【秘訣】総二階プランのススメ『構造・熱損失・コスト』大きなメリットたち。

【間取り・居場所】の秘訣

ゆうです^ ^

エスネルデザインでは基本的に

『総二階プラン』を推奨しています。

理由は「構造」「熱損失低減」「コスト」のメリットが大きいから。

見た目の映えよりも、上記の点を優先して設計を行っています。

 

 

 

総二階プランとは、1階と2階の外壁が揃っていて、1階や2階にそれぞれ飛び出した室がないプランのことです。

・大きな1階に小さな2階を乗せたプラン

・2階を飛び出させてモダンな印象を与えるプラン

等はエスネルデザインでは理由なく提案していません。

 

網川原のエスネル。

南向き1階リビングの総二階プラン。

『究極のスタンダードハウス。』

 

荻曽根のエスネル。

北向き2階リビングの総二階プラン。
(左上の飛び出している部分はベランダ(外部))

 

地蔵のエスネル。

狭小地に建つ2階リビングの総二階プラン。

 

中野のエスネル。

北向き1階リビングの総二階プラン。

 

 

上記の通り、エスネルのプランは

『総二階+下屋玄関(外部)』

にまとまるよう設計しています。

※室内(構造・断熱区画内)を総二階にまとめるのがポイント。
(下屋やベランダは飛び出ていても問題ない)

 

 

 

なぜ『総二階』プランにこだわるのか。

それは

総二階プランが一番合理的だからです^ ^

 

 

【総二階メリット①】................

上下階の壁が揃う素直な構造

→耐震性を確保しやすい

 

1階2階の壁が揃っているのと揃っていないのでは、当然揃っている方が耐震性を確保しやすい。

「2階が受ける地震力を1階に直接伝えられる」ということ。

 

 

 

【総二階メリット②】................

外皮面積を抑えられる

→熱損失(冷暖房費)を低減できる

→新築時のコストを抑えられる

→改修時のコストを抑えられる

 

仮に、1階と2階が同じ面積で2階がズレている場合、ズレた分だけ床と天井の表面積が増える。

表面積が増えるということは

「熱損失」「工事費」「改修費」が増える、ということ。

同じ床面積であれば、総二階が一番「屋根・壁・基礎」等の量を抑えることが出来る。

(床下エアコンを行う場合、基礎面積を抑えることは暖房費低減に大きく影響する)

 

特に「改修費」が増えることまで想定して家を建てている人は少ない。

新築時はまだ良い。順番に造っていけるから。

しかし、凹凸のある部分の屋根や壁を改修する場合、それなりの手間=コストがかかってくる。

特段の理由がなければ、数十年後にかかるメンテナンスコストはなるべく抑えたい。

 

また、注意が必要なのは「表面積(外皮面積)が増えるため、UA値は悪くなりにくい」という点。

UA=熱損失量/外皮面積

分母も分子も増えれば、見かけのUA値は変わらない(むしろ良くなるケースも)。

しかし、冷暖房費に直結する『熱損失量(q)』は確実に増えている。

ここがUA値の落とし穴。

上記の理由のため、エスネルデザインでは断熱性はUA値ではなく「q(スモールキュー)」で比較検討することを推奨している。

 

【秘訣】これからの断熱性の指標は『q(スモールキュー)』。本当の燃費を表すもの。「エコロジーとエコノミーの両立」 - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

【総二階メリット③】................

床断熱部分を作らない

→足元が冷たく感じることを防ぐ

 

快適性は、UA値やqでは読み解けない部分がある。

それは局所的な『冷輻射』や『熱伝導』による不快感。

例えば、冬の夜の窓の近くは冷える。

これは冷輻射と呼ばれるビームのような冷たさが体に当たるから。
(ex.ハロゲンヒーターの冷たいバージョン)

床も同様。

2階が飛び出すプランの場合、当該部の床の先は「外気」になる。

外気の冷たさが床に伝わってくるということ。

注意点は「その床に直接足が触れる=熱が伝導する」ということ。

壁であれば離れられる。

しかし床は、特に寒さセンサーの敏感な足が近い部分。

床断熱を採用する場合は上記の点を考慮して慎重に断熱・空調設計を行う必要がある。

 

 

 

................

 

まとめると総二階プランのメリットは

・耐震性を確保しやすい。

・熱損失(冷暖房費)を低減できる。

・工事費を低減できる。

・改修費を低減できる。

・冷たい床を作らない。

また、凹凸のないシンプルな形は気密施工も行いやすい。

上記のメリットを考慮して、エスネルデザインでは総二階プランを推奨しています^ ^

 

特に2階を飛び出させるプランは注意が必要。

「本当にその出っ張りは必要なのか。」

「デメリットを理解した上でも欲しいのか。」

 

外観に凹凸を造ると見た目をカッコよくまとめやすい。

しかし、それが設計士のエゴであってはならない。

上記のメリットデメリットは建て主様は知らない場合がほとんど。

設計士は、長期的視点での建て主様の利益の追求、また説明を行う責任があると思っています。

 

一世代で取り壊されることのない、住み継がれる『究極のスタンダードハウス』を。

皆さまの家づくりの参考になれば幸いです。

 

『エスネルとは。-究極のスタンダードハウスを目指して-』住学15発表資料公開。 - 住宅設計エスネルデザイン

 

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

 

 

【補足】................

絶対に凹凸があってはいけないというわけではありません。

デメリットを上回るメリット、デメリットへの対策があれば問題ありません。

例えば

・飛び出した2階部分が玄関ポーチの屋根を兼ねる。
(コスト圧縮の工夫)

・飛び出した2階の床が冷たくなりにくい工夫を施す。
(畳コーナー、カーペット、空調的工夫、)

・凹凸があってもきちんと構造計算を行い、安全性を確かめている。
(飛び出す部分には耐力壁を置かない、耐力壁の下に柱がある、)

・飛び出した部分が居室でない(冷暖房を行わない)。

・飛び出した部分が大きくない。

・イニシャルコスト、改修コストを抑える工夫がある。

・外観的な美にデメリットを上回る大きな価値を感じる。

など。

また

・斜線制限などの条件により凹凸プランにならざるを得ない。

・要望的に1階の方が大きくなる。
(広いリビング、客間が必要、)

などもあり得ます。

 

「総二階」は原則の話。

敷地条件やご要望によってケースバイケースになります。

 

 

【関連記事】................

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プランの凹凸でコストが増える!初3Dパース(スケッチアップ) - 住宅設計エスネルデザイン

 

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