【サーモ】真冬の超高断熱『樹脂トリプル窓・スラブ断熱補強・個室排気設計』case.網川原のエスネル
ゆうです^ ^
網川原のエスネルの真冬のサーモグラフィ計測の報告その②。
・樹脂トリプルガラスの断熱性。
・開き窓とFIX窓の熱損失量の違い。
・スラブ断熱補強の効果。
・個室排気型換気設計のメリット。
についてまとめました。
今回はマニアックな内容になります。
サーモ計測のメインの様子は下の記事をご覧ください^ ^
網川原のエスネルの詳細やサーモ画像を見るときの注意点も記載しています。
【秘訣】真冬の超高断熱『サーモ計測(日射あり)』‐網川原のエスネル- 住宅設計エスネルデザイン
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サーモ計測日は2020年2月9日9時頃。
(上記計測の約1年前)
奇しくも建て主のK様が真冬日の室温測定をまとめられた3日後でした^ ^
サーモ計測時の外気温は0~1℃程。
日射がなく寒い日は超高断熱の真価の調査にはもってこい♪
K様の「真冬日の室温測定記事」が素晴らしいです^ ^
「氷点下に暖房OFFして10時間後の室温低下は約3℃!」
「床下に大量のペットボトル!蓄熱暖房とは?」
ぜひご覧ください♪
僕の補足付き記事はこちら↓
【お客様の声】網川原のエスネルK様「真冬日の超高断熱の家の室温報告。」 - 住宅設計エスネルデザイン
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上記環境下でのサーモ計測結果をご報告^ ^
【子供室(北側、日射なし)】................
(サッシ:APW430(ガス入り、ダブルLow-E))
壁(スポット1):22.0℃
サッシ下(スポット2、3):15.8℃
ガラス中央(スポット4):20.2℃
・床、壁、天井の温度ムラはほぼ無し。
・サッシ枠は上端よりも下端がより冷えることが分かる。
・サッシ枠(樹脂)よりもガラスのほうが暖まることが分かる。
(枠よりもガラスのほうが断熱性が高い)
【サッシアップ】................
サッシ下(最寒)(スポット2):13.3℃
・ここの温度と室内の温湿度によって、結露するかしないかが決まる。
図より、室温24℃、相対湿度50%の時、サッシ枠温度が13.3℃であっても結露が起こらないことが分かる。
(結露領域外)
ただし、サッシ枠温度が13.3℃は「カーテンをしていない状態」また「人がいない状態」である点に留意。
逆に言えば「カーテンあり」「人あり」の場合
・サッシ枠の温度はより低下する。
(特に断熱性の高いカーテンの場合要注意)
・特に多人数での就寝時は高湿になりやすい。
ため、結露リスクは高まるということ。
ただし、
・サッシ枠温度13.3℃の範囲は限定的であること。
(サッシ枠中頃(スポット3)は16.2℃)
・外気温は変化すること。(日中は上がる)
・結露しても乾けば問題ないこと。
も考慮しておく。
「結露=悪者」ではない。
防ぐべきは『結露水の長時間滞在→カビの発生』。
上記の対策としてエスネルデザインでは
・高断熱サッシ(樹脂トリプルガラス)
・ロールスクリーン(断熱性なし、通気性あり、遮熱商品あり)
(アルミブラインドでも良い)
を推奨しています。
(運用が簡単であることを優先)
(断熱性の高いハニカムスクリーンは運用にコツが必要)
【サッシ内外温度】................
分かりやすいように温度の色を変換↓
室内壁(スポット1):14.1℃
サッシ際(スポット2):11.6℃
サッシ中(スポット3):2.3℃
サッシ外(スポット4):-3.6℃
・サッシの内外で温度差約15℃。
(この厚さでとても高い性能。メーカーの開発者に感謝)
※気密性が高い窓であることも影響している。
気密性が低いとその分表面温度も下がる(ex.引き違い窓)
【真夏の様子】................
・サッシ内外温度差は約18℃。
詳細は下の記事をご参照ください^ ^
(アルミ窓の場合の内外温度差の記載もあります)
【秘訣】真夏の超高断熱「サーモ計測」②日中の室温と日射熱の影響。 - 住宅設計エスネルデザイン
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【リビング2階壁】................
注目したいのは「開き窓とFIX窓の差」(青色の量に注目)。
上記の通り「ガラスよりもサッシ枠のほうが断熱性が低い」
→温度低下が大きい=結露しやすい。
→熱損失量が多い。
そして「FIX窓は開き窓よりもサッシ枠の量が少ない」。
まとめるとFIX窓は開き窓に対して
・熱損失量が少ない。
・温度低下範囲が少ない=結露リスクが少ない。
・可動部がないので気密性も高い(初期も経年後も)。
そして
・サッシ枠の幅が小さく、風景を綺麗に切り取れる。
・コストも安い。(可動部部品がないため)
高断熱+全館空調の家の場合「そもそもほとんど窓を開けない」という状況もある。
(→網戸も不要=コストダウン〇視界クリア〇メンテ手間減〇)
窓は「引き違い窓一択」という時代もあった。
窓それぞれの性能や効果を把握し、状況や用途に合わせて適材適所窓を選定していきたい。
(ガラスの種類なども)
【S邸Web内覧会②】「窓の選び方、壁の切り取り方」 - 住宅設計エスネルデザイン
【地蔵のエスネル-09】AEP塗装・枠のない窓。『採光確保の秘訣たち。』 - 住宅設計エスネルデザイン
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【床下(スラブ)】................
(スラブ=コンクリート底板)
『断熱材の際から熱ロスがある』点は以前まとめた通り。
簡易対策としてK様が段ボールを隅に敷かれていた。
段ボールありなしの差はどうだったのか。
〈断熱材際〉
段ボールあり(スポット1):22.8℃
段ボールなし(スポット2):21.2℃
・ありとなしで温度差1.6℃。
(小さくない→ある程度の効果を感じた)
表面温度と熱貫流率は異なる指標だが、ある程度は表面温度から熱貫流具合をイメージできる。
現在はスラブに「クッションフロア」を張る仕様を提案している。
(または建て主様によるカーペットフロア敷き)
(床下エアコン使用(1階リビング)の場合)
段ボールと同等以上の断熱性が得られると推測している。
(熱ロスの低減だけでなく床下の利便性も向上する)
【暮らし】大容量の床下収納。便利な収納グッズたち。case.中野のエスネル - 住宅設計エスネルデザイン
【上記と同じ画像】................
際ではなく〈断熱材中央寄り〉部の考察。
段ボールあり(スポット3):23.8℃
段ボールなし(スポット4):23.4℃
・ありとなしで温度差0.4℃。断熱材際より差は大きくない。
→熱ロスが顕著な範囲は断熱材際から20~30cm程ではないかと推測。
(地下水位や土の性質などにより異なる)
※この4月から当該部の熱損失の計算が変わる。
(同仕様でもUA値が悪く算出される)
内容を把握し今後の仕様を再検討していきたい。
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【排気扇(子供室)】................
(左がON、右がOFF)
排気扇ON(スポット2):23.4℃
排気扇OFF(スポット3):18.0℃
排気扇は「室内の空気を外に捨てる」もの。
→ONの場合、室温との差はほぼ無い。
(=排気扇が冷えない)
→OFFの場合「外気の影響を受け表面温度が下がっている」
高気密住宅の場合、多少逆流(外気が入ってくる)が起こる。
(この状況の場合、ショートサーキットあり)
(量は未知だが影響は大きくないと推測)
想像してみてください。
「これが排気扇でなく給気扇だったら、、」
冷たい外気が部屋に流れ込む。→室温は下がり冷気流も不快。
(熱交換換気扇であったとしても室温より冷たい空気が入ってくる)
エスネルデザインが『個室排気換気方式』を推奨する理由がサーモ計測からも見えてきます。
(給気はホールのエアコン近傍)
【快適性】なんのための超高断熱?「家中暖かく快適に暮らすため。」【全館空調のススメ】 - 住宅設計エスネルデザイン
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机の上で頭を使って設計することは大切。
それと同じくらい完成後の現場検証も大切。
現場は『気付き』で溢れている。
頭で考え、実行し、現場で検証し、改善点を模索する。
『より良い住』に向けて、一歩一歩進んで参ります。
-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-