てる
【関連記事紹介】................
「エスネル(escnel)」のアルファベットに込められた意味とは。
『エスネル』とは。ーコトバの意味ー
K様が教えてくださった「ブログまとめアプリ」。
(あれから僕も毎日活用しています^^)
K様との打合せと「役立つアプリ」
エスネルデザインの設計プレゼン「シンプルな箱の追求」 at 住学番外編