【秘訣】夏の日射遮蔽『アウターシェード要不要。』手間-効果-コストの包括検討。-労の少ない暮らし-

【日射遮蔽・日射取得】の秘訣

こんにちは^ ^

現在、日射遮蔽(夏)と日射取得(冬)のバランスの検討を進めています。

夏の窓から入る直射熱の不快感を抑えたい。

アウターシェードの要不要検討。

手間-効果-コスト、適する場合とそうでない場合についてまとめました。

『労の少ない暮らしを叶えたい』という思いがあります。

 

 

 

アウターシェード要不要の検討は非常に複雑です(^_^;)

それは
・効果(暑さ低減)
・コスト(設置費、交換費、冷房費低減)
・手間(上げ下げ、風対策)
・窓設計(操作のための窓選定)
・窓の方位(東西南、)
・外の見え方(眺望、抜け感、広さ感)
・屋根庇のありなし(影が窓を覆うか)
・冷房設計
(冷房が効きやすい室かどうか)
、、、

など検討因子が多岐に渡るから。

また、今後夏(春-夏-秋)が暑くなることも見越した設計が求められます。

 

 


僕の自邸、森のエスネル。
8/25 15:00の日射シミュレーション。
(左面:北西。右面:南西)

屋根の出は最大限出している(1m)が午後から日射が入り込む。


窓設計(サイズ、位置)やアウターシェードの採用不採用について最後まで悩んだ。
(眺望を得るため西に開きたかったため)

窓設計検討の過程はこちら↓

 

【自邸-11】『外観-窓設計。』内外の見え方、デザイン、日射遮蔽。-開くと閉じるのバランス- - 住宅設計エスネルデザイン

 

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アウターシェードについて検討ポイントをまとめました^ ^

 

【効果について】................

アウターシェードにより直射の当たる窓付近の快適性は向上する。

概ね窓から1m程の場所までアウターシェードありなしによる暑さの差を感じた。
(放射熱は距離の2乗に反比例して減衰)

夏の日射を遮るのにアウターシェードはあるに越したことはない。

 

【サーモ】夏の日射遮蔽検討『アウターシェード有無、ハニカム-レース-無しの温度差と暑さ体感。』 - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

ただし、内部日射遮蔽(カーテン類)でも窓辺の居心地(=放射熱低減)はある程度叶えることは出来る↓

 

【サーモ】真夏の超高断熱『日向窓と日陰窓、ウッドブラインドとロールスクリーンの温度差。』case.長倉 - 住宅設計エスネルデザイン

 

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【コストについて】................

アウターシェードは窓1か所で4-7万円程。
(サイズやオプションによる)

複数の窓に設けるとなるとそこそこの金額になる。

しかし、冷房費低減効果はそこまで高くはない。
(概ね年間数千円減程度。ケースバイケース)
・直射が当たる時間はそこまで長くない。
・アウターシェードがなくともガラスによる日射熱反射、内部カーテン類による反射あり。
・冷房エアコンの効率が高い。
・日射による冷房負荷は冷房負荷全体の一部(他に人-家電発熱、熱貫流、換気負荷等あり)。

耐久性は不明だが仮に10年で交換するとしてもコスト回収は出来ない。

→アウターシェードは「窓辺の快適性向上(放射熱低減)」のためのものであって冷房費を抑えるものではない。

という認識が正確だと考えている。

 

 

 

【秘訣】夏の日射遮蔽『アウターシェード有無の冷房費比較』西日の特性と注意点。-欠点を抑え利点を伸ばす設計- - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

【手間について】................

夏は常に下げっ放しであれば手間は少ない。

ただし、強風時(台風含む)にシェードが外れて外れたシェードが窓や壁に当たり諸々破損しないよう気を使う必要あり。

標準の固定フックは風で外れやすい。

改善策としてフックでなく固定金具(カラビナ)を使うことが有効。

ただし固定金具の場合、基本的には「外からの固定」が必要になるため、2階など高い場所の窓には不向き。

フック固定の場合、風が気になる日は常に上げ下げするか

不在時に風で外れることも心配なため諸々気を使うところ。

 


メーカー純正の固定フック。
ボトムバーをフックにかけるだけなので簡単に固定できるがその分外れやすい。
(カチッとしっかり固定されるよう改善されることに期待)

 


オプションの固定金具(カラビナ)。
これであれば風で外れることはない。
ただし外からの固定が必要になる(室内からも出来るかもしれないが大変だと想像)。

 


シェードを下げるためのコード(赤丸)が風で煽られて窓ガラスをたたくこともある。
アウターシェードを使いこなすTさんは↑のように「コードを固定する改造」を行っていた(とても有効)。
(長さ調整のためコードも交換。ここまで出来るかが採用不採用のポイントとなる)

 

 

またアウターシェードの手間について「冬の日射取得を重視した窓が多い設計」の場合、中間期(春秋)もアウターシェードを活用(上げ下げ)することが求められる。

「毎日の上げ下げ(下げるか考えることも含めて)がとても手間です」とY様から伺い非常に共感した。

詳細は↓をご覧ください。

 

【秘訣】パッシブ設計『過度な日射熱取得の弊害。』オーバーヒートとシェード手間を解消したい-Y様の声- - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

【窓設計、屋根庇について】................

基本的には『屋根や庇による日射遮蔽』をまず考えたい。
(上げ下げ手間なし、交換手間なし)
(屋根による日射遮蔽が難しい東西面は別途検討必要)

そして『窓は必定以上に設けないこと』を基本として設計したい。
(特に高さ方向(日射が下部に当たらないよう))
(ケースバイケース。眺望などを優先する場合もあり)

上記は基本。また別の話として

アウターシェードを採用する場合それに適した窓を選定する必要がある。

具体的には窓を開けてシェードを上げ下げするために「引き違い窓」か「内開き窓」を選ぶ必要がある。
(ドレーキップ窓、ツーアクション窓も含む)

上記窓はそれぞれ片手落ちな点がありエスネルでは積極的には採用していない。

引き違い窓は「経年変化で気密性が落ちやすい(気密パッキンがやせる)」。
→熱損失、隙間風、結露△

内開き窓
・サッシ枠が太い(熱損失が他の窓より多い。ガラス面積が少なくなる。見た目がスッキリしない)
・金物が複雑(不具合リスク、将来交換費用負担)
・種類が少ない(メーカーが少ない。バリエーションが少ない)
・他の窓より割高

(上記窓は「窓外面の清掃がしやすい」というメリットあり。※エスネルデザインでは内部からの清掃の手間と危険性回避を考慮し外部からの清掃を提案している)

 

「上記窓のデメリット+アウターシェードを付けるメリット」を総合的に見るとプラスには行かないかというのが現在の感想。

「アウターシェードを付ける(熱負荷やコストを抑える)ために選んだ窓により熱負荷やコストが増える」という事態は避けたい。

 

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【外の見え方について】................

アウターシェードありなしで「眺望、抜け感、広さ感」の違いが生まれる。


見え方の違い:アウターシェードあり/なし。

これについてはアウターシェードの視線透過具合は合格点だと感じている。

内部から見ても圧迫感は少なく、外の景色も割とよく見える。

反対に外から内部はほぼ見えず「目隠し効果」が得られることも利点。

 

※上記は一般の方に対しての話。
僕のような「室内から外の景色を眺めることに喜びを感じる(普通でない)人」にとっては遮蔽物がない方が当然好み。
景色を得ながら抜けによる広さ感も叶えたい。
「窓に直射が当たりにくい設計+アウターシェードなし」で両方の利点を叶えたいと考えている。

 

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【冷房設計について】................

アウターシェードの要不要検討においてここが最重要ポイントになる。

結論、アウターシェードがなくても冷房設計が適切に行われていれば快適性に問題はない。
=窓からの熱がスムーズに入る位置にエアコンがあれば
(そうでないならばアウターシェードによる日射遮蔽の有効性は高まる)

また日射を遮蔽し過ぎず、適度に日射熱を入れると室内の低湿度化が進むという利点もある。

=日射熱(湿気を含まない顕熱)を入れることにより冷房エアコンに負荷を与え除湿を促進させる(=天然の再熱除湿)。

 

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【その他採用時注意点】................

・シェードの巻き上がりが段々弱まる場合あり。
(調整可能。自分で出来るかどうか(場所、難易度))

・シェードに蜘蛛の巣やカビ等が生えることあり。
(周辺環境、雨辺り具合による)
(シーズンオフに清掃できると良い。割り切ってほったらかしもありか)

・アウターシェードは簾より有効。
日射遮蔽率が高い。視線透過率が高い。上げ下げが容易。取り外し不要(手間や設置時の危険なし、収納場所不要)。
※簾は安いため上記が問題なければコストパフォーマンスは良い。
(簾は設置が大変なため採用検討は慎重に)
(ある方の感想「簾が台風で飛んでいって大変だった。もうつけたくない。」)

 

 

 

 

【自邸アウターシェード採用不採用検討まとめ】

僕の自邸のケースを紹介します^ ^

結論
「設計当初はアウターシェード設置を考えていた。しかし諸々検討して設置しないこととした。」

「ただし西面に大きな窓がある。住んでみて必要性を感じたら設置することも想定している(問題なければ設置せずに行きたい)」

 

検討したことを箇条書きします。

■アウターシェードはあればあるに越したことはない。
ただし手間やコストなど諸々△な点もある。

■アウターシェード採用より先に「夏の直射が当たる窓量を抑えること」が重要。
→窓位置、窓サイズ、屋根の出を検討。
→アウターシェードなしで問題ないよう設計をまとめたい。

■窓辺に居場所がありそこで快適に過ごしたいならアウターシェードは有効。
(窓近くにダイニングがある等)
(外遮蔽は窓辺の暑さの低減に有効)
居場所がない(窓から離れている)、または直射時は使用しないならアウターシェードはマストではない。

■アウターシェードは直射が当たりやすい「掃き出し窓(高さ2m等)」に特に有効。
(窓下部への直射は屋根や庇で防ぎにくい)
(自邸は掃き出し窓はないため必要性低)

■アウターシェードは直射が当たりやすい「東西面窓」に特に有効。
(東西の日差しは角度が低く屋根や庇で防ぎにくい)
→自邸は2階西面に大窓あり=アウターシェード有効。
(諸々考慮し、なくとも快適に過ごせると判断)
「東西に見たい景色がない」「外の景色に関心がない」場合、東西の窓は極力抑えることが基本。

■アウターシェードは直射が入りやすい「中間期(春秋)」にも有効。
(春秋の日差しは角度が低く屋根や庇で防ぎにくい)
ただし「冷房ON」によるシンプルな解決も可能(換気量増や窓明けも有効)。

■もし直射を遮りたいなら「内側設置ブラインド全閉」等による日射遮蔽も可能。
(外側での遮蔽はマストではない)

■直射が当たる窓がある室の冷房設計が適切に行われていることが重要。
(熱気がスムーズにエアコンに入るか)
→自邸2階はワンルーム+エアコンあり=熱気の循環問題なし(ある程度日射熱を入れ低湿化を叶えることも考慮)。

■夏、適切に日射遮蔽しつつも外の景色を眺めたい(眺望、広さ感)。
→アウターシェードは有効(主なカーテン類より視線は抜ける)。
(ただし理想的にはシェードがない方が好み。→内側ブラインドを想定)

■アウターシェード採用であれば固定金具で止めたい(フックでは不安)。
(外からの固定が必要→2階リビング+高基礎の自邸では難あり)

■アウターシェードがなくとも「高遮熱トリプルガラス+内カーテン」で日射遮蔽(=快適性確保)は可能。
「アウターシェードなしでも問題なく快適」は複数のエスネルで体験済み。

■個室(容積が小さく暑くなりやすい)にはアウターシェードは有効だが、アウターシェードより個室エアコン採用の方がパフォーマンスは高い。
(庇による直射低減、窓サイズ低減をまず検討することが有効)

■アウターシェードは住んでから必要であれば後付けも出来る。
(新築時にしか付けられないわけではない)
(設置しにくい窓もあるためその検討は必要)

■夏でも雨や曇りの日もある(毎日日射が当たるわけではない)。

■日射が当たる時間は不在の場合も多い。

■自邸で夏の直射が当たるのは14時から17時頃まで(長くはない)。
夕方は日射熱の強さも下がってくる。
→直射熱を恐れすぎないこと。

■日射遮蔽や日射取得よりも眺望や抜けの心地良さを優先したい。

■西窓+遮蔽なし=「夕日や夕焼けが楽しめる」ことも考慮。

■気密性-断熱性-窓周りの綺麗さを考慮しFIX窓を採用したい。
→アウターシェードはつけられないがトータルパフォーマンスはプラスと判断。

■住んでからの面倒ごとを減らしたい(労の少ない暮らしを叶えたい)。
メンテナンスやいずれ交換が必要な物の採用は極力抑えたい。

 

 

 

【アウターシェードが有効なケース】................

・東西向きの窓が多い。
・南窓が掃き出し窓(高さのある窓)で直射がよく当たる。
・アウターシェードの上げ下げが容易、固定金具で外からの固定が可能。
・窓付近に居場所がある(ダイニングなど)。
・冷房の循環がスムーズでない(エアコンが遠い)。
・日中、内側カーテン類を閉めない生活スタイル。
(障子やハニカムスクリーン=視線が抜けないため日中は閉めたくない等)

 

また既存住宅へのアウターシェード設置は有効である場合が多々あると感じている。

公共施設や幼稚園などへの設置も効果的。
(ガラスが多い。大勢が利用する。メンテナンスは業者が行う)
(エアコンの効きが良くない場合、外での日射遮蔽は特に有効)

アウターシェードは有益なアイテム。

適所適材で活用していきたい。

 

 

 

................

これからさらに暑くなる夏を快適に過ごしたいという思いがある。

窓設計、日射熱の取得と遮蔽のバランス。

『安心-快適-健康(=高性能)』をベースとしつつ

『心地良い居場所』『安らげる暮らし』『労の少ない暮らし』を叶えたい。

今後も検討を深めていきたいと思っています。

 

 

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

 

 

 

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