原惣右エ門工房見学vol.1【鋳込み】-唯一無二の表札プロジェクト-

【素材・職人技】の物語

ゆうです^^

エスネルデザインでは『唯一無二の表札プロジェクト。』が進行中です。

「世界に一つだけの我が家」には、職人さんの手仕事で作られる「世界にひとつだけの表札」を。

先日、柏崎の銅鋳物工房さんである原惣右エ門工房さんの「鋳込み」に立ち会ってきました。

初めて見る鋳込みには大きな感動がありました。

原惣右エ門工房さんにつきましては以前の記事をご参照↓

原惣右エ門工房の斑紫銅 at 柏崎。『唯一無二の表札プロジェクト。』

原惣右エ門工房さんでは斑紫銅の花器や、

斑紫銅+漆の酒器、

蝋型を使った柔らかい表情の鋳物製品を製作されています。

さて!今回は鋳物の主要製作工程である「鋳込み」に立ち合せて頂きました。

言葉よりも、まずはこのムービーを見てみてください!

(音が大きいので注意)

僕はその場にいたのですが、ものすごい衝撃でした。

機械の入る余地のない、何百年と変わらないであろう作業。

長い年月受け継がれてきたであろう道具、そして「技」たち。

そしてなにより「火」の魔力。

日差しが強い夏の日に、暗い工房内で行われた「鋳込み」はまさに神聖な儀式そのものでした。

鋳込みの日は夜明け前から作業が始まります。

工房へのアプローチ。
とても暑い夏の日だった。

先代が作られた青銅製の大きな表札。
歴史だけでなく、銅の「耐候性の高さ」と「柔らかさ」を感じる。

工房内へ。

砂が舞う工房内。

「この砂の床も僕らの重要な仕事道具のひとつなんです。」

鋳込みは火を起こすところから始まる。
火の加減を見る5代目原惣右エ門、原聡さん。

材料になる純銅を釜の中へ。

銅の融点である約1000度まで火力を上げていく。

亜鉛、鉛などを調合した金属も追加し「青銅」を作り上げる。
炎色反応で緑色の炎が上がった。

青銅の融解と同時進行で「鋳型」の準備を進めていく。

今回製作するのは花器。
写真は砂で作られた花器の空洞部分の型(=なかご)。

なかごを砂で成型したもう一つの型に嵌め、最終調整を行う。
(鋳型で使われた砂は何度も再利用される。)

型と型の間に銅が流し込まれ、花器の形になる。
花器の底の方にある隙間は「湯口」。銅を流し込むための入り口。

また、浮力や衝撃で型がズレないよう内型と外型は棒を貫通させ固定する。

何段にも重ねられた鋳型たち。

鉄線で縛っていく。
これらの作業をご夫婦で息を合わせて(阿吽の呼吸で)進められていた。

縛った型を倒し、注ぎ口を上に向かせる。

準備が整いました。

いよいよ「鋳込み」(=溶かした金属を型に流し込む作業)開始です。

1000℃を超え、液体となった銅が鋳型へ流し込まれる。

熱を帯びたオレンジの光。
柏崎の夕日に似ていると思った。

並べた型に連続して一気に鋳込んでいく。

1000℃から温度が下がり、オレンジ色が変化していく。

鋳込み後すぐに銅は固まり、5分ほど経てば鋳型から取り出すことが出来る。

鋳型たちをもう一度倒し、蓋を開ける。

銅が見えた!

これぞ鋳物の仕上がり。
砂の粒子が鋳物に移り、細かく凸凹した「鋳肌」が生まれる。

鋳込まれたばかりの花器。
荒々しいこのままでもとても力強く美しい。

条件の違いにより出来たグラデーション。
これもとても綺麗だった。

この後、
砂を落とし、バリ等を取り除き、何度も磨かれ、花器に仕上がっていきます。

「鋳込み」ひとつとってもとても大変な作業でした。

見学させて頂き、鋳物製作にはとても手間がかかることが分かりました。

その分、鋳物への愛着・価値が高まりました。

逆に、
「完成品を見るだけでは本当の魅力は伝えきれていないのかも」とも。

これは建築にも言えること。

完成品はきれいに難なく仕上がっている。

しかしそこまでには、設計者が悩むことから始まり、現場での職人さんの準備、苦労、手仕事など多くの手間がかかっています。

それらは完成時の仕上がりとはまた別の大きな魅力。

今の時代、作り手はそれらも含めて伝えていくべきなのかも知れないと。

恐縮ですが、僕は「それを伝える橋渡しがしたい。」

完成品とは別の『過程の魅力』を伝える人になりたいと考えています。

原さん、貴重な体験を本当にありがとうございました。

「鋳込み」とても感動しました!

機会があればまた見させて頂きたいです。

いつか息子にも見せてやりたい。

「柏崎にはこんなにすごい職人さんがいるんだぞ!」

と^^

銅を煮詰めていた釜。
鋳込み終了と共に取り出された。

原惣右エ門工房さんシリーズ、まだまだ続きます。
次回もお楽しみに♪

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原惣右エ門工房さんHP。

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