エッセイ。「豊かさの最後の砦。」便利と幸福の相関関係。

エッセイ

人はどんなときに、なにに、幸せを感じるのだろうか。

「幸せってなに?」

旅に出たときから、このテーマは僕のライフワークになっている。

便利さと幸福度は比例するのだろうか。

むしろ、反比例するのかもしれない。

「人間の幸せ」に対して、家が出来ることはなんだろうか。

 

近年、自動化・デジタル化・バーチャル化が進み、なんでも楽になった。

製品の製造の合理化もどんどん進んでいる。

クラウドやSNSなどにより、仕事もしやすくなった。

買い物もネットでポチ。

家電ロボットにも助けられている。

共働きが当たり前の今の時代、本当にありがたい。

 

ただその反面、感受性が少しずつ鈍くなってきてはいないだろうか。

幸福感や感謝する心のアンテナの感度が下がってきてはいないだろうか。

正直、その自覚がある。

10年前、20年前から比べると飛躍的に便利になった。

では、人間は

10年前、20年前から飛躍的に幸せになったのだろうか?

 

もしかすると、便利になる反面、幸福度は下がっているのかもしれない。

だとするとそれは

「人へ感謝する機会」

が減っているからではないだろうか。

買い物も

「ただ買ったもの」

「製造工程を見学して、職人さんがどれだけ手間隙をかけて作ったのかを体感して買ったもの」

「作り手、売り手とふれあいがあった上で買ったもの」

では、同じものであっても、満足感・幸福感は違ってくる。

そう考えると、これからの時代、

「人の手仕事を感じられること。」

が「豊かさの最後の砦」になるのかもしれない。

これからの幸せの秘訣は、

「どれだけ人に感謝できるか。」

なのかもしれない。

「人に感謝できること。」

これって簡単そうで意外とかなり難しい。

忙しくなると相手への感謝を忘れがち。

逆説的だけど、

「素直に感謝出来る人」はきっと今、幸せなんだろう。

それは人だけでなく、ものに対しても、自然に対しても。

 

もちろん、買うもの全てを手仕事のものすれば良いということではない。

大変だし、お金も足りない。

そしてそれは、自分の幸福感のためであって、誰かのためでもない。

「手仕事で嬉しいもの。」

家であれば、エスネルデザイン的には、

「造作手摺」をお勧めしている。

手摺は毎日握るもの。

「握手」するように握れる手摺をお勧めしている。

 

また、

「板張りの外壁」もお勧め。

毎日見るもので、天候や時間による変化を愉しめること。

また、杉板外壁はすぐには張り終わらない。

1枚1枚張っていく杉板外壁は、施工にとても時間がかかる。

時間がかかるからこそ、工事中に現場を通るとき、その変化を感じることが出来る。

職人さんが張ってくれていることを、言葉はなくても感じることが出来る。

 

また、

「職人さんの手仕事による表札」

もお勧め。

表札は家の顔。

自分たちの「名前」が刻まれるもの。

表札の設置はまさに画竜点睛。

新築完成の最後の仕上げは、想いのこもった手仕事のもので。

 

「手摺」

「外壁」

「表札」

それらは、住まい手に近いものたち。

毎日、触る、見る、変化を愉しむもの。

時には来客の方にも。

それらは見えない「おもてなしの心」。

言葉はなくとも、無意識レベルで感じる「想い」は伝わると思っている。

玄関ハンドルに巻いた革製のカバー。
(網川原のエスネル)

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便利な時代。

ただ、便利さを享受しているだけでは、幸福感は減っていくんだろう。

家は建てて終わりではない。

住みながら幸せを感じて頂ける心のこもった家を提案していきたい。

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

 

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村松 悠一 一級建築士
エスネルデザイン代表

新潟の気候に合った「暖かい小さな家(エスネル)」を提案している。

趣味:家族旅行・カフェ巡り・夕日ドライブ・息子と娘と遊ぶこと♪

 
 

 

 
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