【秘訣】『リノベーション検討の注意点。』メリットとデメリット。-長く安全快適経済的に暮らすために-

【失敗しない家づくり】の秘訣

こんにちは^ ^

近年物価上昇と共にリノベーションを検討される方が増えてきています。

リノベーションはどのような注意点があるのか。

どのような場合に有効でどのような場合に有効ではないのか。

リノベーションの注意点をまとめたいと思います。

 

 

 

先日友人から

「リノベーションってどうなの?」

「新築より安くできるの?」

と聞かれました。

僕は

「慎重に考えた方が良いよ。」
(安易に手を出さないほうが良いよ)

と答えました。

その理由をまとめたいと思います。

 

 

 

 

最初に結論から。

・リノベーションは玄人向き。

・専門的な知識や工事や理解が必要になる。

・リノベーションが有効となるケースは多くない。

・なので慎重に検討を行う必要がある。

ということ。

※この記事は
「安易にリノベーションを行い将来後悔しないように」
「リノベーションを行うならこの点に要注意」
という意図で書いています。

※リノベーションを否定する意図はありません。
注意点への理解、適切な設計施工が叶えばリノベーションは好ましい選択になり得ます。

 

 

 

 

近年リノベーションを検討される方が増えてきています。

物価上昇と共に

「リノベーションの方が安く出来るだろう。」
(少しでもイニシャルコストを抑えたい)

というニーズのためと思います。

確かにリノベーションは新築よりもイニシャルコストを抑えることが出来ます。

ただしトータルコストは安くなるのでしょうか。

デメリットはないのでしょうか。

その点を慎重に確認する必要があります。

 

 

 

 

【リノベーションの注意点】

〇リノベーションに適した中古物件が少ない。
(築年数、間取り、形状、構造、、)
(半端にリフォームされていて割高など)

〇新築並みの耐震性、断熱性、気密性、換気空調設計、結露防止、住設、内外装を求める場合、結局フルリノベーションすることになる。
(新築を建てる場合の7〜8割の費用がかかる)
(新築と同様に時間がかかる)

〇それだけ費用をかけたとしても
・間取りの制約あり
・地盤補強はされない
・耐震性は新築同等(等級3)にはしにくい
・基礎や屋根は昔のまま
など片手落ちな点がある。
(新築より安く出来る分それなりになる)
(基礎や屋根を直す場合支出は新築に近づく)
(間取りを変更する場合追加基礎工事が必要)

〇地盤や耐震性向上に限界があるため被災時に損傷するリスクがある(新築と比べて)。
(地盤補強は難しい)
(基礎に強度がないと木造部分を強くしにくい(強くすると基礎が壊れるリスクが高まる))

〇被災時に家が損傷した場合、断熱気密性が破壊されるリスクあり。

〇建物取得費とリノベのための解体費を要考慮。
(コストパフォーマンス検討)

〇将来売ることを想定してトータルコストパフォーマンスを検討する必要あり。
(リノベした家は将来いくらで売れるのか)

〇壁を壊してみないと分からないがことが多い。
(買って壊すまで工事コストが不透明)
(事前調査で全てを把握することは難しい)

〇リノベ工事の難易度は新築より高い。
(専門的な判断、経験が必要)
(熟練度の差による施工精度のバラツキリスク)

〇太陽光パネルを乗せられるかは屋根に依る。
(向き、屋根種類、防水仕様)

〇「今ある家(実家等)がもったいないから」「古い家の雰囲気が好きだから」等でリノベーションを安易に選択しないこと。
(トータルコスト、快適性、耐災害性など多角的に慎重に検討を行うこと)

 

 

 

 

【リノベーションは安く済むのか】

将来家を売る場合の比較(概算。売値は想像)
(フルリノベーションを想定)

〈新築〉
工事費3300万-売値1800万(土地+家)
=支出1500万

〈リノベ〉
工事費2500万+解体費200万-売値800万(土地)
=支出1900万

※リノベした家が売れない(更地にするしかない)場合、新築より支出が大きくなる可能性あり
※冷暖房費や医療費の差、快適性等も考慮するとより差は広がる。
※災害により家が損傷した場合より差は広がる。
※家の損傷だけでなく地盤の損傷リスクも考慮(沈下、液状化)
※建物付き土地の取得が割安か割高かにもよる。
築浅の建物であれば建物価格も乗る、建物価格が乗らない程古いのであればリノベコストは増える。

→将来家が売れる価値があるかどうかがコスト検討時に重要。

 

※耐震、断熱、気密、壁内結露防止など様々な観点を考慮すると壁はゼロからやり直すしかない。
(「外はそのまま+内側から断熱」などは上記のうちなにかが破綻しかねない)
(半端なことをすると壁内結露リスクが高まる。壁内結露は構造の腐朽につながるため致命傷)
→断熱性や耐震性を得たいのであればフルリノベーションするしかない
→新築同様にコストがかかる。

※新築の耐震性(耐震等級3)とリノベーションの耐震補強(評点)はレベルが異なる点に注意。
(耐震補強の評点1.0~1.5は「一応倒壊しない」レベル)
(構造を強くしても基礎や地盤が耐えられるかは不明)

 

 

 

 

【リノベーションが有効なケース】

〇その家に思い入れがある。
(コスパ以上の価値がある。実家など)

〇リノベーションに向いた中古住宅を購入できる。
(地盤、基礎、屋根が健全で壁や床だけの工事で済む)
(築浅、新築時の施工に信頼性が高い)
(図面や証明等が残っている)

〇間取りをほぼ変えなくて良い。
(柱や壁、基礎の変更が少なくて済む)

〇新築並みにコストがかかっても良い。
(経済的観点からリノベを選ぶわけではない)

〇暖かさ涼しさはほどほどでも良い。
(自然を感じる暮らしが望み)

〇家を将来売ることは想定していない。
(高齢で自分たちが住み切れれば十分)

など。

その上で

〇信頼できる設計士や工務店と出会える。
(耐震診断、UA値計算、長期優良認定取得などが可能。高性能リノベの実績あり)

等が叶うならリノベーションは有効な選択肢となるかもしれません。

 

 

 

 

僕は「リノベーションはやめて新築を建てましょう」と言いたいわけではありません。

新築にもリスクはあります。

コストもかかります。

では極力「住にかけるコストを抑えたい」場合、どういう選択が有効なのか。

それは『そのまま住める中古住宅を買う』ことです。
(工事をせずそのまま住む)

耐震性や断熱性を持った築浅の中古住宅を買う。
(2000年以降に建ったものだと好ましい)

そして被災リスクは地震保険等でカバーする。

支出を抑えたい場合、上記の選択はコストパフォーマンスは高いかと思います。

(耐震、断熱気密、換気の効き等は新築に比べると十分ではない=ある程度の我慢は必要になる)

 

 

 

 

リノベーションを否定する意図はありません。

ただ満足できる暮らしを叶えるための工事をしようとすると
・安くは済まない。
・トータルコストパフォーマンスは高くない場合が少なくない。

またイニシャルコストだけでなく

災害、エネルギーコスト上昇、将来の売却、快適性、経済性以外の価値(新居で叶えたいこと、家族の幸せ)、、、

などトータルで検討する必要もあります。

(僕は今住んでいる相方の実家のリノベーションを数年考えましたが、上記の点や新築への想いを考慮して新築を建てることを選びました)

 

 

................

リノベーションが有効かどうかはケースバイケースです。

良いリノベーションもあり得ます。

ポイントはリノベーションを選択する前に『注意点を把握しておくこと』。

長期的に幸せな暮らしを叶えるために。

新築、リノベーション、中古住宅、マンション、賃貸、、、

自分たちはなにを叶えたいのか。

人生の幸せとは。

答えは人の数だけあるのだと思います。

ご検討の参考になれば幸いです。

 

 

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

 

 

 

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