【構造】『許容応力度計算とは。』検討内容の解説。-構造設計を誰が行うのか-
こんにちは^ ^
エスネルデザインでは構造計算=許容応力度計算を行っています。
許容応力度計算とはどのようなものなのでしょうか。
解説したいと思います。
構造計算ソフトホームズ君資料より。
住宅の構造計算は簡易方法である『壁量計算』と詳細方法である『許容応力度計算』があります。
それぞれの違いについては以前の記事をご覧ください。
これからの時代、許容応力度計算はマストです。
【構造】法改正により家に必要な壁量が増える『未来を見越した性能設計を』-許容応力度計算のススメ- - 住宅設計エスネルデザイン
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許容応力度計算について解説します^ ^
(専門用語は抑えて単純化してお伝えします)
〈家の重さを設定する〉
設計する家の重さを設定します。
サッシや太陽光パネル、断熱材、耐力面材、雪などの重さを入力します。
【荷重の設定】................
〈ポイント〉
・重い家ほど大きく揺れる。
→家の重さを正確に入力することは耐震設計において重要。
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〈柱、梁、耐力壁を設定する〉
間取りに沿って構造材を入力します。
【柱、梁の設定】................
〈ポイント〉
・1階と2階の柱が揃っているか(力が素直に地面に伝わるか)。
(揃っていないと不要に大きな材が必要になったり強度が落ちたりしてしまう)
・それぞれの材のコストや施工性を考慮してパフォーマンスが高まるよう配慮。
荷重を「屋根→2階→1階→基礎→地面」と綺麗に流す。
〈ポイント〉
・総二階プランは上階の荷重を下階に伝えやすい。
・合理的な構造は柱と梁の姿が素直で綺麗。
・合理的な間取りは合理的な構造から。
【耐力壁の入力】................
〈ポイント〉
・地震に耐えられる必要な壁量を設ける。
・バランス良く偏りなく設ける。
(揺れる際にねじれ等が起こりにくいよう)
・2階の耐力壁にかかる力が1階→基礎に素直に伝わるよう配慮。
・耐力壁には様々な特性(強度、サイズ、耐火性等)のものがあり適材適所に用いる。
構造が整うと自ずと外観も整ってくる。
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〈鉛直力に対しての検討〉
鉛直力とは地面方向にかかる重さ(≒重力)。
『雪や壁や床の重さに対して梁や柱が耐えられるか』を検討します。
【梁の検定】................
「材にかかる力(外力)」よりも「材が持つ耐力(≒許容応力)」が大きいことを確かめる。
これが『許容応力度計算』という言葉の意味。
(「曲げ」「せん断」「たわみ」「めりこみ」など様々な壊れ方に対して検討を行う)
(安全率の調整も設計者の任意で可能)
【柱の検定】................
柱が座屈する(曲り折れる)ことのないよう柱のサイズや樹種を検討していく。
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〈水平力に対しての検討〉
水平力とは地震力や風圧力のこと。
水平力が掛かった際に家が壊れないよう検定を行います。
【耐力壁の検定】................
〈ポイント〉
・総量だけでなく各通りへの案分割合も重要。
(地震力が偏らないように)
・適切な壁の位置は構造計算時に決まる。
間取りと構造を同時に検討すべき理由。
【床(水平構面)の検定】................
〈ポイント〉
・床が弱ければ壁は耐力を発揮できない。
(地震力が各耐力壁に正しく伝わらない)
・吹抜けがあれば床は弱くなる。
(大きな吹き抜けのあるプランは構造計算の必要性大)
水平力に対して十分な強度を持つ床を設計する。
【引抜金物の検定】................
〈ポイント〉
・横から力がかかると壁は持ち上がろうとする。
(土台や梁から柱が抜けそうになる)
・それを抑えられるよう引抜耐力を持った金物を適切に選定していく。
・引抜が大きくかかる箇所の引抜力は4トン程になることもある。
(コンパクトカー約4台分の重さ)
耐震性の高い家を設計する上で引抜金物の選定は非常に重要。
【アンカーボルトの検定】................
家(木造部)が基礎(コンクリ部)から離れないよう適切にアンカーボルトを設置する。
(アンカー=いかり)
地震時に起こる引抜力に対して
・アンカーボルトが耐えられるか。
・基礎が耐えられるか。
・土台が耐えられるか。
等それぞれ検定を行う。
(土台=基礎の上に乗せる木材)
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〈基礎の検討〉
基礎(鉄筋コンクリート)が鉛直力、水平力に耐えらえるかを検討します。
【基礎梁の検定】................
高基礎の場合、梁背(梁の高さ)が大きいので耐力に余裕がある。
〈ポイント〉
・床下は人が通る(床下収納としていなくてもメンテナンス時に通る)。
→通りやすいよう基礎梁の量を抑えられると良い(基礎コストも抑えられる)
・床下を換気空調経路とする場合、基礎梁の量を抑えられると空気の拡散性は向上する。
基礎梁の設計は大きなポイント。
【基礎梁の計画】................
基礎梁の量を必要最小限+αに抑えた設計を行っている。
→床下の通行〇、コスト減、施工手間減、熱損失(熱橋)減、空調拡散性〇
(図FG3は地中梁(地面下)のため床下内部には表れない)
【基礎底面の検定】................
建物の重さが地面にかかると地面から反力を受ける(作用反作用)。
(タッパーにラップをして上下逆さまにして水面に押し付けるとラップが凸になるのと同様)
その反力に耐えられるよう基礎底面の強度を設計する。
また建物の重さが地盤の強さの範囲内であることを確かめる。
(建物が地面に沈まないように)
(地盤の強さは地盤調査で確認する。必要に応じて地盤改良を行う)
(基礎底面は「基礎スラブ」と呼ばていれる)
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以上、許容応力度計算の解説でした^ ^
(他にも「屋根材(垂木)が風や雪の重さに耐えられるか」等の検討もある)
検討項目は全部で815項目。
全ての項目に対してNGがないことを確認する。
検定比を確認し安全率を調整することも可能。
構造計算書は363枚にもなる。
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〈最後のポイント〉
構造設計は構造だけ理解していても上手くはまとめられない。
構造は「間取り」「断熱気密の納まり」「施工しやすさ、施工順序」「コストパフォーマンス」など様々なものと絡み合う。
理想的には施工を理解している設計者が間取りと構造を設計することが望ましい。
また計画した構造が実際に現場で正しく施工されているかの確認(工事監理)も重要。
間取り設計、構造設計、工事監理
それらを熟知した人が設計担当であれば嬉しい。
またその設計者と直接打合せできればより良い。
(家づくりは検討項目が多岐に渡るため分業が一般的)
(打合せは営業、間取りは設計、構造は外注、監理は監督、、)
より良い設計を行うには専門知識と経験を備えた設計者(少数または一人)が担当できると良い。
より良い家づくりを提案できるようこれからも努めて参ります。
-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-
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構造設計のポイントは多岐に渡ります。
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