【秘訣】『換気と健康。』換気設計の難しさ。「換気実験の紹介。」
ゆうです^ ^
建築仲間の渋谷さんがまたまた実験をされていたのでご紹介させて頂きます。
換気と健康について。
戸の開け閉め・換気扇のオンオフによって、室内の空気質=換気量はどのように変化したのでしょうか。
適切な換気設計の難しさ・換気の実情、が見えてきます。
(出典:NPO日本健康増進支援機構)
グラフから分かるように、年々、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎の有病率が増加してきています。
僕はアレルギー性鼻炎持ちで、幼少期はアトピーも患っていました、
息子は現在、アトピーの治療中です。
その影響もあり、エスネルデザインでは
室内の換気・熱環境など、住まわれる方の健康をより意識して設計を行っています。
具体的には
・『超高断熱+全館空調』により身体へのストレスを低減。
(肺などの体内や肌ストレスの軽減)
・新鮮で安全な空気を、シンプルに、リスク少なく得られる『換気設計』。
(給気経路にダクトを使わない。メンテナンスや素子の劣化など運用の難しい全熱交換型換気扇は基本的に非推奨など)
アパートから「高断熱+全館空調の家」に住み替えられた方から
「子供のアトピーの症状が改善された。」
という声をたびたび聞きます。
室内の温湿度が整うことで、明らかに肌へのストレスは減ります。
また、低温高湿な場所を作らない・適切な換気を行える家は、カビ・ダニの発生を抑えます。
空気質は、アパートとは雲泥の差だと想像されます。
この点が、僕が家を建てたい理由の大きなポイント。
『自分を含め、家族の健康を守りたい。』
ということです。
「なんのために家を建てるのか。」
健康で快適で楽しい毎日を、家族で過ごすため、だと思います。
人生100年時代。
健康の価値はこれからさらに高まっていきます。
(アレルギー増加の要因は「家」だけでなく「食」なども考えられます)
【快適性】なんのための超高断熱?「家中暖かく快適に暮らすため。」【全館空調のススメ】 - 住宅設計エスネルデザイン
また「高断熱+全館空調の家」は、今時期(9月)などの季節の変わり目にも大きく効果を発揮します。
「朝晩の寒暖差を抑えてくれる→風邪をひきにくくなる。」
ということ。
今時期、夜が涼しくなり、窓を開けて寝たくなりますが、朝が冷える日もあり、寒暖差により体調を崩す、ということは少なくありません。
涼しい時期にエアコンを動かすことに抵抗がある方もいるかもしれませんが「超高断熱+小さな家」であれば、冷暖房エネルギーを抑えることが出来ます。
冷暖房を切った場合も、室内の温度変化が緩やかになります。
「エスネルは健康を守る家でありたい。」
それは、お財布にも、心にも、無理のない範囲で。
【健康】なんのための超高断熱?「体への負担(寒暖差)を減らすため。」 - 住宅設計エスネルデザイン
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さてさて、渋谷さんの換気の実験について^ ^
自宅の寝室で
1.引戸を開けて換気。
2.引戸を閉めて換気。
3.引戸を開けて換気を止める。
の3パターンにより、室内の空気質がどのように変わるのか、換気は適切に行われるのか、を実験されています。
渋谷さん宅も「個室から排気」する換気方式。
(排気も給気もファン=第一種換気)
「個室給気」方式よりも、個室排気方式は個室内の汚れた空気を排出しやすい。
(就寝時、勉強時など)
エスネルデザインも「個室排気方式」を採用している。
換気経路と空調経路を同じに出来るメリットもありお勧め♪
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寝室の換気実験の結果はどうだったのでしょうか?
測定1.「引戸を開けて換気。」
「これならバッチリ換気できるでしょ♪」
そのとおりです^ ^
引戸を開けているので「給気」経路に問題なし。
そして室内の「排気」も問題なく行われていることが読み取れる^ ^
CO2濃度と人体への影響の一覧。
(渋谷さん投稿より。出典不明)
一般的に室内は「1000ppm以下になるよう換気計画を行うこと」とされている。
測定2.「引戸を閉めて換気。」
「普通、引戸を閉めて生活するよね。特に問題ないんじゃない?」
ここがこの記事の要点です。
9帖の寝室に家族4人=CO2の排出は想定より多いので、1400ppmは仕方がないと思われる。
しかし、ここで見るポイントは、
「引戸開放時は換気出来ていたのに、引戸を閉めたら換気が鈍った。」
ということ。
具体的に言うと
「設計時に想定した換気量が、実際の暮らし(引戸を閉める)では確保されないケースが起こりえる」ということ。
渋谷さんのお宅は全然良いほうです。
9帖に4人で1400ppmなら十分換気は回っています。
換気不十分になりやすいのは「個室に給気口(ファンでないもの)」の家。
換気経路は「個室(給気)」→「廊下」→「トイレ・風呂(排気)」。
(現在、このような換気設計の住宅が大半)
「個室に給気口+戸を閉める」と、トイレやお風呂の排気扇を回しても、実際は空気を引っ張りきれない。
(抵抗によりカタログ排気量が出ない)
それらの住宅は「戸による抵抗」を考慮せずに換気設計を行っている場合がほとんどです。
(換気扇のカタログ風量は、戸やダクトによる抵抗は加味されていないため、別途、設計者が抵抗を考慮する必要がある)
設計者が
・戸の抵抗により換気風量が落ちるという事実を知っているかどうか。
・空気抵抗まで加味して換気設計を行っているかどうか。
換気の設計は奥が深いんです。
エスネルデザインの換気計画は「個室から排気」+「個室へは循環ファンで給気」。
そのため、戸の抵抗を超えて空気を排出することが出来る。
また、「戸を極力減らす設計」「個室にはアウトセット引戸(壁との隙間が確保された戸)を採用」しているため、戸の空気抵抗も極力低減している。
【網川原のエスネル‐36】造作建具製作!手掛けと明かり取りのデザイン。 - 住宅設計エスネルデザイン
最後に、
測定3.「引戸を開けて換気をオフ。」
「戸を開ければ換気扇がオフでもある程度換気されるんじゃ?」
そんなことはありません。
実際は「空気が汚れることが問題」というよりは「空気が入れ替わらないことが問題」。
CO2濃度が高まることが直接問題ということではなく、
空気が入れ替わらないことで、有害物質や湿気などカビの発生の基となるものが外へ捨てられていないことが問題ということ。
積もり積もって、アレルギーやアトピー・喘息につながっていってしまう。
換気設計が十分になされていない住宅では「ほとんど換気がなされていない」というケースも少なくありません。
(気密性の高さも設計通りの換気が行われるかに大きく関わってくる)
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現在の新築住宅の問題は
『高気密化は進んだ。』
(知見の一般化、消費者の関心が増え、各社力を入れてきている)
しかし『全館空調はまだまだ進んでいない。』
(家が広く断熱性の低い家だと、全館空調すると冷暖房費が大きくなるため、住宅会社も積極的に進めていない?)
そして『適切な換気設計は曖昧なまま。』
(カタログ風量で24時間換気の計算をクリアすれば良い、で終わっていないか)
昔の低気密住宅の時は、家の隙間からの自然に換気が行われていました。
(→空気が淀みにくかった。)
現在「高気密+適切な換気が行われていない」家の増加は、大きな問題をはらんでいます。
シックハウス問題のような、未来の爆弾かもしれません。
「換気や空気質」については、目に見えず、感じにくいため、セールストークになりにくく、建て主様からのクレームもほぼない。
そのため家を建てる際、プランや内装に比べて換気の検討順位は低くなりがち。
建てる側は、換気設計を疎かにしていないだろうか。
万が一の際のリスクを想定した換気設備選定がなされているだろうか。
自戒の意味も込め、換気設計の重要性を忘れないようにしていきたい。
【渋谷さんの投稿より】................
渋谷さん、投稿の紹介許可ありがとうございました^ ^
今後とも何卒宜しくお願い致します。
次回の換気扇打合せ、楽しみにしています♪
-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-