【低炭素】環境負荷低減『断熱材の違いによるLCCO2(ライフサイクルCO2)の差。』グラスウールとフェノールフォーム比較。
ゆうです。
エスネルデザインは
『環境負荷=LCCO2(ライフサイクルCO2)』の低減を考慮した設計を行っています。
環境負荷低減を考慮する場合、
グラスウールとフェノールフォームはどちらが環境負荷が小さいのでしょうか。
比較しました。
エスネルデザインでは外壁の付加断熱材にフェノールフォームを使用しています^ ^
付加断熱材の他の選択肢としては「グラスウール」や「ウレタンフォーム」などが考えられます。
エスネルデザインがフェノールフォームを採用している理由は
・施工が楽
(グラスウール施工と異なり下地が不要。雨天時でも施工可能)
・隙間なく施工できる
(外張り施工は充填施工より隙間が出来にくい。下地がないので熱橋がない)
・断熱性能の経年劣化が少ない
(他のボード系断熱材に比べて)
・防火性
・防水性
など。
フェノールフォームは「熱伝導率が小さい」点が優位点として説明されますが、それよりも上記の優位性を重視してフェノールフォームを選んでいます。
(熱伝導率が大きくても厚みを増せば同様の性能は出せるから)
詳細は以前の記事をご覧ください^ ^
【秘訣】断熱材の種類。フェノールフォームを選ぶ理由。 - 住宅設計エスネルデザイン
【秘訣】「ダブル断熱」のススメ。3つの大きなメリット。 - 住宅設計エスネルデザイン
さて、グラスウールとフェノールフォーム。
どちらがどれだけ環境負荷(LCCO2)が大きいのでしょうか。
原材料や運搬コストを考慮すると
「おそらくフェノールフォームのほうが環境負荷が大きいだろう。」
と想像されました。
(フェノールフォームは樹脂系素材。グラスウールは圧縮して運搬できる。)
しかし、定量的に比較しなければ実態は見えてきません。
調べていると、バッチリの文献がありました^ ^
「断熱材としてのガラス繊維のLCCO2」
出典はこちら。→クリック
ニューガラスフォーラムHP内掲載のもの。(2006年)
ガラス系の団体の資料にも関わらず、フェノールフォームに対しても公平に分析されていて好感が持てました^ ^
内容は
「繊維系断熱材(グラスウール等)」と「発泡系断熱材(フェノールフォーム等)」のライフサイクル評価(LCCO2比較等)を行う。
というもの。
(算定の詳細条件等は文献をご参照)
上記の表を僕がまとめたものがこちら^ ^
↓
文献によると、製造時と運搬時に排出されるCO2の合計は
グラスウール:0.63t-CO2(630kg-CO2)
フェノールフォーム:2.51t-CO2(2,510kg-CO2)
と、フェノールフォームはグラスウールの約4倍のCO2が排出されることが分かりました。
これだけ見るとヒヤリとします(^^;)
しかし、分析で重要なのは「量」と同時に「割合」を確認すること。
エスネルの大きさに換算してCO2量をまとめたものがこちら。
ライフサイクル全体のCO2と比較した場合、
グラスウールとフェノールフォームのCO2の差は約0.8%でした。
まとめた資料がこちら^ ^
これ程の差であれば、冒頭で書いた「フェノールフォームの優位性」を優先して良さそうです。
※文献が2006年のものである点、廃棄処理にかかるCO2を把握しきれていない点は今後の課題。
※チリも積もればなので今後の再検討もあり得る。
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また、フェノールフォームは旭化成建材の「ネオマフォーム」を採用しているのですが、旭化成建材さんは環境への配慮を進めています。
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今後、住宅に使用する建材は「コスト」や「性能」だけでなく「環境負荷(LCCO2)」も考慮して選定を行いたいと思います。
これから先、環境負荷低減はより大きなテーマとなってきます。
数年後に浮き彫りになることもあります。
知らず知らずのうちに
「地球に悪影響の家に住んでいた、、」
とならないように。
これからも精進して参ります。
今後とも宜しくお願い致します。
-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-