【秘訣】築60年以上の杉板外壁の経年変化「もつ部分ともたない部分の差。」
ゆうです^^
先日、集落の防災訓練がありました。
集合場所の公会堂は築60年以上だそう。
それだけ経っても杉板外壁も柱も梁も健全なままでした。
「変化するけれど変わらない素材。」
木材は不思議な魅力を持った材料です^^
僕の住む「内越集落」は20世帯ほどが暮らす集落で平均年齢はおそらく60歳以上。
僕らファミリーは超若手で、息子は最年少です^^
近所にお年寄りが多い分、息子はとても可愛がってもらっています。
おそらく限界集落。
いろいろ考えさせられる面もあるが、差し当たりのびのびと田舎ライフを満喫している。
公会堂までは徒歩3分♪
集落の人が集まり、災害時の対応確認や見回り訓練を行った。
聞けば公会堂は築60年以上は建っていて、その間、外壁は一度も換えても塗ってもいないんだそう。
(集落に住む大工の義父が言うのでおそらく間違いない)
その割には「本当に60年?」と思うくらい杉板は健全なままの状態だった。
非常に健全な杉板外壁。
節はそこそこあるが割れもない。
周囲に建物はなく雨風も日差しも多そうだが、、
自然素材は状況により劣化の程度はマチマチ。
(あまりに健全なので張り替えられた可能性も否定できない)
(それにしても30年以上は経っていると思われる)
杉板は全体的に経年変化していく。
そして「自然素材は変化するもの」という共通認識がある。
そのため、一部の汚れが目立ったり劣化したりする人口素材の外壁とは全く異なる価値がある。
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内部も健全なまま。
建て替えはないので柱・梁は60年以上経っていることは確実。
雨や日差しがあたらない部分は何年経っても木色のまま。
陶器製のカバーや「碍子(ガイシ)」が時代を感じさせる。
昔の電気配線は現代のような絶縁ケーブルではなかったため、木部に直接触れないようこの碍子に巻かれて配線された。
さて、外部では60年の歳月により劣化している部分もありました。
赤丸部をよく見ると、、、
「木口(木の断面部分)」は維管束が露出しているため、水分を吸いやすい。→保水しやすい→腐りやすい・シロアリを呼びやすいため、このように劣化しやすい。
外部での木の使い方はこの木口を露出させないのが基本となる。
屋根のかかっていた部分の土台。
雨あたりが少なかったせいか劣化はほぼなかった。
「木部を雨に当てないこと。水切れの良い納まりとすること。」
も大切な木遣いの基本。
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屋根と外壁の取り合い部分にも劣化が見られた。
雨が当たる部分が腐朽していた。
ただ、60年以上経過していてこれだけの劣化であれば全然健全と言って良い。
木はなんとなく「腐るんじゃないの?」と想像されがちだが、それは限定的であることが分かる。
むしろ「塗装の剥げ→凍害」や「金属のサビ」の起きない杉板は外壁として非常に優秀と感じている。
経年変化する風合いもとても良い。
杉板外壁は自信を持って勧められる外壁材です^^
それは、
今ある外壁の中で一番実績のあるものだから。
(すでに何十年と使われていて劣化具合も証明されているから)
そして、張替えや処分などメンテナンスも容易だから。
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公会堂内部の回り階段。
乾燥した木を使ったためか、60年経っても隙間はほとんど出来ていなかった。
大工さんの仕事が良かったのかもしれない。
昔ながらの水盤が良い感じ♪
モルタル土間も経年変化により良い味が出てきている。
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築60年以上の建物の見学、とても良い機会でした^^
田舎に住むことは住宅を設計する上でも学びがたくさんあります。
僕は田舎暮らしがとても好きです。
そのためか
古き良き「田舎(日本)の風景」を未来へつなげたい。
という想いがあります。
(世界を見て日本の風景の魅力を再確認したこともある)
風合いも耐久性もコストも、、
杉板外壁、本当にお勧めですよ^^
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村松 悠一 一級建築士
エスネルデザイン代表
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【おまけ】................
我が家の庭や車庫や花などを♪
この時期、葉を広げ涼しげな木陰を作ってくれる「合歓(ネム)の木」。
とても素敵。
合歓の木の下に外部ダイニングテーブルを置いた家をいつか設計してみたい。