【秘訣】『冷房設計の要点。』リターン経路の必要性。結露リスク。入れ替え。-冷房設計の難しさ-

【冷暖房・空調・換気】の秘訣

ゆうです^ ^

エスネルデザインでは『シンプルな空調設計』を意識しています。

経済性、メンテナンス性、不具合リスク低減など理由は様々ありますが

一番の理由は『健康被害につながらないように』。

特に冷房設計は簡単ではありません。

その理由をまとめました。

 

 

 

近年、住宅の高断熱化に伴い全館空調が一般化してきました。

それに伴い、複雑な冷暖房方式を見かけるようになりました。

暖房は「拡散力が高いこと」「結露が起こらないこと」「人や家電は熱源としてプラスに働くこと」等から比較的設計が容易です。

しかし問題は『冷房』。

冷房は上記の逆のことが起こります。

だから冷房設計は難しい。

『冷房設計の要点』をまとめました。

 

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【冷房設計の要点】................

要点その1『冷気は重い→拡散しにくい。』

冷気は重いため暖房と異なり拡散しにくい。
(冷たい=エネルギーが小さい=動きが鈍い)
→冷気は遠くへ運びにくい。

そのため

『エアコンの適当な配置(人とエアコンの距離)。』

『届きにくい場所にはファンで冷気を運ぶ。』

などの検討が必要になる。

 

個室壁に設置された『循環ファン』は冷気を運ぶだけでなくその気流によって扇風機的な効果も発揮する。
(肌を覆う汗を風で飛ばすことで涼を得る)

 

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................

要点その2『人が熱負荷となる(温度も湿気も)。』

人は発熱、放湿している。

それらは冷房負荷になる。

今回一番伝えたい点がこれ。

『人から発生した温度(顕熱)と湿気(潜熱)を除去する経路が用意されているか。』

この点が冷房設計における肝。

これが満たされていない建築的冷房システムを見かけることがある。
(「冷気を運ぶ」のみで「熱気をエアコンに入れる」が不十分)

冷房設計はこの2つの経路が重要。

エアコンを基点に『冷気と熱気を循環させる。』ということ。

『熱気のリターン経路を確保する』ということ。

 


〈冷房設計概念図〉

①=エアコンから冷気を運ぶ経路(サプライ)。
②=熱気をエアコンに入れる経路(リターン)。

①よりも②の方が肝心。

『熱(温度と湿気)をエアコンに入れて冷房と除湿を行う』こと。

(冷房室などを設ける設計の場合はこの点に注意)
(②があるか。①と②が循環しているか)

①と②を満たすエアコン設置位置とは。

具体的には『冷房用エアコンの設置位置は人にエアコンの風が届く範囲内に設置』すれば良い。
(ケースバイケース)

「仕切り壁がなく連続した一室ならエアコン位置は遠くても良い?」は要検討。

連続した一室であっても距離が遠すぎたり凹凸のある間取りだったりすると、冷風が届かない場所は「熱だまり」となることがある。

『冷気は拡散しにくい』

この点を意識した冷房設計が重要。

(熱だまりにはサーキュレーター等で空気を循環させることが効果的)

 

また、冷房用エアコンは吹抜け上など上方に設置できると良い。

熱気は軽いため上がっていく。

それをエアコンに入れ、冷たく重い冷気を降下させる。
(①と②の循環)

 


(同じ画像を再掲載)

 

リビングはそれで良い。

個室の冷房設計は要注意。
(個室にエアコンを設置しない場合)

「①冷気を運ぶ経路」は循環ファンが担うが「②熱気をエアコンに入れる経路」をどう設けるか。

②の経路を得る具体的な方法としては

・戸の隙間を利用(アウトセット引戸)。
・戸を開ける(必要量)。
・循環ファンの風量を上げる。

等を考えている。

※網川原のエスネルのK様から
「真夏の就寝時は戸を閉めると暑い(循環ファンでは足りない)」
「戸を開ければ問題ない(涼しい)」
と伺っている。
(約7帖に3人で就寝。ホール冷房ON、循環ファン70㎥/h、排気扇35㎥/h)

戸を閉めると暑くなるのは熱(温度、湿気)がこもるから。
(1時間に1回以上空気が入れ替わる風量の排気扇があったとしても)
(アウトセット引戸の隙間があったとしても)
(代謝や発汗の多いお子様が同室な点、暑い寒いは個人差がある点も要考慮)

上記を踏まえて現在の設計は「循環ファン180㎥/h」「排気扇41㎥/h」のものに変更している。

(真夏の大人数での就寝は戸を少し開けて寝られることを推奨)

 

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................

要点その3『エアコン内部で結露が起こる(結露水漏れリスク、カビリスク)。』

エアコンの冷房は「エアコン内の冷えた冷媒管に空気を当てることで空気を冷やす」という仕組み。

冷媒管に空気を当てる際に「結露(除湿)」が起こる。

通常は結露した水は排水管(ドレン管)から外へ排出される。

しかし稀にそのドレン管が詰まることがある。
(ドレン管内に出来たカビ等により)

そうなると結露水はエアコンの吹出口から漏れ出す。

『そうなった際に気付ける位置にエアコンが設置されていること』が重要ということ。

一般の方からすれば「エアコンが見える位置に付いているのは当たり前でしょ」と思われるかもしれませんが、現在様々な冷房方式が考えられていてその中には冷房用エアコンが生活空間からは見えない位置に設置されているものもある。

そういう冷房設計は注意が必要ということ。
(ドレン管が詰まった際の対応を用意しているか)

こういったことがあるため「床下エアコンの冷房運用」は推奨していない。
(冷気は上がってこない。床が冷えると不快などの理由もあり)

 

また『冷房用エアコンはカビる。』

これは皆様ご存知だと思いますが、冷房用エアコンの吹出口から内部を見るとカビが発生していることが多々。
(我が家も)

そしてこのカビはエアコンを解体しないと取り切れない。
(このカビによる健康被害の程度は不明)

また「冷房用エアコンの不具合(冷媒漏れ)が増えてきた」という話もよく聞くようになってきた。

そう考えると『冷房用エアコンは数年で交換する』のが健康上も精神衛生上も良いのかもしれない。

数年で交換することを考えると

『冷房用エアコンは入れ替えがしやすい場所に設置する』ことが好ましい。

(『エアコンのフィルター掃除がしやすい位置』であることも大切)

 


網川原のエスネルより。

 

 

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................

今回の話をまとめると

『冷房は単純に計画すること。』

ということ。

色々と工夫するのも良いが、リターンの裏側のリスクもしっかりと想像することが大切。

特にそれが健康被害につながる可能性があるのであればなおさら。

設計における「シンプルさ」とは

素直な設計を心掛けていきたい。

 

 

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

 

 

 

 

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