「空間のアウトソーシング。」再考③「居心地の良い場所を-『採光』冬の朝。」。covid-19 update
『空間のアウトソーシング』再考。
今回は「居心地の良い場所-『採光』」について。
エスネルデザインでは『空間のアウトソーシング』という考え方を提唱している。
「家に必須なもの、家以外で代替できるもの」を検討し、代替できるものはアウトソーシングすることも有効
という考え。
今回のコロナ禍を経験して、再考してみようと思います。
『空間のアウトソーシング』はエスネルデザインの設計思想の根幹のひとつです。
詳細は以前をブログをご覧頂ければ幸いです。
『空間のアウトソーシング』とは言い換えれば
『空間の取捨選択をする』ということ。
今回の新型コロナウイルスを経験して
『アウトソーシング出来るもの、出来ないもの(すべきでないもの)』
を再考しています。
その①『換気』、その②『家計』と書いてきましたが、今回からが本題。
今回の「新型コロナウイルスの流行→自宅待機要請」を経験し、一番に思ったこと。
それは
『居心地の良い家の重要性。』
具体的に言うと
『体にとっての居心地=快適性。』
と
『心にとっての居心地=やすらぎ。』
心から思うのですが、新型コロナウイルスの日本の流行が今(春~)で良かった。
これが真冬であれば厳しかった。
特に日本海側の冬は、積雪が多く、寒く、暗い。
『体の居心地=快適性』について簡単にお話すると、
冬、寒い家にずっといるのは辛い。ということ。
部屋と廊下の温度差のある空間の行き来は、心身ともにストレスになる。
次の新型ウイルスの流行は真冬かもしれません。
日常の満足感を考えても、災害時のリスクヘッジを考えても、
家を建てるなら『超高断熱の家』をお勧め致します。
そして、体のストレスは心のストレスに発展していく。
問題はここから。
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『心の居心地=やすらぎ』について。
新型コロナウイルスの流行が冬でなくて良かった。
日本海側の冬は、暗い。
『日照』『採光』が少ない。
積雪による閉塞感もあり、心が沈みがちになる。
そこに、新型ウイルスの直撃があれば、経済的な先行き不安から自ら命を落とす人も多数いたかもしれない。
僕も独立して一年目の冬はかなり不安になりました。
僕は割りとポジティブなほうなのですが、「そんな自分でもこんなに気持ちが落ち込むのか。」と
冬+先行き不安のコンボの恐ろしさを痛感しました。
今思うと、それは本当に大切な経験でした。
それを経て、それまでよりも人に優しくなれたような気がしています。
伝えたいことは
『冬に明るい家』が良い。ということ。
自然光を取り込める大きな窓があると良い。
設計する上で、採光に関するポイントは
『冬の朝食を明るく過ごせる空間になるかどうか。』
吹き抜け、2階リビング、大きな窓、など設計的な工夫により、冬の朝の自然光を確保する。
(冬、明るいプランニングであれば、その他の季節もおよそ大丈夫)
(漏水リスク、メンテコストの観点から、よほどの条件でなければ「天窓」は勧めていません)
(ほしい明るさは好みによります)
室内の明るさは、住む人の『気分』や『性格』に大きく影響すると考えています。
そういう研究結果も多数あると思います。
特に子供。
暗い部屋で育った子供と、明るい部屋で育った子供は、明らかに性格が異なってくると思います。
また、
今回の新型ウイルス、仕事上の軋轢、夫婦の摩擦など、ストレスフルな状況にいる場合も特に『自然光のありなし』で心の在り方は全く異なってくると思います。
また、明るさだけでなく、窓から
「空を眺める。」
「雲を追う。」
「星を見る。」
「木々の成長を感じる。」
「風や鳥の音を聞く。」
など『心のやすらぎ』は、窓から訪れるのかもしれません。
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春が来る度、感じることがある。
太陽のありがたみ。
日光への喜び。
それはきっと、人間も、植物も、地球上のあらゆるものにとってそうなのでしょう。
それを強く感じられたのは、新潟という豪雪地に生まれ育ち、今も暮らしているから。
『新潟の設計士。』
という感性は、僕の財産なのかもしれません。
太陽の光は人を幸せにしてくれる。
勇気と活力を与えてくれる。
自然と心は前向きになる。
無意識レベルでも、意識レベルでも。
今、大変な時だがきっと、太陽が僕らの心を支えてくれている。
太陽によって育った植物や人が、僕らの心を支えてくれている。
そんなことを再認識できたのは、幸せなことなのかもしれない。