【自邸-18】検討メモ紹介『日射を考慮した窓量の調整。』暑くなる将来を想定した設計。-要点メモ紹介-

【自邸(森のエスネル)】

こんにちは^ ^

自邸の窓量の調整検討メモを紹介します。

近年、夏だけでなく春も秋も一年を通して暑くなってきています。

特に外から入ってくる『日射熱(負荷)』をどう抑えるか

検討を重ねました。

その過程と『検討要点』を紹介します。

 

 

 

ブログで自邸を建てる道程を紹介しています^ ^

我が家の家づくりがゆっくりじっくり進んでいます。

 

【自邸プロジェクト-05】コンセプト『別荘と家の間。』森の成長。-自然と共に生きる- - 住宅設計エスネルデザイン

 

【自邸-17】検討メモ紹介『ベランダ検討の過程、要点。』出窓ベンチ誕生。-あら熱を抑えた素直な設計を- - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

................

 

窓の設計は本当に奥が深い。

『眺望』『視線の抜け(広さ感)』『採光』『熱損失』『日射遮蔽-取得』『外観』『構造』、、

同時に検討すべき点は多々。

そしてそれらは
「眺望や抜けを得るために窓を大きくしていくと『周囲からの視線』『熱損失』『日射熱負荷』が増える。耐力壁量が減る-バランスが崩れる。」
などメリットとデメリットが相反する。

また、同じ間取りの家でも窓(サイズ、位置、性能等)が異なればその居心地は全く別物になる。

窓は家の設計で最も重要な要素のひとつです。

 

窓の違いによる感じ方の紹介記事↓

【自邸-12】『リビング南窓設計。』開くと閉じるのバランス。-窓設計への思い。包括設計- - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

また近年、夏だけでなく春も秋も冬も一年を通して気温が上がってきています。

日射熱を暖房活用できる冬であっても「日射の入れ過ぎ」には注意が必要。

日射を考慮した設計のセオリーは

〇南に向けて窓を設ける+屋根や庇で夏の日射を遮蔽する。
・太陽高度の高い夏の日は遮り、高度の低い冬の日は入れる。
(屋根や庇で日射遮蔽しきれない場合は「カーテン類」「植栽」等で対応。完全に遮れなくとも断熱や冷房計画が考えられていれば室内は快適温に出来る)
・窓を大きく設ける場合は秋-冬-春のオーバーヒート低減策について検討しておく(アウターシェードの活用または活用不要範囲内での窓設計)

〇東西窓は必要最小量とし夏の日射負荷を抑える。

〇北向きに抜けがある場合は北窓を活かすことも考慮する。
(北窓:一日を通して安定した採光を得られる。直射が入りにくい=日射熱負荷が小さい)

 

上記についての詳細はこちら↓

【秘訣】日射遮蔽-取得『設計実例紹介。』夏-冬の日の当たり方。-心地良い暮らしを作る窓設計- - 住宅設計エスネルデザイン

 

【秘訣】窓設計の考え方『快適で心地良い暮らしを作る。』眺望-抜け-採光-日射遮蔽取得。-窓記事まとめ- - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

................

 

さて、自邸の窓の調整検討について。

前提として自邸は上記のセオリーから大きく外れる条件でした(^_^;)
(そのため検討に苦労しました、)

大きく外れる条件とは

『南向きは隣家が近い。』

『西向きに良い眺望が開けている。』

そして建主である僕の要望として

『眺望を大切にしたい想いがとても大きい。』
(なるべく隣家が見えず見られず、開けた空や景色を眺めたい)
(心地良い自然の景色に大きな感動を感じる性分)

というもの。

敷地に広さはあるため素直に「家を真南に向けて配置する」「窓を南に取る」「東西は窓を抑える」とすることは出来たのですがそれは好みではなかった。

多少日射負荷が増え日射取得が減ったとしても、良い眺望を得られるよう配置や窓量-窓位置を調整したかった。

という思いから特殊な計画となっています。

 

※補足

西向き窓は嫌われがちですが、僕は「夕日を眺めることがとても好き」という性分もあり西向き窓は結構気に入っています^ ^

また「自然採光で明るい空間が好き」という性分もあり西向き窓は日暮れまで長い時間採光を得られるためその点でも気に入っています。

 

詳細はこちらの記事をご覧ください↓

【自邸-13】『森を眺める出窓ベンチ。』日射遮蔽-居心地-居場所の検討。-窓設計への思い。包括設計- - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

窓量の調整検討メモを紹介します。


家の配置(角度の振り)について。

青線の配置であれば(=家を南向きに振れば)「夏の西日量を抑え冬の日射量を増やすことができる。」

赤→黒線の配置であれば「南隣家の視線干渉を緩和できる+森への眺望を活かしやすい。」

の相反するメリデメの中で落としどころを検討。

(実際は「日射」の観点より「眺望」の観点を優先した)

 


夏の西日、冬の朝日など一年を通した日差しの向きを考慮しながら配置(振り)を検討していった。

(「家を西に振ると冬の朝日が得にくくなる→朝日を得る窓を設けよう」など)

 


「敷地が大きくて配置に制限がない(家を自由に配置できる)のも悩みものだな」と生みの苦しみを感じたり、それを楽しんだり。

 


配置と連動して『窓の大きさ』や『位置』を検討していく。

窓は大きく取れば心地良いというわけではない。

大きな窓は感動的だが「いずれ慣れる」、そして「窓は熱負荷」ということを忘れず(窓を大きく取りたい気持ちを抑えながら)適切で効果的な窓量に調整していく。

 

 

【秘訣】『陰と陽のある窓辺の魅力。』メリハリによる緊張感と心地良さ。-心地良い窓辺の設計- - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

決定した自邸の窓についてはこちら^ ^↓

【自邸-11】『外観-窓設計。』内外の見え方、デザイン、日射遮蔽。-開くと閉じるのバランス- - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

................

 

最後に検討時にまとめた要点メモを紹介します。

長くマニアックなので興味がある方のみご覧ください(^_^;)

 

【窓検討要点メモ】................

■5月〜10月が暑い。
地球環境が変わってきている→将来の環境を想定した設計が必要
5〜10月に室内に入る日射量を低減したい。
5月 16:00までの直射が少なければ良し。
(16:00以降の日射は暑くないのでセーフ)
9〜10月 16:00までの直射が少なければ良し。
〈自邸対応策〉
・配置を南に振る→ボツ
・窓量を抑える(南西を減らし北を増やすか)
・軒の出を1mにする→採用
・子供室-寝室の庇の出を深くする→採用

■西日は嫌われやすい。
冷房費増よりも「体感+心理的な嫌悪感」を感じられる場合が多々。
注意して設計を行う必要あり。
西窓は基本は最小限にする。

■オーバーヒートした場合は窓開けにより外の冷気を入れる。
・2〜4月は花粉のため窓開けできない→△
・5〜6月、10〜11月は有効(虫は少ないが蚊が増えてきている、)→△
・5月も10月も花粉を感じる、PM2.5、黄砂、、今後は一般的にも窓開けは厳しいか。
・窓開けする場合網戸が必要になる→コスト、メンテ、視線の抜け△
→普通に冷房ONすれば良い(その時期の冷房負荷は大きくない)
→過大に窓を設けない(冬の日射量の少ない日本海側は特に)

■「直射を防ぐために内カーテン全閉」はしたくない。
・開放感減、窓の意味なし。
・カーテンなしの開放感、視線の抜けを得たい。
→アウターシェードで対応するか
(5〜10月はアウターシェードしっぱなし?)
→アウターシェードも眺望を遮る→△
(一般的には問題ない範囲内だが自邸では避けたい)
→内側ブラインドで日射調整+眺望確保を叶える。

■『眺望や抜けから心地良さを感じたい』が第一優先。
日射低減を優先し心地良さを損ねては本末転倒。

■子供室(南西)、3月から午後の直射が入る→室が暑くなりやすい。
・子供室-寝室の庇の出を深くする→採用
・2階床に循環ファン設置→要検討(実験的に採用するか)
・その時間は基本的に2階で過ごすことを想定。
・不快であれば冷房エアコンの個室設置可能。

■森(西)に向けて窓を開こう。
「窓は南に向けて開く」「西窓は避ける」という固定観念に侵されていた。
そうではなく心地良い景色に向けて素直に窓を開こう。

■暑くなる地球→基本は窓量を抑える(メリハリを造る)。
ただし「冬の日射確保」も忘れずに。
日射熱メリットよりも「自然採光メリット」。
(特に冬暗くなる日本海側では)
「冬の朝食時のダイニング、朝の身支度時の洗面室の自然採光」を十分に得たい。

■窓の位置はとても重要。
「窓の中心の高さ」により視線の方向が決まる。
真っすぐまたは上方向に視線が抜ける窓は心地良い。
立った時、椅子に座った時、畳に腰を下ろした時、、で窓の感じ方は異なる。
→ソファの配置は重要。間取りと合わせて考えるべき。
窓-空を眺められるソファ配置を叶えたい。

■人間は「縦長窓より横長窓」の方が心地良く感じやすい(広さを感じやすい)。
人間の目は横並び。
目線の移動は縦移動より横移動の方が多い。

■コーナーサッシとセンターサッシの違い。
センターサッシはとても心地良い(ex.柿崎)。
抜け感=広さ感をより感じられる。
(間取りと視線の向きが平行になりやすい)
コーナーサッシは見たい方向(眺望等)がある場合、見たくないもの(隣家等)をカットする場合に有効。
また閉じたい場所、開きたい場所のメリハリを造りやすい。
周囲の状況を確認し適切に選定する。

■窓を開きすぎないことで落ち着き感を作る。
窓を開きすぎると一様で大味な空間になりやすい。
開くと閉じるを意識的に造る→陽陰のメリハリ、フレーミングによりピクチャーウインドウ化。

■アウターシェード採用不採用最終検討(自邸、西窓)
・アウターシェードはあれば効果的(日射熱低減効果大)。
・ただしコスト(設置、買い替え)、上げ下げ手間、眺望減などあり。風対策(カラビナフック)も必要。
・設置する場合、窓の選定にも関わる(引き違い窓、内開き窓)。
・アウターシェード無しでも現状問題なし(建主様感想)。
・冷房+内側ブラインドでも対応可能(ex.長倉)。
(一般的な設計の場合基本は「南窓+屋根の出+西窓小」とする。西に開く場合はその都度検討)
→自邸ではアウターシェード無しとする。
(今後の標準提案も基本は無し。無しで済む範囲内の窓設計を提案)

 

 

【想い】『心地良い窓辺を提案したい。』-空や緑を感じる特別な居場所、安息の時間- - 住宅設計エスネルデザイン

 

【秘訣】窓辺の魅力『自然を感じる豊かな時間。』心の安らぎと癒し。-現代に必要なもの- - 住宅設計エスネルデザイン

 

【サーモ】真夏の超高断熱『日向窓と日陰窓、ウッドブラインドとロールスクリーンの温度差。』case.長倉 - 住宅設計エスネルデザイン

 

【秘訣】『窓辺と窓正面の居心地の違い。ソファ配置の秘訣。』-小さな家を豊かに暮らす- - 住宅設計エスネルデザイン

 

 

 

................

窓設計は奥が深い。

敷地条件や住む人の感性によっても好ましい解は変わる。

窓について、僕はかなり具体的で個性の強い要望を持っているタイプ。
(僕が設計士でなく誰かに設計を依頼していた場合かなり手間のかかるお客だったと思われる、)

しかし、だからこそ心地良い窓を設計できると感じている。

また、歳と共に自然から安らぎを得るようになってきている。

季節の移り変わり、自然の変化に心が打たれる。

少し大げさだが「生きていることへの感謝」を強く感じる。

願わくばいつか子供たちも同様に感じてくれたら嬉しい。

そうした幸せを感じる暮らし、空間をこれからも造っていきたい。

 

 

-「超高断熱の小さな木の家」escnel design-

 

 

 

【関連記事】................

 

【秘訣】日射遮蔽-取得『設計実例紹介。』夏-冬の日の当たり方。-心地良い暮らしを作る窓設計- - 住宅設計エスネルデザイン

 

【秘訣】窓設計の考え方『快適で心地良い暮らしを作る。』眺望-抜け-採光-日射遮蔽取得。-窓記事まとめ- - 住宅設計エスネルデザイン

 

先頭に戻る