【秘訣】日射遮蔽-取得『設計実例紹介。』夏-冬の日の当たり方。-心地良い暮らしを作る窓設計-
こんにちは^ ^
これまで日射遮蔽-取得について記事をまとめてきました。
夏の遮蔽と冬の取得、日の当たり方の様子。
今回は具合的な設計実例について紹介します。
『窓が心地良い暮らしを作る。』
という思いがあります。
前提として「日射遮蔽-取得を最優先した設計」は行っていません。
あくまで窓は窓本来の目的に沿って計画しています。
窓本来の目的とは『眺望』『視線の抜け』『採光』『換気』など。
それらを優先して窓を設計した上で、その後『熱損失』や『日射遮蔽-取得』に問題がないかを検討します。
上記の順番は注意が必要です。
・熱損失を減らす(UA値を小さくする)ために極端に窓を減らす。
・冬の日射取得を大きく得るために南面の窓を過大に取る。
・夏の日射遮蔽を完璧にするため遮蔽設備や過度な屋根の出を設ける。
等はトータルパフォーマンス(居心地、手間、コスト)を損なう可能性があります。
『偏り過ぎないこと』『包括的な検討』が大切です。
日射遮蔽-取得についてまとめた記事はこちら↓
【秘訣】窓設計の考え方『快適で心地良い暮らしを作る。』眺望-抜け-採光-日射遮蔽取得。-窓記事まとめ- - 住宅設計エスネルデザイン
その上で「実際の日射遮蔽-取得はどのようになっているのか」を紹介します^ ^
〈天野のエスネル〉................
・ほぼ真南向き、屋根の出:90cm、庇の出:60cm。
7/11.13時頃。
屋根や庇で窓に影がかかっている(日射遮蔽されている)様子が分かる。
〈シミュレーション紹介〉................
8/4(夏)の日射の様子。
朝や夕方など局所的に日が入る時間もあるが屋根や庇で概ね日射遮蔽されることが分かる。
(夏は太陽高度が高いため南面は屋根による日射遮蔽が効果的)
1/4(冬)の日射の様子。
冬は太陽高度が低いため日射が窓から入りやすい(屋根や庇が邪魔になりにくい)→日射熱を暖房として活用可能。
また熱だけでなく『太陽の自然採光』を得られることも嬉しい♪
(特に新潟など冬の日射が少ないエリアは)
1/3.11時頃。
シミュレーションと概ね同様。
10/4(秋)の日射の様子。
室温調整に少しコツが要るのが中間期(春-秋)。
この時期は「外は涼しいが太陽高度は低いため日射が室内に入りやすい=室内が暑くなりやすい」。
(※日中不在であれば影響は少ない)
対応としては
〇適宜日射遮蔽(カーテン活用)
〇換気量増(レンジフードON等)
〇窓明け換気
〇冷房
などを行う。
また『植栽』により日射熱(直射光+反射光)を抑えることも想定している。
植栽は『心地良い眺望を造る』『外観の美観向上』と共に『日射熱を緩和する』効果もある^ ^
【秘訣】植栽ありなしの比較。『自然の力、循環を感じる暮らし。』-緑と共に生きる豊かさ- - 住宅設計エスネルデザイン
天野室内(7/11.13時頃)。
〈A様のご感想〉................
2階の窓からの眺めが最高!
カーテンを使わず外を気にせずにいられるのは環境的にも精神的にもメリットを感じています!
南面には大きな窓がありますが、屋根や庇があって光が部屋に入ることはありません。(夏)
................
冬になると太陽光はほとんど期待できませんがたまに日差しが2階リビングの窓からたくさん入ってきて部屋を暖かくしてくれます^ ^
この時期日差しが入ってくるのはとても嬉しい😆
室温が2〜3℃変わります!
夏の日差しは全然入ってこなかったのに寒い時期にだけ日差しが入ってくる有り難さ^ ^
設計は大事だなぁと思いました✨
【暮らし】『冬の暮らし。コート掛け、デッキ下収納、室内の快適性。』-天野、A様のご感想- - 住宅設計エスネルデザイン
続いて「1階リビング+大窓」の家を紹介します。
〈甲斐のエスネル〉................
・ほぼ真南向き、屋根の出:90cm、庇の出:60cm。
・『富士山への眺望、空への抜け、広さ感』『外観デザイン』を優先した設計。
8/12.13時頃。
ここまで窓が大きくとも屋根や庇で日射遮蔽されている様子が分かる。
8/12.13時頃の室内。
〈シミュレーション紹介〉................
8/4(夏)の日射の様子。
大窓により眺望や抜けを得つつも屋根や庇で日射を抑えている。
1/4(冬)の日射の様子。
南向きの大窓に冬の日射が当たる。
特に冬の日射が得られるエリア(主に太平洋側)では、(日射取得を最優先することはないが)日射熱を暖房に活用することを想定して窓設計を行っている。
〈I様より〉................
冬は朝4時~7時頃の3時間ほどだけ暖房をつけますがそれ以外の時間帯は無暖房で過ごせています。
日中日射を入れておくと夕方帰ってきたときの室温が25℃くらいあるんですよ。
夜寝る頃になっても23℃くらいまでしか下がらないです。
この家に住んで冬に寒いと感じることがありません。
10/4(秋)の日射の様子。
特に日の当たる大窓がある場合中間期は室温調整が必要になる。
とは言え「適宜日射遮蔽(カーテン活用)」「換気」「冷房」を行えば問題ない。
中間期の冷房費は冬期の日射熱(暖房費低減)メリットで十分に補える。
〈9/8日中の様子〉................
ウッドブラインド全開。
ウッドブラインド半開(羽:水平)。
ウッドブラインド8割閉じ(羽:斜め)。
ブラインドで日射遮蔽は容易に可能。
〈まとめ〉................
〇基本は屋根の出で夏の日射を遮蔽する。
(主に南面、庇も有効)
(太陽高度の高い夏の日は遮り、高度の低い冬の日は入れる)
〇屋根や庇で日射遮蔽しきれない場合は「カーテン類」「植栽」等で対応。
(完全に遮れなくとも断熱や冷房計画が考えられていれば室内は快適温に出来る)
〇東西窓は必要最小量とし夏の日射負荷を抑える。
ただし上記を外れる場合もある。
「屋根や庇を十分に設けられない」「素敵な眺望があり西に大きく開きたい」など諸条件により最適解は異なる。
いずれにせよ日射遮蔽-取得は出来れば好ましいがマストではない。
『心地良さ、暮らしやすさ』を優先した窓設計を行いたい。
【想い】『心地良い窓辺を提案したい。』-空や緑を感じる特別な居場所、安息の時間- - 住宅設計エスネルデザイン
ほかのエスネルも紹介します^ ^
〈網川原のエスネル〉................
・ほぼ真南向き、屋根の出:80cm、下屋の出:2m。
9/13.11時頃。
10/14.10時頃。
1/25.10時頃。
【暮らし】Daily Lives Niigata掲載『1年経過の超高断熱の小さな木の家。』case.網川原のエスネル - 住宅設計エスネルデザイン
〈燕仲町のエスネル〉................
・南南西向き、屋根の出:80cm、庇の出:60cm。
8/5.13時頃。
【暮らし】『住んでみての感想。』暖かさ、大きさ、収納、家を建てて良かったこと。-燕仲町、I様のご感想- - 住宅設計エスネルデザイン
〈柿崎のエスネル〉................
・ほぼ真南向き、屋根の出:90cm、庇の出:60cm。
2/6.13時頃。
【暮らし】『住んでみての感想。』暖かさ、大きさ、収納、家を建てて良かったこと。-柿崎U様のご感想- - 住宅設計エスネルデザイン
〈蓼科高原のエスネル〉................
・真南向き、屋根の出:90cm、下屋の出:2.6m。
4/27.10時頃。
〈W様より〉................
新居は真南に正対し大開口となっています。
真夏の太陽光が射し込んだら暑くて…というのをちょっと警戒していたのですが、現実は全く違ってました!
◆真夏、真南の太陽は入って来ない
軒や下屋がしっかり張り出していれば、真夏の正午前後に最も避けたい太陽光は射し込まない、というのは本当でした。
ウッドデッキも下屋で覆われきちんと日陰になるので快適です。
午前中の東からの太陽光はルーバーのお陰でスリット状にしか射し込まずこれまた気になりません。
◆西日は要注意
8月、14時頃から西日が気になりました。
そこで室内はロールスクリーン等で遮光したりウッドデッキはサンシェードを取り付けられるようにしました。
尚、西日は射し込んでも、室内は適温のままなので快適さにはさほど影響していません。
新居で過ごす最初の夏 ~下屋と太陽光~ : 高原の小さな家で快適別荘ライフ
................
窓設計は奥が深い。
考え方により窓のあり方は千差万別。
『その窓はどういった目的で設けられているのか。』
ひとつひとつ理由ある設計を行いたい。
今後も検討を深めていきたいと思っています。
-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-
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