【想い】「杉板の街並み復興プロジェクト。」未来につなげる風景を。

家づくりへの想い・エスネルとは

「杉板の街並み復興プロジェクト。」

それは、僕の中で2012年から始まっていた。

2011年末から約1年間の世界一周の旅に出た。

一時帰国した2012年の夏、

僕は、地元柏崎の杉板の家々を見て、とても大きな衝撃を受けた。

 

 
 

 

出発前に何度も見ていた景色。

しかし、帰国時には全く別の景色が広がっていた。

深緑の針葉樹の山々の中に、杉板の家々が点在する。

田んぼと、空が広い。

相方の実家である柏崎市西山町の風景には、人工物はなく、自然しかなかった。

 

今考えると、

「日本を訪れた外国人の目」

で見えていたんだと思う。

先入観なく、見えたままを素直に感じることが出来た。

「外」に出る前、当たり前でありきたりだった風景は、

「外」から見てみると、最高に美しい風景だった。

感動して涙が出た。

それほど、衝撃的だった。

 

海、夕日、緑、杉板、、、

改めて自分が好きなものを考えると、それは幼い頃からの新潟・柏崎での原体験そのものだった。

それに気付いたとき、自分のやるべき道が見えた気がした。

外国の街並みを素敵だと感じるように、日本の杉板の街並みも本当に素晴らしい。

それは自分で体験したから確信がある。

日本の、新潟の「杉板と緑の風景」は、世界に誇れるものだ。

その街並み、風景を未来につなげよう。

建築士である僕はそれが出来る。

小さな「志」のようなものが胸に込み上がってきていた。

 

奇跡的な導きだったが、帰国後、就職した設計事務所は杉板の外壁を勧めていた。

所長の自邸も杉板張りだった。

前職で、杉板の長所や短所を実体験を持って学ばせてもらった。

感覚的に「良いな」と感じていた杉板が、実用的にも「良い」ものと確信したかけがえのない体験だった。

 

T様邸(前職時)。

山取り樹木の庭と杉板の家。

耐久性、コスト、メンテナンス、環境負荷、景観、歴史、、、

はっきり言って、僕は杉板外壁に惚れ込んでいる。

冷静ではないのかもしれない。

それほど、あのときの感動は大きなものだった。

 

我が家の蔵。

新潟に限らず、昭和以前は杉板の家々が日本の風景だった。

田んぼに映える美しい景観。

それは日本のどこでも見られた。

特に貴重なものではなかった。

杉板外壁は、安価で、耐久性もあり、メンテナンスも容易な利便性の高い材だった。

地元の山で育てた木を使うことは、コストはもちろんのこと、環境負荷も少なかった。

山の木を使うことは山の手入れになり、若い木が根を張り、土砂崩れを防ぐなどの防災効果もあった。

集中豪雨やエネルギー消費が著しい昨今、昔からある知恵を思い出すことは、より良い未来へつながるカギとなるように思う。

ハイテクノロジーのイノベーションだけではなく、ローテクノロジーのイノベーションを。

またそれは、住む人の心の潤いにもつながっていく。

木の雰囲気が心を和ませてくれることは誰でも知っているところ。

外国から訪れる方々も増え、国内にいながら「外からの視点」を知る機会も増えてきた。

日本の古き良き風景は、まさに日本の誇り。

Amaizing JAPAN!

 

世界に誇る日本の原風景。

風土と歴史が造ってきた杉板の街並み。

僕が世界一周の旅から帰ってきたときに感じた感動を。

もう一度、取り戻す。

杉板外壁の魅力、風景の誇りを伝えたい。

 

なぜ、杉板の建物は少なくなったのか。

それは、戦後の住宅不足から。

経済復興のため、楽に、早く、均一に。

工場生産の新建材が普及していった。

戦後、お金も家もなかった日本にとっては必要な流れだった。

そして、杉板の昔の家は寒かった。

「杉板の家」=「古い」=「寒そう」=「嫌悪感」

というネガティブな印象を新建材は吹き飛ばしてくれた。

しかし、新建材の普及により、日本の原風景やものを大切にする心は薄れていったように思う。

新建材が普及し出して数十年。

表面のみを整えた新建材は、あまり耐久性がないことも分かってきた。

外装の劣化はそのまま「家が古くなった」という印象につながり、まだ住める家々が壊され出してきた。

 

実家の新建材の外壁(築22年)。

時代が一回りし、杉板外壁にネガティブな印象を持たない年代が家を建てるようになってきた。
(僕もその世代のひとり)

現在、杉板外壁は目新しさすらある。

新建材、窯業系サイディング、

それらは日本の住宅の質を高めることに大きく寄与した。

否定ではなく、大きな感謝。

しかし今、過去ほどスピードや量は必要ない時代に変わってきている。

そして「失いつつあるなにか」に気付きつつある時代(感性)に変わってきている。

経年変化する自然素材を許容する、むしろ好むという価値観も広がっている。

時間や手間をかける家づくりが出来る時代。

環境負荷も考え、モノを大切に使い続けていくことを思い出し始めた時代。

大工さんの技が主役の家づくりの再来。

 

かつて、日本の家は「紙と木で出来ている」と外国から言われていた。

20世紀半ば、日本の建築は世界の建築家から賞賛されていた。

それらをとても誇らしく思う。

日本の建築は「日本らしい」とき、一番格好良いのだろう。

その格好良さを伝えて、広めていきたい。

 

エスネルデザイン一棟目(リノベーション)「S邸」
杉板外壁無塗装。2018.12。

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杉板絶対主義ではありせん。

みんな違って、みんな良い。

そして、時代は繰り返されることも理解しています。

自然素材の波の後には、人工素材の波が来るのでしょう。

ただ、僕は今、杉板外壁に惚れているということ。

見た目の好みだけでなく、杉板外壁は、トータルコストや環境負荷を低減することが出来るということ

などから、エスネルデザインでは杉板外壁を勧めています。
(好みでない方には、他の外壁を提案します)

環境、防災、長く大切に使う心、感受性、、、

次の時代の子らにその想いを伝えたい。

「杉板外壁の街並み復興プロジェクト。」

実動と発信を進めて参ります。

(有志募集中)

 

エスネルデザイン新築一棟目「網川原のエスネル」
杉板外壁無塗装。2019.9。

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

 

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村松 悠一 一級建築士
エスネルデザイン代表

新潟の気候に合った「暖かい小さな家(エスネル)」を提案している。
趣味:旅行、カフェ、夕日、2歳の息子と遊ぶこと。
 
 

 

 
 
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