【サーモ】真冬の超高断熱「2階リビング『床下ファン冷暖』による暖房ロス低減効果。」case.地蔵のエスネル

【冷暖房・空調・換気】の秘訣

ゆうです^ ^

地蔵のエスネル真冬のサーモグラフィ計測の報告。

・年末の厳寒期、日射なし。

超高断熱、高気密、全館空調。

計測条件としてはベスト♪

そして今回は『2階リビング+床下ファン冷暖』

室温・室内温度差はどうだったのでしょうか。

『床下(基礎)の温度分布』に注目です。

 

 

 

 

地蔵のエスネルは2020年10月完成の超高断熱の小さな木の家

2階リビング『床下ファン冷暖』空調を採用しています。

【延床面積】26.3坪

【断熱性】UA=0.26、q=67.7
・サッシ:樹脂トリプルガラス(APW430)
・壁:グラスウール10cm+フェノールフォーム6cm
・天井:セルロースファイバー40cm

 

完成時の様子はこちら^ ^

 

 

 

 

 

【地蔵のエスネル-14】プロ撮影による完成写真たち。 - 住宅設計エスネルデザイン

 

築2か月の暮らしの様子はこちら♪

 

 

 

 

【暮らし】『適材適所の収納方法。』キッチン、洗面、マグネットラック。case.地蔵のエスネル - 住宅設計エスネルデザイン

 

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【サーモ計測の概要・条件】................................

目的:真冬の超高断熱の室内温度・温度差の調査

調査方法:室内の表面温度の計測

調査日:2020.12.20(9:30~10:30)

場所:新潟県長岡市地蔵

外気温:2~3℃程

建物性能:断熱性UA=0.26、q=67.7、気密性C=0.1

日射遮蔽物:ロールスクリーン(計測日は日射なし)

暖房:家庭用ルームエアコン(2台運転)
設定温度:1階20℃、2階20℃、24時間連続ON

 


数日前から強烈な寒波が来ていた。

超高断熱の効果を知るにはもってこい♪

 


計測時の気温、天気。

 

 

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サーモ画像を見て頂く前に「サーモ画像を見るときの注意点」をご確認ください。

 

S邸リノベーション。17「サーモグラフィ調査①『注意点』。」 - 住宅設計エスネルデザイン

 

注意点をまとめると

①表示温度に誤差があること。

②温度差の印象操作が容易にできてしまうこと。

※サーモ計測器は「FLIR ONE(Gen3)」。
精度の誤差は数℃(おそらく±1~3℃程)ある。
→複数のサーモ画像の温度を見比べるより「1枚の画像の中の温度差のありなし」に注目して見ると有意義。

 

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前提の説明をもうひとつ。

 

温度バー(サーモ画像の右端にある温度と表示色の関係を示したバー)の最高温・最低温の設定は変えることが出来る。

これを固定(すべて同じ最高温度~最低温度)すると中間の温度の色が画像毎に変わってしまう(→分かりにくい)。

温度と色をある程度固定できるよう

青(冷たい):15℃以下

緑(涼しい):18℃程

黄(普通):20℃程

橙(暖かい):22℃程

赤(とても暖かい):26℃以上

と表示されるよう温度バーの最高温度と最低温度を画像毎に調整した。
(→詳細な温度数値を見なくても感覚的に読めるように)

 

【通常】冬場の快適表面温度は
・壁・天井22℃~
・床23℃~
(個人差あり)

なので「~橙であればOK」と読んでもらえればと思います^ ^

 

【注意点】
M様は「家族みんな寒さに強い(暑がり)」ということで設定温度低め(20℃)で生活されていて「このくらいの室温でうちはちょうど良いです」とのこと。
(一般的には設定温度は22℃前後が大多数の快適ゾーンになると思われる)

『設定温度低め』+『床下からの熱ロス低減』

これはかなりの暖房費低減が見込めそうです^ ^

 

 

 


※「1階温度」は実際はもう少し高め(17~19℃程と推測)。
(窓からの冷気流が当たる位置に置いてしまった△(僕が))

注目すべきは『床下エアコン方式に比べて、床下室温が低いこと。』

 

【床下ファン冷暖】空調について................

・2階リビング専用の空調方式。

・1階、2階に壁掛けエアコンを設置。
(床下エアコンは非採用)

・1階床付近に『床下ファン』を設置し、1階の冷暖房空気を床下に送る。
(イメージ:1階の暖房の50~70%を1階へ+30~50%を床下へ送る)
(2階リビングの場合、1階を暖める必要性が減るため)

これらにより、床下を暖める熱量を抑える。
(1階床温を適温に暖めながら)
→熱量を抑えることで基礎床からの伝熱ロスも低減する。

『暖房費低減(→CO2低減)を意図したエスネルデザインオリジナルの空調設計です。

 

 

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それでは『床下』のサーモ計測結果を^ ^

 


【床下】................

床下床(ファン近)(スポット1):17.0℃
床下床(ファン遠)(スポット2):15.5℃
床下壁(スポット3):16.7℃
床下天井(1階床裏)(スポット4):17.8℃

・床下エアコン方式でないので床下はそこまで暖まっていない。(暖房を抑制)
 床下室温は約16℃。

体感した感想「暖かくはないが寒すぎもしない。たまに出入りする分には全く問題なし。」

 

【「床下エアコン」の中野のエスネルと比較】


【中野のエスネル床下】................

・床下表面温度は29~32℃。床下室温は約30℃。

それぞれ全く異なる空調方式であることが分かる。

 

【秘訣】真冬の超高断熱『サーモ計測』暖かく温度差のない快適空間の実現。 - 住宅設計エスネルデザイン

 

 


【床下(床下ファン吹き出し口)】................

床下床(ファン近)(スポット1):15.3℃
床下床(合板上)(スポット2):17.8℃
床下壁(吹き出し口下)(スポット3):19.2℃

・床下ファン吹き出し口近傍であってもそこまで高い温度になっていないことが分かる。
(1階壁掛けエアコンの暖気の一部を間接的に送っているため)

 

【「床下エアコン」の中野のエスネルと比較】


【中野のエスネル床下】................

・床下エアコン吹き出し口近傍は高い温度になる。
(スリットの大きさにもよる)

外気との温度差が大きくなるため単位面積当たりの熱ロスは1階よりも大きくなる。

(基礎が低い・基礎立ち上がりが多いなどで暖気の循環が上手く回っていない場合はなおさら)

また、基礎の壁からだけでなく「基礎の床」からコンクリートを伝って熱が外へ逃げることも起こる。

 

※「床下エアコン付近の基礎床に断熱材を追加」すると熱ロスを低減できる。

先日、中野のエスネルで追加断熱工事を行った。


【中野のエスネル床下断熱ビフォー】

 


宮崎さん、ありがとうございました^ ^

 


【アフター!】これで来冬の暖房費は今冬より低減されるだろう。

 

 

................

地蔵のエスネルに戻ります。

 


【基礎立ち上がり(床下ファン吹き出し口真裏)】................

下部(スポット1):0.6℃
中部(スポット2):0.6℃
上部(スポット3):0.8℃

・温度差ほぼなし。
 →基礎床からの伝熱ロスが抑えられている(ほぼない)ことが分かる。

 

【「床下エアコン」の網川原のエスネルと比較】


【網川原のエスネル基礎(床下エアコン真裏)】................
(外気温:4℃程)
(基礎床にクッションフロア敷きなし)

・基礎最下部(スポット1)から伝熱ロスがあることが分かる。
 (基礎床から熱が伝わってきている)

※現在、床下エアコン採用の場合『基礎床へクッションフロア敷き』+『基礎床断熱強化』を行い、伝熱ロスを抑えている。

 

 

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1階へ。

 


【廊下(壁掛けエアコン・床下ファンあり)】................

1階床(スポット1):21.0℃
1階壁(スポット2):22.2℃
1階天井(スポット3):22.5℃

・床も壁天井も快適範囲→問題なし
(気流感あり)

・床~天井の上下温度差が小さい。
→『高断熱+連続空調+床下ファン』による効果。

 


【1階子供室(壁掛けエアコン隣)】................

1階床(スポット1):19.8℃
1階壁(スポット2):20.5℃
1階天井(スポット3):21.2℃

・床も壁天井も快適範囲→問題なし

・エアコンのある廊下から個室に暖気を送る『循環ファン』により個室に暖房機器がなくともここまでの室温を実現できる。
(戸を開けておくだけでも室は暖まる)

・個室にエアコンがないため気流感は少ない。
(循環ファンの風量はエアコンほど大きくなく気流感は少なめ)

 


「S邸リノベーション」より。

エスネルデザインの空調設計は「空調」と「換気」を一体に考えたもの。

詳細は下記の記事をご参照ください↓

 

【快適性】なんのための超高断熱?「家中暖かく快適に暮らすため。」【全館空調のススメ】 - 住宅設計エスネルデザイン

 

 


【1階寝室(壁掛けエアコン隣)】................

1階床(スポット1):17.8℃
1階壁(スポット2):18.0℃
1階天井(スポット3):17.5℃

・子供室とほぼ同条件だが、室温が低かった。
(原因不明。サーモ機器の誤差の可能性あり)
(ただし、上下温度差は小さい→〇)

とは言えM様は「この室温で快適です。」と。

(もし暖かさが必要であればエアコン温度を上げれば解決する→問題なし)

 

【「床下エアコン」採用の中野のエスネルと比較】


【中野のエスネルリビング】................

・1階床温(スポット1):25.6℃

『1階床が暖かい』ことが床下エアコン方式の利点。

足元が暖かいのはとても快適。

また『気流感がほぼない』のも床下エアコンの大きな利点。

 

 

まとめると

【床下エアコン(1階リビング用)】................

〇1階床温が暖まる(温度調節も容易)

〇気流感がほぼない(乾燥感も低減)

〇暖気を1階全体に配れる
(高基礎、エアコン位置、スリット位置による)

・暖房費はかかる。

 

【床下ファン冷暖(2階リビング用)】................

・1階床温はそこそこ(2階床は暖まる)

・エアコン近くは気流感あり

〇暖房費を抑えられる。
(28坪程で床下エアコンと比べ月1000~2000円程安くなるかと推測。ケースバイケース)

 

なにを優先するかで、ベストな空調方式は異なる。

(改めて「床下エアコン」のパフォーマンスの高さを感じた)

(2階リビングの場合、冬期の日射熱を得やすいことも考慮。※ケースバイケース)

 

床下ファン冷暖は進化の途中。

現在設計中の床下ファン冷暖では、エアコンを気流の感じにくい場所に設置し『エアコン1台で冷暖房』+『階循環ファン』の空調設計を進めている。
(エアコンは計台設置。※サブ・バックアップ)

僕の自邸は『2階リビング+床下ファン冷暖(階循環ファン)』を採用する予定。

方向性としては『暖房費(CO2)低減を優先』したい。

 

 

................

空調は奥が深い。

「快適性」「経済性」「操作性」「メンテナンス性」「環境負荷低減」などのバランスをどう取るか。

今後も検討は続いていきます。

 

(2階の計測結果は次回に続きます。)

 

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

 

 

 

【続き】................

 

【サーモ】真冬の超高断熱『2階リビング。乾太くんからの逆流』case.地蔵のエスネル - 住宅設計エスネルデザイン

 

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