【秘訣】冬の日射取得『換算暖房費。』オーバーヒートリスクの検討。-窓を暖房装置と考えないこと-
こんにちは^ ^
現在、日射遮蔽(夏)と日射取得(冬)のバランスの検討を進めています。
夏(春-夏-秋)の窓から入る直射熱を抑えつつ冬は適度に日射を入れたい。
冬の窓からの日射取得=暖房費換算。
オーバーヒートリスク、適度な窓量の検討。
『窓を暖房装置と考えないこと。』
春夏秋冬を考慮した窓の包括検討を行いました。
冬、窓からの日射取得を活用することは有効です。
うまく日射を入れることで天然(無料)の暖房を得ることが出来ます^ ^
しかし「日射取得のため窓を過度に設ける」ことは注意が必要。
・昼のオーバーヒート(秋-冬-春)。
・夏の日射熱負荷の増加。
・日射遮蔽材の設置、上げ下げ手間。
・夜の冷輻射、冷気流の増加。
・トータル熱損失の増加。
・外観デザインの偏り、耐震性。
・外部からの視線、室内の居心地。
などの弊害の影響が大きくなってしまいます。
また、冬の日射が多い地域(主に太平洋側)とそうでない地域(主に日本海側)では異なる設計が必要です。
建築地域、費用対効果、実際の暮らしの手間、、
諸々を包括的に把握-検討し適切な窓設計を行うことが望まれます。
【想い】『心地良い窓辺を提案したい。』-空や緑を感じる特別な居場所、安息の時間- - 住宅設計エスネルデザイン
冬の窓からの日射取得を暖房費に換算しました^ ^
計算条件↓
「窓1個(16511サイズ想定)」当たりの換算暖房費を算出する。
地域により日射量や温度差は異なる。
暖房費算出結果↓
〈窓1個あたりの換算暖房費/月〉
(ガラス性能、曇り、レース、周囲影等考慮)
〇東京:換算暖房費=約640円。
〇前橋:換算暖房費=約720円。
〇新潟:換算暖房費=約120円。
仮に南面に窓が3個あるならば
〇東京:換算暖房費=約1920円。
〇前橋:換算暖房費=約2160円。
〇新潟:換算暖房費=約360円。
額を見ての感想は
「窓1枚あたりの換算暖房費/月は大きくはない。」
「窓数が増えれば合計暖房費は嬉しいレベルになっていく。」
「新潟は関東に比べ日射取得の効果は高くない(取得と損失がほぼ同じ)。」
といったところ。
【まとめ、備考】................
■日射取得の経済効果は小さくはないが大きすぎはしない。
(過度な期待は禁物)
(夏の負荷が大きくなり過ぎない範囲内で活用したい)
■地域(日射量)の違いにより大きく異なる。
太平洋側は日射活用しやすい。日本海側は利点は大きくない。
■カーテンの日射遮蔽性で値は変わる。
(不在時(日中)は厚手カーテンを閉めているか)
(在宅時でもレースをするか)
■上記は「日射遮蔽ガラス(ニュートラル。取得率47%)」の場合。
日射取得ガラス(取得率58%等)にした場合、影響は約123%増となる(123=58/47)。
■窓を増やせばその分暖房費は減るが弊害に注意。
「シミュレーション上無暖房」となるとしてもその裏の弊害を考慮した設計が求められる。
(日射取得率が高いガラスを採用する場合も同様)
新潟市と前橋市の日射量比較。
特に冬は日射量に大きな差がある。
上の表は「月あたり」で見た時の値。
その確認も重要だが忘れてはならないのは『時間あたりで見た時の不快感。』
具体的には、日中のオーバーヒートが不快でない範囲内かどうか。
「窓を多く設けたので暖房費は抑えられました。ただし日中は暑くて不快です、」
では本末転倒。
人間は費用が抑えられることよりも「不快でないこと」「手間を減らせること」に満足を感じやすい。
(食洗器や乾太くんが人気なのが良い例)
人間の不快感は数値的に検討しにくい点。
しかしそれらも考慮した『総合的に快適な暮らし』を追い求めたい。
【秘訣】夏の日射遮蔽『アウターシェード要不要。』手間-効果-コストの包括検討。-労の少ない暮らし- - 住宅設計エスネルデザイン
1月の外気温と日射量(前橋)。
外気温の上昇と日射量の増加はタイミングが重なる。
=昼間は「気温上昇+日射取得」で室内がオーバーヒートしやすい。
中間期(春秋)も同様。
特に中間期は「気温高め」「日射量多め」「太陽高度低め」のためオーバーヒートが起こりやすい。
当然夏も日射は冷房負荷となる。
春-夏-秋-冬、一年を通して考えても窓の設けすぎには注意が必要。
オーバーヒートは検討が難しい。
・外気温、直射量、換気量、蓄熱量、内外日射遮蔽等によりケースバイケース。
・日中の在宅率によっても判断は変わる(オーバーヒートしても不在であれば問題なし)。
・換気量増、窓明け、冷房で対処も可能。
現時点ではシミュレーション+経験上、吉岡のエスネル程の窓量が
『冬の日射取得によるプラス(暖かさ、暖房費低減)』を最大化しつつ
『秋-冬-春のオーバーヒートによるマイナス(不快な暑さ、アウターシェード不要範囲内)』が許容範囲を超えない概ね最適バランス(窓量上限)かと感じている。
(冬の日射が多い地域の場合)
吉岡のエスネル(正面=南面)。
〈吉岡T様感想〉................
我が家は不快に感じない範囲内で日射取得の最大化が出来ていると感じています!
冬の日射熱のお陰で室温だけでなく夜まで床が暖かいのがとても心地良いです。
暖房費低減にも効いているので助かっています。
夏や春秋の中間期も窓からの日射は特に問題ありません。
暑くなる時は換気量増-窓明け-冷房で楽に対処しています。
(アウターシェードの必要性は感じていません)
秋は日射取得が多くなりすぎることもあるのでこの窓量+日射遮蔽型トリプルガラスで十分でした。
(日射取得型ペアガラス+窓増にせず良かった)
視線の抜ける窓と壁のバランスもちょうど良いです。
景色や朝日が眺められることも気に入っています^ ^
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〈オーバーヒート参考記事〉................
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〈その他備考〉................
■オーバーヒートを抑えるため「日射遮蔽ガラス(ブルー色。取得率30%)」を選ぶという選択もあり得る。
しかし、個人的には外の景色を綺麗に眺めたいため「色なしガラス(ニュートラル。取得率47%)」が好み。
具体的な提案としては「ブルーガラス+普通サイズ窓」とするなら「ニュートラルガラス+一回りコンパクト窓」によって「熱負荷を抑える」+「自然採光を得る」+「外の景色を綺麗に眺める」をバランス良く叶えたい。
■新潟であってもオーバーヒートは起こる(中間期も冬も)。
・日射取得のための窓の設けすぎは注意。
・ガラスは日射取得タイプでなく日射遮蔽タイプの方が夏-冬の総合的に見てバランスが良いと感じている。
(日射取得ガラスはオーバーヒートにつながりやすいため注意)
・概ね現在のエスネルの窓量が快適上限と感じている。
■「間仕切りの少ないプラン」は熱が拡散しやすいためオーバーヒート緩和に寄与する。
(小さな室ほどオーバーヒートしやすい)
■シミュレーション上や実測上の暖房費への注目だけでなく「暑さの不快感」や「遮蔽手間」にも注目して設計を行いたい。
ある方の感想「冬の日射取得による満足よりも夏や春秋の日射の暑さによる不満足の方を感じやすい。」
人間は満足よりも不満足を大きく感じやすい。
数値だけでなく感じ方を考慮した設計を心掛けたい。
■日射取得の最大化を狙う設計は玄人向け。
・オーバーヒートリスク(秋-冬-春)。
・春秋にアウターシェードが必要→設置コスト、上げ下げ手間がかかる。
・外からの視線が気になる。
・ハニカムスクリーン下げっ放しだと外が眺められない。
など解消すべき課題は少なくない。
最終的には「住まわれる方がそれが出来るか。それを望むか」を慎重に確認する必要あり。
〈環境負荷低減について〉................
積極的な日射取得により環境負荷低減を目指すことは素晴らしいこと。
ただし「快適な暮らし」や「手間が多すぎない暮らし」であることが大前提。
それらを犠牲にした環境負荷低減生活は辛いし続かない。
環境負荷低減は他の方法で叶えることも出来る。
高断熱化、太陽光発電など総エネ、小さな家による建設時-運用時-廃棄時の環境負荷低減、建材の地産地消、、
また最も有効な環境負荷低減は『長く使うこと=長く住み続けられる家を建てること』。
耐久性や耐災害性、汎用的な間取り、大き過ぎない家なども重要。
また『環境を考える心づくり』も大切。
植栽や家庭菜園など自然が近い暮らし、季節の変化を感じる暮らし。
大人も子供も感じて学んでいければ良い。
〈まとめ〉................
■窓は日射取得を主目的として設計しないこと。
(=窓を暖房装置と考えないこと)
■日射取得を考える場合は「オーバーヒート(秋-冬-春)が不快でない範囲内」で考えること。
■窓は眺望や抜けや採光など窓本来の目的に沿って設計すること。
(その上での冷暖房負荷は受け入れる。冷暖房負荷低減を最優先に考えると窓なしの家になってしまう→閉塞感、自然採光不足による自律神経、ホルモンバランスの乱れ)
窓は総合的な観点からの検討が求められる。
メリハリの効いた適切な窓設計を行いたい。
-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-
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