【秘訣】換気扇の未来『フルオートデマンド換気扇の各室設置。』壁付換気扇を採用する理由。-未来を見据えた設計を-
ゆうです。
換気扇について話します。
僕は将来、換気扇は
『フルオートデマンド換気扇』の各室設置が一般的になると想像しています。
未来を見据えて今を創る。
僕の想像する『換気扇の未来』についてまとめました。
「換気」と「空調」を効率よく、低コストで、簡単に行えることを大切にしています。
そのため「機能が複合的」「工事が複雑」「入れ替えやメンテナンスに難」がある設備はお勧めしていません。
リスクを抑えつつ低コストで快適な空間が実現できるよう設計を行っています。
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エスネルデザインでは『ダクト』をなるべく用いない換気空調設計を行っています。
理由は
・メンテナンス(ダクト内清掃)が基本的に出来ない。
・長く曲がったダクトには圧力損失が発生して意図した換気量が得られない場合がある。
圧損の分、消費電力は増えてしまう。
・設置にスペースを必要とする。
・施工にコストがかかる。
などから。
(全否定ではありません)
(排気のダクトは可、圧損が少なく清掃しやすい直線状のダクトは可、上記の懸念に対策がある場合は可などケースバイケース)
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では「ダクトを使わない換気設計」とは。
それはシンプルに『壁付換気扇を使う』というもの。
特別なことはない一般的な方法です。
個室の壁に付けられた換気扇(排気扇)。
各個室に排気扇を設置する。(ダクトなし)
個室に「給気扇ではなく排気扇を設置」する理由は
・個室に外気を直で入れると寒く(暑く)なりやすいため。
(個室への給気は空調後の空気を導きたい)
・個室在室時に発生する匂い、湿気、CO2を効率的に排気できるため。
(家中に拡散する前に排気する。ウイルス等にも言えること)
(人から出る熱を排気しやすいため夏場は特に有効)
※空気齢を優先する考え方もあるが、給気扇から排気扇までの経路中に問題になるほど空気が汚れる可能性は高くはないと考えている。
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設置する壁付換気扇は「パイプファン」という汎用的な換気扇。
(熱交換なし)
左:設置後。右:外した状態。(給気扇)
パイプファンは壁に設置したパイプに差し込んで設置される。
設置も機能も非常にシンプル、そして交換が容易、かつ安価。
壊れても入れ替えコスト(手間、費用)が低いのは安心感が高い。
パイプファンのメリットは
〇個室毎の制御(ON-OFF)がしやすい。
〇仕組みがシンプルで運用が簡単。
〇本体費用、取り付け費用が小さい。
〇故障時に個別に交換が可能。交換費用が小さい。
〇廃番リスクが低い。
〇設置場所を取らない。ダクト不要(ダクト内清掃不要)
〇消費電力が小さい。
〇熱交換エレメントがないので交換コスト(手間、費用)が不要。
反面、パイプファンのデメリットは
・ファンの力が弱い(ものが多い)。
→風や他の換気扇の影響を受けやすい。
→気密性が低いと計画した換気が行われにくい。
・個室に換気扇が露出する、外壁に換気フードがつく(見た目)
など。
対策として「気密性を上げる」「排気量が大き目のファンを選ぶ」「給気もファンを採用する」等を行っている。
設備はいつか壊れる。
そのため
『設備はシンプルであること。将来の入れ替えを想定すること。』
がポイント。
また設計者にとって
『自分の家ならば採用するかどうか』
は大きな判断基準。
表面的な機能や性能値向上を優先するのではなく
「維持管理は面倒でないか、長期に渡り安心か、支出や手間のストレスは許容範囲内か。」
等を想像しながら設備の選定を行いたい。
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さて『パイプファンを採用している理由』はここからが本題。
『換気扇の未来』について。
結論から。
『将来、フルオートデマンド換気扇を各室に設置することが一般化する。』
と考えています。
『換気扇本体に、匂い、湿気、VOC、CO2等のセンサーが内蔵され、それぞれ規定値を超えると自動で換気扇がON-OFFする』というもの。
全自動で換気、必要に応じて必要量を換気。
技術的にも今ある技術で十分に実現可能。
排気扇と給気扇の連動機能も備わるとなお良い。
「フルオートデマンド換気扇」のポイントは『各室に設置』すること。
就寝など個室にこもることを想定すると各室毎に換気量を制御できることが望まれる。
この「各室毎の換気量の制御」がダクト式全館換気扇だと難しい。
ダクト式全館換気扇は排気ファンも給気ファンも本体にひとつずつ。
ファンが各室に付いているわけではない。
そのため、各室毎に排気量を調整することは苦手。
(グリルのフタでの調整は可能)
「フルオートデマンド換気扇」が発売されるならば「パイプファン型」が好ましい。
個室毎に設置して個室毎に換気量を調整できる。
その未来を想定するならば
今、家につける換気扇はパイプファンだと良い。
将来「フルオートデマンドパイプファン」が発売された際に容易に入れ替えられる。
壁にはパイプが設置済みで外壁にはフードが設置済み。
設置の際に壁に穴を開けたり防水処理を行う必要がない。
これが
エスネルが『パイプファンの各室設置』を採用しているもうひとつの理由。
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現実的には「フルオートで換気量調整」が出来る換気扇の一般化にはハードルがある。
(法律解釈など)
しかし、建て主様毎の判断で「デマンド」運用は可能。
現実的には必要に応じて換気扇をON-OFFする。
特に不在時は換気量は絞って問題ないだろう。
(人からの匂いや湿気等の発生がない)
※24h換気が義務付けられた時とは諸々の状況が変わってきている。
・建材に含まれるVOCの低減
・建物の気密性(→有効な換気)の向上
・VOCの少ない自然素材の多用
・住まわれる家族の少人数化
、、、
「換気量を必要量に抑える努力」は経済的にも環境負荷低減的にも有効に働く。
『空調した空気を必要以上に捨てない』ということ。
しかし安易に「換気量は減らしても良い」とは言えない。
家によって必要な換気量は異なるから。
なので現実的には建て主様毎の判断に依ることになる。
それを可能にする設計、提案は行っていきたい。
現在設計中のエスネルには「換気扇の一部をOFFにするスイッチ」を玄関に設けている。
「OFFにすれば不在時に換気量を抑えられる」というもの。
(運用は建て主様の任意)
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換気について。
ここまで踏み込む必要はない。
「法律で決まった量の換気をする。以上。」で良い。
しかしそこで留まれないのは
『無駄を抑えたい。』
『経済性も環境負荷低減もパフォーマンスをもっと上げたい。』
と突き動かされる設計士の性のようなものだと思う。
固定観念に捉われず
未来を見据えて今を創っていきたい。
-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-
〈追記〉................
フルオート換気扇の前にまずは『スマート換気扇』が発売されてほしい。
スマート電球のように「スマホでON-OFF、風量の調整、タイマー、他の換気扇と合せたシーン設定」等が出来たら嬉しい。
外出時に換気量を絞る等がとても容易になる。
スマート換気扇の販売を想定するならば、家の換気扇は個別に入れ替えが容易なパイプファンだと良い。
これはスマート電球の普及で体感したこと。
エスネルでは建主様が自分で交換できる電球型照明を提案している。
(LED一体型照明でないもの。一体型は業者による交換が必要になる)
その結果、スマート電球への交換が容易に行える。
『交換のハードルが低いこと。』
はIoT化が進む現代ではとても価値のあることなのだろうと感じている。