【サーモ】夏の日射遮蔽検討『直射を床に当てない=二次放射を防ぐ。』カーテン類の日射遮蔽効果の確認。

【日射遮蔽・日射取得】の秘訣

こんにちは^ ^

夏(春-夏-秋)が年々暑くなってきていますね。

『夏の快適性-日射遮蔽の効果』についてより慎重に設計を行いたいと考えています。

夏の日射熱を抑え快適に過ごす秘訣。

それは

直射を床やカウンターなど室内に当てないこと。
=当たった面が二次放射(ヒーター化)することを防ぐこと。

また、カーテン類の日射遮蔽効果について。

サーモグラフィ測定と共に紹介します。

 

 

 

夏の日射遮蔽検討のためある住宅のサーモグラフィ測定を行いました。

その結果やサーモグラフィを見る時の注意点は下の記事をご覧ください^ ^

 

【サーモ】夏の日射遮蔽検討『アウターシェード有無、ハニカム-レース-無しの温度差と暑さ体感。』 - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

上の記事で下の写真を紹介しました。


【床(日向-日陰)】
日向床(Sp1):37.3
日陰床(Sp2):30.9℃

この画像に『夏、室内を暑くさせない秘訣』が詰まっている。

直射を床に当てていると床がヒーター化するということ。
(床に蓄えられた日射熱が二次放射される)
(パネルヒーターのような放射式暖房)
→熱源が窓と床の2倍になる!

これが窓辺が暑く感じる大きな理由。

直射が窓に当たることは窓から熱が侵入するだけでなく「室内に二次放射熱源を作ってしまう」ということ。

また床は蓄熱しやすいため注意が必要。

直射が当たらなくなった後も熱を貯めた床からジワジワと熱を放出し続けることになる。

〈ある方の感想〉................
(日中カーテンなしで暮らされている。窓に直射が当たる)
「夏、窓辺のテーブル付近が暑くて不快。」
「直射が終わった午後でも蓄熱したテーブルから熱を感じて暑い。」

→直射をテーブルに当てないこと(蓄熱させないこと)がポイントとなる。

ではどうすれば良いのか。

それは

カーテン類で直射を遮り床やテーブル等に直射を当てない(蓄熱させない)こと。

当たり前と言えば当たり前の方法です(^_^;)

その効果は以前の実験の記事をご覧ください↓

 

【秘訣】夏の日射熱調査④「ロールスクリーン有り無しによる室温差の比較。」 - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

ではどういった日射遮蔽が効果的なのか。
(カーテンの種類、設置位置)

窓の外側での日射遮蔽はマストなのか。
(アウターシェード、すだれ等)

窓の内側での日射遮蔽の効果はどれほどなのか。
(カーテン、ブラインド等)

 

いくつか例を紹介します。

先日、事務所で直射ありなし部分のサーモ測定を行いました。


僕の事務所の窓辺。
窓は南向き。単板ガラス。
(窓辺ソファから外を見て佇むのがとても心地良い)


午前は直射は当たらないが昼になると日が入り出す。


2024.9.4。新潟県三条市。最高気温31℃、晴れ。
エアコン冷房により室温28℃程(湿度50%程のため涼しく快適)。

 

〈9:00(直射なし)〉................

カウンター(日陰。Sp1):27.7℃
ソファ(日陰。Sp2):26.7℃

概ね室温と同様。

 

〈12:00(直射あり)〉................

カウンター(日向。Sp1):41.7℃
ソファ(日向。Sp2):45.0℃
カウンター(日陰。Sp5):30.3℃

・カウンターやソファは日向になり約14~18℃上昇!

・カウンター日向はカウンター日陰に比べて約11℃高温。

窓辺に寄ると窓とカウンターやソファ両方からの放射熱を感じてとても暑く不快。

反対に、カーテンにより直射が当たっていないカウンター付近は放射熱を感じる量は少ない。

このサーモ結果からも
・直射が当たっている部分から二次放射がある
・直射を当てないことが放射熱抑制に効果的である
ことが分かる。

また
・透過性のあるカーテン(室内側設置)で遮るだけでもカウンターの温度上昇抑制に効果がある
ことも分かる。

 

カーテンを閉めて1時間置く。

 

〈13:15(直射あり、カーテンによる遮蔽あり)〉................

カウンター(日向だった部分。Sp1):28.4℃
ソファ(日向だった部分。Sp2):28.9℃

・カウンターやソファはカーテンによる日射遮蔽により約13~16℃低下。
概ね室温同様に戻った。
(ソファやカウンター(下部開放)の蓄熱性は高くないと思われる。※住宅の床の蓄熱性は別)

このサーモ結果からも「透過性のあるカーテン(室内側設置)で遮るだけでも内部の表面温度上昇抑制に効果がある」ことが分かる。

 

先日の測定より〉................

【左窓(外:なし/内:レース)】
【右窓(外:アウターシェード/内:レース)】

アウターシェードの有無で表面温度差あり(1.5~2℃程)。

しかし、床-天井などの周囲の温度差はほぼなし。

→レースが直射を遮り床等に熱が蓄えられることを防いでいる。

(窓近くは左窓の方が放射熱を感じて暑いが1m以上離れると両者の暑さはほぼ変わらない)

 

〈長倉サーモ測定より〉................


南窓(Sp1。直射あり):28.6℃

南窓は直射が当たっているが温度はそこまで高くない。
窓付近のソファに座っても不快さはない(暑さはあまり感じない)。
(ブラインドの羽は水平だが直射は羽が受け室内に直射は当たっていない)

透過性のあるブラインドでも直射の当たる窓からの放射熱を遮る効果があることが分かる。

 

【サーモ】真夏の超高断熱『日向窓と日陰窓、ウッドブラインドとロールスクリーンの温度差。』case.長倉 - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

【まとめ】................

■直射が床やカウンター等に当たるとそこに熱が蓄えられそこからの二次放射により暑く感じる。

■解決策としては直射を床やカウンター等に当てないこと(人にも当てないこと)。
=床等がヒーター化することを防ぐ。

■窓の内側での日射遮蔽(カーテン類)でも床等の表面温度上昇を概ね抑えられる。
(日射量が多い西日はまた別途検討必要)

〈補足〉
・レース等の薄いものであっても「直射を受ける=自身が熱を吸収する=その背後の床等はレースが熱を吸収した分受ける熱が減る」。
・カーテン類は蓄熱性が低いためすぐに熱を放出する→空気温が上がる→空気温はエアコンで冷やすことが容易。
反対に「床等が熱された場合、蓄熱し放射が続く。」「空気温はエアコンで冷やせる(空気を直接エアコンに入れられる)が床は冷やしにくい(エアコンに直接いれられない)」

遮蔽物(カーテン類)は
〇日射熱の侵入量を抑える。
(日射熱を一部反射する)

〇ガラス面からの放射熱を遮る。
(放射熱を反射-吸収しその残りを放射する)
→窓辺の快適性に寄与する

〇直射が床等に当たり熱を吸収した床から二次放射されることを防ぐ。

 

日射遮蔽は内より外で行った方が効果は高い(アウターシェード等)、がコスト(費用-手間)がかかる。

内側での遮蔽(カーテン類)で済めば労が少なく楽に暮らせる。

また日射遮蔽設計はカーテン類検討の前に
「屋根や庇による手間のない日射遮蔽」「過度に窓を設けない」ことが基本となる。

 

 

 

 

家族が笑顔で楽に暮らせる家を。

『安心-快適-健康(=高性能)』をベースとしつつ

『心地良い居場所』『安らげる暮らし』『労の少ない暮らし』を叶えたい。

夏の日射遮蔽について

今後も検討を深めていきたいと思っています。

 

 

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

 

 

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