【秘訣】これからの断熱性の指標は『q(スモールキュー)』。本当の燃費を表すもの。「エコロジーとエコノミーの両立」

【断熱・気密・健康】の秘訣

ゆうです^ ^

これから家を建てられる方へ。

注目すべき断熱性の指標『q(スモールキュー)ついてまとめます。

 

・家の本当の燃費を示すもの。

・UA値とはどう異なるのか。

・エコロジーとエコノミーの両立。

 

ぜひ参考にしてみてください^ ^

 

 

 

『q(スモールキュー)』は、これから家を建てられる方にとって重要な指標になると考えています。

なるべく簡単にまとめたいと思います^ ^

 

結論から!

 

『q』とは家から逃げる熱量を表したもの。

(q=W/℃)

 

正確に言うと、1秒当たり、温度差1℃当たり、何ワットの熱が外に逃げるかを表したもの。

具体例を挙げると

q=100、家の内と外の温度差が20℃の場合、

1秒当たり「100×20℃=2000W」の熱が外に逃げるということ。

親しみやすいWh(ワットアワー)で考えると

2000Wを1時間=2000Wh=2kWh。

1kWh=28円のとき、2kWh×28円=56円、が1時間につき暖房費としてかかるということ。
(COP=1のとき)

『q』はまさに家の燃費を表すわけです^ ^

(断熱性が高くなると、qは小さくなる)

 

「じゃあUA値ってなんなの?」

 

UA値とは、qを家の総外皮面積で割ったもの。

1㎡当たり家から逃げる熱量です。

(UA=W/℃・㎡)


〈出典:国土交通省 住宅・建築物の省エネルギー基準〉

分子の「単位温度差当たりの総熱損失量」がq(スモールキュー)のこと。

 

 

「外皮面積で割る理由ってなんなの?」

と思うこともあります。

いろいろな事情によりこのような指標になったのでしょう。

 

車で例えると

「燃費の良い軽自動車よりも、ファミリーカーのほうが、表面積1㎡あたりの燃費は良いよ!」

という感じ。

この「表面積で割る理由ってなんなの?」感。笑

 

37km/Lのアルトよりも、23.8km/Lのノアのほうが、表面積1㎡あたりの燃費が良くなった計算結果は以前の記事をご参照♪

 

【秘訣】UA値は燃費の指標ではない!住宅の燃費とは?「q」とは? - 住宅設計エスネルデザイン

 

つまり

『q(スモールキュー)を見ないと、本当に燃費の良い家かどうかは判断できない。』

ということです。

UA値だけで見ると

「UA値は良いけど、家が大きいから冷暖房費は結構かかる、」

ということになるかもしれないということ。

 

ちなみに、qの算出は全然難しくありません^ ^

なぜなら、UA値を算出する過程でqも計算されるから。

(UA=q/総外皮面積)

 

おそらく「UA値は知っていても、q(スモールキュー)は知らない」という業界関係者も少なくないと思います。

「この家のq(スモールキュー)はいくつですか?」

と尋ねると、その設計士の断熱知識の程度が測れるかもしれません。

(「Q値(昔のUA値)」と混同した回答をする方が結構いそう)

 


網川原のエスネルの断熱仕様。

 

【「超高断熱」とは】網川原のエスネルの断熱性はUA=0.24 - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

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僕が『q(スモールキュー)』に注目する理由は、燃費の他にもうひとつあります。

それは

『qが小さい=環境負荷が少ない。』

と言えるから。

 

UA値が良くても、家が大きければ、消費するエネルギーは大きくなります。

逆に、UA値が悪くても、家が小さければ、消費するエネルギーは小さくなります。

住まわれる方が実際に欲しいのは「冷暖房費が抑えられる家」

そして、これからは「環境負荷もなるべく抑えたい」と考えられる方も増えてくると思います。

 

q(スモールキュー)で考えると

qが小さい=冷暖房費が少ない。

qが小さい=環境負荷が少ない。

と言えるということ。

車の燃費を比較するのと同じように、とてもシンプルです^ ^

今後は、UA値でなくq(スモールキュー)で家の性能を表したいものです。
(UA値と並列表記が望ましい)

性能の比較検討もq(スモールキュー)で行うことを推奨いたします。

 

 

参考までに

網川原のエスネルは、q=61.7
(UA=0.24。延床面積25坪程)

このqの値は全国的に見てもトップレベルだと思います。

内外温度差20℃、28円/kWh、暖房COP=2.5の場合の暖房費/月

61.7×20℃×24h×31日×28円÷COP2.5÷1000(W→kW)

=10,282円=約1万円/月(1月を想定)

朝から夜まで24時間全館空調の最高に快適な環境でです^ ^

(換気による損失、内部発熱、日射取得は非考慮)
(床下エアコンによる基礎からのロス増、換気によるロスを考慮すると1.5~1.7万程)
(日射熱や生活スタイルによって異なります)
(蓄熱活用など更なる暖房費低減も可能)

 

 

設計事務所の仕事『冷暖房費・光熱費シミュレーション作成。』 - 住宅設計エスネルデザイン

 

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家を建てることを検討されている方へ。

今後、プランを提案された際に、設計者に

「この家のq(スモールキュー)はおよそいくつですか?」

と尋ねてみると良いかもしれません。

それが『トータルコストを抑えた家づくりの秘訣』です♪

 

 

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

 

 

【補足】................

「q(スモールキュー)」は、燃費を表す指標としてパーフェクトではありません。

それは

・日射遮蔽、日射熱取得

・設備(換気、冷暖房機器)

の影響が反映されていないから。

 

それらを反映させた「年間冷暖房負荷」という指標もあります。

実燃費を示す指標としては、より正確性が高いです。

しかし、指標に求められる最重要な点が足りていません。

それは「みんなが使っているかどうか。」という点。

建てられる家がすべて「年間冷暖房負荷」を算出していれば指標として機能しますが、そうではないので指標としては機能していないのが現状。

(UA値ですら、全棟算出されていない)

 

また、「年間冷暖房負荷」はパラメーターが多く、指標としては不透明さを感じることも。

例えば、冬の日射熱を多めに考慮した計算と、少な目(安全側)に考えた計算では、同じ家でも結果が異なります。

なので逆に、日射や設備の影響が考慮されない『q(スモールキュー)』は指標として適当だと僕は感じています。

 

 

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