【渋谷さん発表①】『引き違い窓の気密性低下。築5年で13c㎡。』リスクを考慮した窓選びを。

【断熱・気密・健康】の秘訣

ゆうです^ ^

前回の住学でアオキ住建の渋谷さんに発表して頂きました。

発表にあった

『5年経過後の引き違い窓の気密性の変化』

をご紹介します。

渋谷さん、参考になるお話をありがとうございました♪

 

 

 

アオキ住建の渋谷さんは友人であり、同志であり、元同僚という不思議な関係^ ^

お互い特に「断熱、気密、換気」への想いが強く切磋琢磨しています。

渋谷さんの話はこれまでもエスネルブログで度々紹介してきました。

意識が高く実験好きのすごい人です。(親近感)

 

【秘訣】『換気と健康。』換気設計の難しさ。「換気実験の紹介。」 - 住宅設計エスネルデザイン

 

【秘訣】「熱交換型換気扇」採用の注意点。熱交換素子の比較。 - 住宅設計エスネルデザイン

 

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そんな渋谷さんに住学で発表して頂きました^ ^

タイトルは『大人の自由研究 省エネ編』。

・寒波襲来時の高断熱(G2)の住み心地は?

・5年経過後の引き違い窓の気密性は?

・換気不足時の室内のCO2濃度は?

・高断熱住宅と健康の関係。

など参考になることが目白押し!

これから数回に分けてご紹介させて頂きます。

(渋谷さん、許可ありがとうございました)

 

渋谷さんは「住宅建材の営業マン」でありながら「高断熱住宅(G2)の住まい手(築5年)」という売り手と買い手の両方の顔を持った方。

この方の言うことは信頼性が高い^ ^

 

 

 

では、5年経過後の気密性の変化について!

 

 

※完成後のC値の推移は一般に公開されているデータは少ない。
変化幅もそれぞれ、原因もそれぞれのため、一括りに論ずることは難しい点に留意。

 

【測定結果】................

※以下、オレンジ色の文言は僕が加筆。
(渋谷さん、失礼しますm(_ _)m)

完成時C=0.22が5年でC=0.40に落ちた。
(実際は四捨五入するので「C=0.3がC=0.4になった」)

特に2年~5年の変化が顕著。

「これはなにか理由があるな、」と。

 

渋谷さん宅には大きな『引き違い窓』が2つあります。(幅2.5m×高さ2m×2枚)

渋谷さんから

「数年経って引き違い窓から隙間風を感じるようになった。」

と説明がありました。

 

気密性低下の原因は引き違い窓だと推測され、窓周囲を気密テープで目張りして再度測定してみると、、、

 

この結果は少し衝撃的。

・サッシ目張り前C=0.40の相当隙間面積は46c㎡。
家全体で5cm×9cm程の隙間があるということ。

単体で見れば決して大きくはない。
(十分高気密と言える)

・サッシ目張り後C=0.28まで下がった。
=相当隙間面積が46c㎡から33c㎡まで減った。
(差13c㎡=46-33c㎡)

「5年で引き違い窓2つの中に合計4cm×3cm程の隙間が出来た」ということ。
(何割かは完成時からあった可能性もある)

家全体で隙間が13c㎡増えるのと、サッシ2つに隙間が13c㎡増えるのでは話が異なる。

窓にそれだけ隙間が増えれば特に冬場に

・断熱性低下(=熱損失増加)。

・隙間風によりサッシが冷やされ結露が起こりやすくなる。

・隙間風により不快感増加。

などの影響が出てくる。

 

原因は「ゴムパッキンの硬化、劣化」と思われる。

引き違い窓は開き窓に比べてパッキンの劣化が気密性の低下に直結しやすい。

「引き違い窓のゴムパッキンの劣化→気密性低下」の発生は想定内。

しかし「築5年」でここまで変化するとは、、

引き違い窓を採用する場合、上記経年変化を踏まえ建て主様にご説明→ご理解頂く必要がある。

※エスネルデザインでは理由がない限り引き違い窓は提案していない。
(今まで採用したのは1個だけ(特別な理由あり))

 

近年、夏(冷房期)と冬(暖房期)が長くなってきています。

また、花粉・PM2.5・熱帯夜などもあり窓を開ける機会は昔よりも減ってきています。

「本当に引き違い窓が必要かどうか。」

家を建てる際に一度考えてみることをお勧めします。

(引き違い窓を採用するメインケースは「積極的に庭と出入りする」などでしょうか)

 

※発売初期の某社の樹脂引き違い窓は特に気密性が甘いと話を聞く。
(現在は徐々に改良されてきているとも)

※「施錠時に室内側に障子を引き寄せ高い気密性を実現する引き違い窓」であっても気密性が高い住宅の場合、隙間風が入ってくるという話も。
(給気量と排気量のバランス、障子の調整具合にもよる)

※調査数が少ないので断定的なことは言えない。
(あくまで参考程度にお考えください)

※引き違い窓の気密性は変化したが、渋谷さん曰く「概ね快適に過ごしています」とのこと。
(詳細はまた次回に)

 

 

 

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渋谷さん、資料の方大変ありがとうございました。

貴重な情報、非常に参考になりました。

今後の設計に活かさせて頂きます。

今後とも何卒宜しくお願い致します。

 

 

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

 

 

 

【おまけ】................

渋谷さん発表資料より。

 

 

 

 

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